ソニー「FE 50mm F1.2 GM」は開放から画面全域で非常にシャープなレンズ

LensTipに、ソニーの新しい大口径標準レンズ「FE 50mm F1.2 GM」のレビューが掲載されています。

Sony FE 50 mm f/1.2 GM

  • FE 50mm F1.2 GM の光学系は、ニコンやキヤノンのライバルほど複雑な光学系ではないが、このカテゴリでは最小最軽量だ。
  • フォーカスリングはバイワイヤ(電子式)で、最短から無限遠までの回転角は、フォーカスリングを回す速さによって140~160度になる。これは通常は十分な回転角だが、このような大口径レンズでは180度に近い回転角を期待したいところだ。

  • 解像力は最高記録を期待したが、中央はF4のピーク時で79.0lpmmで、これまでの最高記録には届かなかった。これは、おそらくこのレンズが開放付近の性能を重視しているためで、確かに開放付近の解像力は実に見事だ。
  • 隅の解像力は、中央の極めて高い値と比較するとそれほど高い値ではないが、開放から44lpmmに達しており、良像の基準値(39~41lpmm)を余裕で超えているので不満はない。絞ると隅の解像力は63lpmmに達し、非常に優れていると言える。このレンズは解像力は素晴らしく、開放から画面全域で非常にシャープな画像が得られる。

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  • 軸上色収差は大口径レンズにもかかわらず微かで、非常に上手く補正されている。軸上色収差は、わずかに絞れば解消する。
  • 倍率色収差は開放付近では0.03~0.04%の非常に低いレベルで、ほとんど目につかない。絞ると倍率色収差は増えるが、0.06%~0.07%に留まっており、依然として低い値だ。ここでも不満はない。
  • 球面収差の補正は完全ではなく前ボケと後ボケの描写が異なっているが、フォーカスシフトは見られない。球面収差の補正にはいくらか問題があるが、設計者はボケを重視していると思う。

  • 歪曲は陣笠状で、画面隅で直線が明確に曲がっているため測定値は+0.65%の糸巻き型だ。これはそれほど高い値ではなく、通常の状況では歪曲は気にならないだろう。この画角の単焦点レンズでは、このような歪曲補正のアプローチは見たことがない。
  • コマ収差はAPS-Cの隅では気にならないが、フルサイズの隅ではダイオードの点が翼のような形になる。しかし、1段絞ればほとんど解消する。コマ収差はライバルのノクトン50mm F1.2よりも優れている。
  • 非点収差は17.8%と意外なほど大きい値で、「高い」のレベルに近いが、まだ「中程度」の範囲に収まっている。非点収差の補正が弱いのは、他のカテゴリで良い結果を得るための代償だろう。

  • 玉ボケの描写は非常に良好で、滑らかで同心円状のボケも目立たない。絞ったときに輪郭線が現れるがそれほど強いものではない。口径食は開放では目立つが、F1.8で中程度になり、F2.5では解消する。
  • 周辺光量落ちは開放で63%(-2.89EV)と非常に大きいが、口径を考えると3EV以上を予想していたので、予想を下回っていたのは嬉しい驚きだ(ノクトン50mm F1.2は71%に達している)。
  • 逆光耐性は全体的に優れているが、1つだけで問題があり、絞ったときに画面隅のすぐ外側に明るい光源があると、画面全体が白くなってしまう強いフレアが現れる。このケース以外ではゴーストやフレアを出すことは難しく、コントラストも維持されている。
  • AFは作動音がなく非常に高速だ。最短から無限遠までは0.5秒で、照明が暗い場合でも迷いは見られなかった。AF精度はスタジオでも屋外でも、合焦ミスはごく稀にあったものの問題はない。ここでの評価は非常に優れている。

  • ソニーはもう一つの優れたレンズを市場に投入することに成功した。このレンズは開放時での性能だけでエディターズ・チョイス賞に値するが、長所はそれだけではなく非常に多く、素晴らしいものだ。拍手!
  • 良い点:丈夫で防塵防滴の鏡筒、中央の開放からのセンセーショナルな画質、隅の良好な画質、軸上色収差が適切に補正されている、倍率色収差がわずか、歪曲は穏やか、コマ収差がまずまず、優れた逆光耐性、非常に心地よいボケ、正確で速く静かなAF。
  • 悪い点:フルサイズで周辺光量落ちが目立つ。

 

FE50mm F1.2 GM は大口径レンズにもかかわらず、絞り開放から画面の隅まで高解像力で申し分のない性能という印象です。このクラスでは軽量コンパクトな設計ですが、周辺光量落ちもそこそこの値に抑えられていて、全体的に上手くまとまっているという印象です。

ただ、非点収差がかなり目立ち、開放時にはコマ収差も見られるので、天体用にはあまり向いていないかもしれませんね。