ソニー「α1」は非常に高価だが求める機能が全て入ってるカメラ

DUSTIN ABBOTに、ソニーのフラッグシップ機「α1(ILCE-1)」のレビューが掲載されています。

Sony Alpha 1 (ILCE-1) Review

  • α1でアップグレードされていないものは、それほど多くないが、自分にとって大きいのは、液晶モニタがこれまで同じ3インチ144万ドットで、動きが制限されたチルト式だということだ。これと比較するとEOS R5は、3.2インチ210万ドットのより大きく高解像度で応答性が高いバリアングルのモニタを搭載しており、前側に向けることもできる。
  • α1がEOS R5を大きく上回っている部分もあり、最も顕著なものの一つは、キヤノンのカメラが苦しんでいるオーバーヒート耐性だ。
  • α1のサイズはα7R IVやα9IIと非常に近いが、少し重くなっている。グリップは非常によい感触で、おそらくこれまでのソニー機では最高のものだが、私はEOS R5のグリップの方が好みだ。

  • メカシャッターは非常に静かで素晴らしい感触で、1/400秒のシンクロはこれまでで最高だ。電子シャッターも注目に値する改善が加えられ、読み出し速度が大幅に向上し、1/200秒のシンクロが可能だ。手ブレは、電子シャッター使用時とメカシャッター使用時でどちらも変わらなかった。
  • ファインダーは大きく進化しており、倍率が高くなり、これまでよりも鮮明になっている。α1のファインダーは非常に優れており、これは私がα9IIからα1にアップグレードしたいと思った大きな改善点の一つだ。
  • メニューはタッチ操作が可能になっており、これまでよりも間違いなく改善されている。操作のタイムラグも少なく応答性もよくなっている。メニューシステムはα7SIIIから採用した新しいものに変わっているが、まだ複雑で、慣れるまでは膨大な設定項目に圧倒される。

  • バッテリーライフは430枚で、NP-FZ100を使う他のソニー機よりも短くなっているが、実使用では、1000枚撮影してバッテリーの消費は25%未満だった。
  • IBISは公称5.5段分でこれまでと同じだが、実際には微妙に改善されていて、新しいモデルの方が動作の安定性が高い。このことはα1にも当てはまる。
  • IBISを電子補正併用のアクティブモードにすると、歩きながらの動画撮影で明らかに滑らかな動きになるが、動画が少しシャープでなくなると感じるので、静的な手持ち動画では標準のIBISを使用し、アクティブモードと切り替えて使うようにしている。
  • スチル撮影時のα1のIBISは優れてはいるが、EOS R5のような機種と比較すると、もはや際立った性能ではない。

  • AFは動きの速い犬を135mm F1.8 GMを使い、絞りF2.2で30コマ/秒で追尾して撮影したが、全ての画像のピントが完全に合っていた。これは驚くべきことだ。サードパーティー製レンズでは、動体の合焦率にかなり違いが見られることに注意が必要で、シグマの100-400mm F5-6.3 DG DNだと良好に追尾はするが、合焦率は厳しい条件だと70%前後だった(ソニー製レンズでは100%)。連写速度も15コマ/秒に低下する。
  • ソニーは、瞳AFの検出能力はα9IIよりも30%向上したと主張しているが、これは本当で、顔が正面を向いていない時でも瞳AFの精度は素晴らしかった。動物の瞳AFもより正確で粘り強く追尾するようになった。しかし、野鳥の撮影では目ではなく、尾羽にピントが来ることが何度かあった。鳥の瞳の追尾では、EOS R5 / R6が、まだα1の先を行っている。
  • 低照度時のAFはキヤノンのベストのカメラには及ばないが、α1は-4EV程度の薄暗い状況でもピントを合わせることができる。

  • オーバーサンプリングされた21MPのJPEGを生成するモードは、信じられないほどディテールが豊富で実に便利だ。
  • 連写可能な枚数はα9IIよりも少し少ないが、ファイルサイズの大きさを考えればこれは予想の範囲内だ。しかし、30コマ/秒でJPEGで13秒連写できるので、ほとんどの被写体には十分だろう。
  • α1の動画はモードの選択肢が非常に多く、30分の制限がないのは非常に便利だ。オーバーヒートが起こらないので、高解像度の動画を数多く撮影する人にとっては、ソニーα1はキヤノンに対して大きなアドバンテージがある。

  • 高感度はISO1600ではベースのISO100とほとんど区別できない画質だ。ISO6400ではシャドー部にノイズは見えるが、彩度や色再現、コントラストはISO100とほとんど変わらない。ISO12800でも黒は浮かず、ISO25600でもまだ実用になる。
  • α7RIIIやEOS R5と比べてα1は実効感度が低く、同じ明るさを得るにはより多くの露出が必要だった。現時点ではα7RIIIのセンサーが、解像度、高感度、ダイナミックレンジのバランスが最も良く、ソニーで最高のセンサーだと感じる。
  • EOS R5との高感度の比較では、α1は実効感度が2/3段低いので比較が難しいが、同じ感度ではキヤノンがわずかに低ノイズで、α1が若干高コントラストに感じる。この2機種の高感度性能で、どちらが勝ちかを言うのは難しい。
  • α1のダイナミックレンジはα9IIよりも大幅に優れており、α7IIIやα7RIII、α7RIVに近いが、完全に同じではない。後処理でのシャドーやハイライトの回復では、α1がEOS R5に優っている。

  • α1の性能について否定的なことを言う人はいないと思う。このカメラは、1D X III やD5の動体追尾とα7Rシリーズの高解像度を併せ持ち、更にシネマカメラの動画機能をも搭載した最も洗練されたマス市場向け(業務用機ではない)カメラかもしれない。
  • 最もよく耳にするα1のネガティブな意見は価格で、α1の6498ドルを見ると、3900ドルのEOS R5が安価に見える。しかし、α1には私がカメラに求めていた全てのものがあり、最初はこの価格にうんざりしたが、α7RIIIとα9を下取りにしてα1に買い替えた。
  • α1は万人向けではなく、多くの人にとって過剰なのもので、動体を撮影しない人は、α7RIIIかα7RIVで同様の優れた画質が得られ、また動画を撮りたいならα7SIIIの方が安価に済む。α1は他のソニー機を1台にまとめて更に改良したようなカメラで高額だが、然るべき写真家には非常に説得力のあるカメラだ。

 

α1は高画素機と高速連写機、動画機の機能を併せ持っていて、そのいずれの機能も全く妥協していないのがすごいですね。高速読み出しのセンサーが画質面が劣っていた部分も改善されて、性能面ではすきのないカメラに仕上がっているという印象です。

プロ用機としては小さなボディは賛否が別れているようですが、大きなボディを採用したEOS R3やZ9と、どちらが人気を博すのか注目ですね。