シグマ「35mm F1.4 DG DN Art」はボケは魅力的だが解像力は35GMに及ばない

Camera Labsに、シグマの新しい広角単焦点レンズ「35mm F1.4 DG DN Art」とソニーFE35mm F1.4 GMとの比較レビューが掲載されています。

Sigma 35mm f1.4 DG DN Art review

  • サイズは従来の35mm F1.4 DG HSM Art(Eマウント版)と比べると10mm短く110g軽くなっているが、ソニーのFE 35mm F1.4 GMと比べると14mm長く、120グラム重い。
  • フォーカスリングは非常に滑らかに回転するが、ソニー35mm F1.4 GMより少し重めで、回転角も大きい。
  • AFはAF-Sだと他の多くのシグマのレンズ同様に、AFを追い込むためのコントラストAFでの前後の動きが見られ、ソニーの35GMの方がキビキビと動く。しかし、AF-CではシグマはAFが速くなり、ソニー35GMと遜色ない速度になる。

  • 連写は、α1では35GMは30コマ/秒で撮影可能だが、シグマは12~14コマ/秒に減速した。高速連写のためにソニーを使っている場合には、レンズの連写制限の確認が必要だ。
  • ポートレートの作例では、シグマの新型はボケが魅力的で、旧型のうるさかったボケが改善されている。しかし、ソニー35GMと比べると、35GMの方がよりディテールが豊富でコントラストが高い。ボケは少し質は異なるが同程度の品質に見える。
  • シグマ35mm F1.4 DG DNと35mm F1.2 DG DNとのポートレートの比較では、F1.2の方がディテールが鮮明であることが容易に見て取れる。

  • 玉ボケは輪郭が弱く内部に模様も見られず、上品で魅力的だ。口径食は見られるが1段絞れば、ほぼ解消する。全体的に玉ボケは満足いくものだ。
  • 最短撮影距離での撮影では、中央は非常にシャープだが、周辺部はかなり甘くなる。ソニー35GMも周辺部は甘くなるが、それでもシグマ35mm F1.4よりは優れている。シグマの35mm F1.2は中央もシグマ35mm F1.4よりもシャープで、周辺部までシャープさが維持されている。
  • 遠景は、開放では中央はかなりディテールに富んでいるが、ソニー35GMやシグマ35mm F1.2のような究極のシャープさやコントラストではない。隅もソニー35GMとシグマ35mm F1.2の方がシャープさを維持している。

  • フォーカスブリージングは大きく、無限遠から最短にピントを合わせると、画角が目に見えて狭くなり、レンズがズームインしているように見える。これは動画では煩わしく見えるかもしれない。また、歪曲の自動補正で、無限遠のタル型の歪曲が近距離では糸巻き型になることにも気付くかもしれない。
  • フォーカスブリージングはシグマの(I Seriesの)35mm F2でも見られるが35mm F1.4ほど悪くはない。ソニーの35GMは、フォーカスブリージングは最悪で、シグマ35mm F1.4よりも目立つ。フォーカスブリージングが最も少ないのはシグマ35mm F1.2だ。

  • シグマ35mm F1.4 DG DN Art はシャープで魅力的な描写の高品質な広角レンズで、ボケは旧型から改善され、より高価なモデルに匹敵するものだ。ディテールは開放でもまずまずで、1段絞れば非常にシャープになる。
  • シグマ35mm F1.4 DG DN Artはソニー35mm F1.4 GMとは描写が良く似ており、開放ではソニーの方がシャープで高コントラストだが、ブリージングはシグマの方が良好だ。AFは35GMが安定していて高速連写にも対応している。シグマの35mm F1.2は35GMに匹敵する性能だが、テストでは35GMほど確実にピントが合わなかった。シグマ35mm F1.4 DG DN Artの最大のライバルはソニーのFE35mm F1.8だろう。

 

シグマ35mm F1.4 DG DN Art は開放時の解像力やコントラストではFE 35mm F1.4 GM に及ばないようですが、ボケが綺麗で雰囲気のある描写をするレンズという印象です。特に近距離は柔らかい描写なので、ポートレート向きのレンズかもしれませんね。

シグマの35mm F1.2は開放からかなりシャープで近距離でも甘くならないようなので、新しい35mm F1.4と上手く棲み分けできそうです。

動画に関しては、35GMほどではないにしてもフォーカスブリージングがかなり目立つようなので、動画重視ならブリージングの少ない35mm F1.2を選択した方がいいかもしれませんね。