新旧の大口径50mm単焦点レンズの性能比較

Dpreview に、「FE 50mm F1.2 GM」「T* 50mm F1.4 ZA」「EF50mm F1.2L」「50mm F1.4 DG HSM Art」の新旧の大口径標準単焦点レンズのMTFの比較記事が掲載されています。

Why are modern 50mm lenses so damned complicated?

  • 1800年代後半からダブルガウスが大口径単焦点の主流となっており、50mmレンズはダブルガウスが支配的だったが、ここ10年間で50mmのレンズ構成は複雑になり、最近登場したミラーレス用の50mm F1.2では、複数の非球面と低分散レンズを使った更に複雑な設計になっている。
  • 従来の大口径のダブルガウスレンズは絞っても周辺部はそれほどシャープにはならなかったが、新しい複雑で高価な光学系の採用で、大口径の50mm単焦点で見られた欠点は克服されている。以下は、クラシックなEF50mm F1.2Lと、新しいシグマ50mm F1.4 ArtのF5.6のMTFで、見ての通りシグマがキヤノンに優っている。クラシックな50mm F1.2は開放では夢のような素敵な画像が得られるが、絞った場合は安価な50mm F1.8クラスのレンズの方がシャープだ。

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  • 下のグラフは古いキヤノンEF50mm F1.2Lと、最新のソニーFE 50mm F1.2 GMの開放時の解像力の比較で、30年の設計時期の違いで、劇的な性能差が生じている。

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  • 下のグラフはシグマ50mm F1.4 ArtとソニーFE50mm F1.2 GMとの比較で、ソニーはF1.2開放でシグマのF1.4開放よりも解像力で優っている。これは間違いなく、多くの人にとってお金を払う価値のあるポイントだろう。

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  • 下のグラフはソニーFE 50mm F1.2 GMと、ソニーT* 50mm F1.4 ZAとのF5.6での比較だ。ZAはそれほど素晴らしいレンズではないが、多くの人が使っている。絞るとZAは非点収差がかなり悪いのが見て取れる。GMの方が優れていると予想していたが、予想通りだった。

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  • 下のグラフはシグマ50mm F1.4ArtとソニーFE 50mm F1.2 GMのF5.6に絞ったときの比較だ。ここでは中央はソニー、周辺部はシグマが良好で、どちらが優秀とは言えない。非点収差はソニーの方が少ないが、違いはごくわずかだ。

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  • 従来はF1.2以下の大口径レンズは、開放ではソフトで、絞り込んでも小口径のレンズほどシャープではなかったが、現代の複雑な構成のレンズは、F1.2のレンズは開放から素晴らしくシャープで、絞った時は小口径レンズど同程度のシャープさを実現している。

 

最近の50mm F1.2クラスのレンズは、実写で開放から非常にシャープ写るレンズが多いですが、解像力のテスト結果でも、やはり昔ながらの大口径標準レンズとは比較にならないくらいの違いがありますね。ソニーのGMは、設計のそれほど古くないZAと比べてもかなりの性能差があって、GMになってからの急激な進化が伺えます。

とは言え、EF50mm F1.2Lのような、昔ながらの開放付近がソフトな大口径レンズも味わい深いものなので、こういう描写のレンズもできればミラーレス用のレンズにラインナップして欲しいところですね。