コシナ「Voigtlander APO-LANTHAR 35 mm F2 Aspherical」はプレミアムレンズに必要なものを全て備えたレンズ

LensTipに、コシナのEマウント用の広角単焦点レンズ「Voigtlander APO-LANTHAR 35 mm F2 Aspherical」のレビューが掲載されています。

Lens review Voigtlander Apo Lanthar 35 mm f/2 Aspherical

  • 鏡筒は金属製だ。フォーカスリングは適切な重さがあり、ムラなく均一に動く。最短から無限遠までの回転角は160度もあり、快適なピント合わせに十分すぎるほどだ。
  • フォーカシングは全群が繰り出すので、画角が変わらずフォーカスブリージングが大幅に抑えられており、動画ユーザーはとても満足するだろう。

  • 中央の解像力は開放で既に70lpmmを超えており(良像の基準値は39~41lpmm)、F2.8では80lpmmに迫っている。この中央の性能には拍手喝采を贈りたくなる。
  • 隅の解像力は開放で50lpmmに近く、良像の基準レベルを容易に上回っており、絞ると60lpmmに達する。隅の解像力に弱点は無く、称賛に値する。このレンズの開放付近の解像力は、他のライバルの追随を許さないものだ。

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  • 軸上色収差は「APO」の名を冠するレンズだけに期待値は高かったが、テストでは開放時でさえボケの色付きは見られず、失望させられることはなかった。軸上色収差は全く文句はない。
  • 倍率色収差は絞るにつれて大きくなるが、幸いなことに、絞り込んでもフルサイズの隅で0.04%未満で問題になるレベルには達しない。これは、実写では倍率色収差に気付くことは、ほとんど無いことを意味している。
  • 球面収差の補正は前ボケと後ボケに少し違いが見られるが、大きな問題はなく、フォーカスシフトも見られない。

  • 歪曲はフルサイズでは-0.55%のタル型で非常に優れている。シグマ35mm F2 C の歪曲は-1.94%、サムヤン35mm F1.8 FEは-1.58%、ニコンZ35mm f/1.8Sは-1.28%であることを思い出して欲しい。フォクトレンダーは後処理に頼ることなく、光学で歪曲を積極的に補正している。拍手!
  • コマ収差は取るに足らないレベルで、フォクトレンダーがライバルの全てのレンズを打ち負かしており、文句はない。ここではフォクトレンダーは非常に優秀だ。
  • 非点収差は2.9%の非常に小さい値で、ここでもフォクトレンダーは称賛に値する。ここでは、フォクトレンダーと同じくらい良好なのはソニーFE35mm F1.8だけで、その他のライバルは全て劣っている。

  • 玉ボケはわずかに年輪ボケが見られる。また、開放では口径食も目立つが、F4で完全に解消する。絞りの形が普通ではなく、F4以上に絞ると星のような形になるのは、とても興味深い。これを心地よく感じるかは好みの問題だろう。
  • 周辺光量落ちは開放で65%(-3.05EV)の極めて大きい値で、このレンズで最初の深刻な欠点だ。慰めとしては、シグマ35mm F2 Cがこれより更に悪いことだが、Batisは55%でフォクトレンダーよりも良好だ。ソニーFE35mm F1.8はF2に絞ったときにフォクトレンダーと同等の値だ。サムヤン35mm F1.8 FEも63%と、ここでは全てのレンズが芳しくない結果だ。しかし、フォクトレンダーは絞ったときの改善は速い。
  • 逆光耐性は悪くはないが、完璧とは言えず、太陽が画面の内側にあっても外側にあってもゴーストが出る。絞ると更に問題は大きくなる。これまでフォクトレンダーはライバルに対して優勢か同等の結果だったが、逆光耐性はライバルよりも弱い。

  • APO-LANTHAR 35 mm F2は、最高級プレミアムレンズとして必要なものを全て備えたレンズだ。鏡筒の造りは優秀で、光学性能は非の打ち所がなく、多くのカテゴリでライバルを凌駕している。1150ドルの価格は性能を考えても安価とは言えないが、それでも我々の評価は変わるものではなく、この金額を支払う価値があるレンズだと感じている。
  • 良い点:とても頑丈な金属製鏡筒、中央のセンセーショナルな画質、隅の良好な画質、軸上色収差が無視できる、倍率色収差がわずか、歪曲がほぼゼロ、コマ収差の適切な補正、非点収差が非常に低いレベル、独創的な玉ボケ。
  • 悪い点:周辺光量落ちが極めて大きい。

 

APO-LANTHAR 35 mm F2は開放から解像力が高く、色収差や歪曲の補正も極めて良好で、申し分のない性能という印象です。周辺光量落ちはかなり目立ちますが、このクラスの他のレンズもそれほど変わらないので、特別悪いというわけではないようです。

このレンズは開放から抜群にシャープで、コマ収差と非点収差が非常に良く補正されているので、天体用にも良さそうですね。