ソニー「FE 35mm F1.8」はウィークポイントはあるが良い立ち位置のレンズ

OpticalLimits に、ソニーの広角単焦点レンズ「FE 35mm F1.8」のレビューが掲載されています。

Sony FE 35mm f/1.8 - Review / Test Report

  • 他のF1.8のレンズと異なり、このレンズは「G」ではなく無印で、鏡筒の素材もやや古い設計思想に基づく滑らかで薄い金属製だ。
  • フォーカスリングは滑らかに動き、フォーカシングでレンズの全長は変わらない。
  • AFはインナーフォーカスで、速く静かだ。
  • 歪曲は良く補正されており、未補正でもわずか0.3%の糸巻き型で、これは無視できるレベルだ。自動補正を有効にすると、歪曲は0%になる。

  • 周辺光量落ちは、未補正ではF1.8で3EVと激しいが、大口径の広角では特別なことではない。しかし、絞り込んでもあまり改善されず、F5.6でもまだ2.65EVと大きい値のままで、これは珍しい特性だ。このため、自動補正を使った方がいいだろう。自動補正有効時には周辺光量落ちは1.5EV前後に改善し、これはまだ目立つ値だが許容範囲内だ。
  • 解像力は中央はF1.8でも見事な値で、中央付近の性能は非常に優れている。周辺部は非常にシャープだが、隅は甘い。F2.2まで絞ると隅も良好なレベルに改善するが、それ以上絞っても周辺部と隅の画質がほとんど改善しないのは不可解だ。像面の湾曲は問題ない。

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  • 倍率色収差は開放では1.3ピクセルだが、絞り込むと2.5ピクセルを超え、最近の単焦点としては明らかに大きい値だ。この色収差の大きさは、たぶん低分散レンズを採用していないためだろう。とは言え、倍率色収差は自動補正で解消できるので、これはそれほど大きな問題ではない。
  • 玉ボケは、内側の描写は非常に綺麗で輪郭もわずかだ。玉ボケはF2.8までは円形が維持されている。口径食は楕円形で猫の目よりも好ましい形だ。通常のボケは、後ボケは非常に滑らかだが、前ボケは2線ボケが目立つ。
  • 軸上色収差は開放では顕著で、絞っても改善は遅いが、F4以上に絞ればほとんど解消する。

  • FE 35mm F1.8 はまずまず良好な性能だが、全カテゴリで優れているわけではなく、開放時の隅はかなり甘く、軸上色収差も高い値だ。鏡筒の品質はプロレベルの水準には達していないが、かなり良好だ。開放F値が1.8でサイズやコストが抑えられており、それほどエキサイティングなレンズではないかもしれないが、よい立ち位置のレンズで、このカテゴリでは非常に理に適った選択肢なのは間違いない。

 

光学性能の評価は3.66(3と2/3)で、普及型のレンズとしては良好な評価となっています。解像力や色収差、周辺光量落ちは、いずれもそこそこで際立った性能ではありませんが、無印のレンズとしてはバランスが取れた性能という印象です。

歪曲に関しては光学的にほぼ完全に補正されていて、自動補正に頼ってないのは、最近のミラーレス用の広角レンズとしては珍しいですね。