パナソニックは今後もm4/3とフルサイズを2つの柱としてカメラ事業を成長させていく

Imaging Resource に、パナソニックのイメージング事業部長のインタビューが掲載されています。

Panasonic Q&A

  • (GH5IIとGH6を同時に発表したのは、どのような戦略なのか?)
    GH5後継機の開発で、用途ごとに最適なカメラがあるという結論に達し2機種の開発を進めた。GH6は新開発のセンサーと画像処理エンジンを搭載し、最先端の映像表現を可能にするフラッグシップ機、GH5IIは基本性能を向上させながら、高品質なストリーミングに対応するモデルだ。

  • (GH5IIはGH5と同じセンサーなのにダイナミックレンジが拡大しているのなぜ?)
    フルサイズのSシリーズの開発で画像生成の基本部分を洗練させた。その過程でノイズの扱い方等の考え方を進化させており、それをm4/3モデルに反映させることで、GH5と比べて、GH5IIではダイナミックレンジを25%拡大している。

  • (GH5IIのAFの改善はハードによるものかソフトによるものか?)
    基本的には両方だ。GH5IIはディープラーニングに対応する最新のハードを搭載しているだけでなく、被写体認識のアルゴリズムも改良されている。GH5IIのAFはこれまでのGシリーズのユーザーに、更に信頼性の高いAF体験を提供できると思う。

  • (新しいAFアルゴリズムでは、DFDからコントラストへの切り替え前に最終的なピント位置により近付くことができるのか?)
    新しいAFアルゴリズムではDFD検出とコントラスト検出を並行して実行し、双方の情報を使用してトラッキング性能を向上させている。これは、AFトラッキング性能とAF速度の向上に大きく貢献している。

  • (フルサイズのSシリーズの登場がm4/3の開発に影響を及ぼしたのか?)
    フルサイズとm4/3の基礎技術を共有することで、双方のシステムをタイミング良く開発できるのが我々の強みだ。たとえば、S1R、S1、S1Hはm4/3で培われた多くの技術を利用しているし、GH5IIとGH6には、S5などSシリーズの開発で培われた技術を利用している。

  • (m4/3用レンズの今後の開発の目標は?ラインナップ拡大を期待できるのか?)
    現在31本のレンズがあり、既に幅広い用途に対応しているが、今後はフルサイズのレンズとの開発のバランスを取りながら、よりクリエイターのニーズに合ったレンズ群を開発していく。

  • (m4/3とフルサイズは共存していけるのか?)
    フルサイズとm4/3市場は今後も共存していくと考えている。表現力を追求するフルサイズと、機動性と高速性に重点を置いたm4/3の両方のシステムを使い分けているクリエイターも多い。それぞれの特性を活かすことで、よりクリエイティブなコンテンツが生まれる。今後もフルサイズのm4/3と2つの柱を「ダブルドライビングフォース」として事業を成長させていきたい。

  • (スマートフォンの影響はm4/3市場とフルサイズ市場のどちらが大きいか?)
    スマートフォンは、レンズ固定式コンパクトカメラの需要に大きな影響を与えている。その一方で、フルサイズやm4/3の需要は安定している。スマートフォンのカメラ性能は向上しているが、撮れるものには制限があり、より高品質なコンテンツを撮影可能なミラーレスカメラが注目されている。

  • (ここ数年、エントリーモデルが減少し、ハイエンドモデル重視になっている原因は?)
    スマートフォンの影響で、エントリーレベルのカメラの需要が減っている。一方で、フルサイズやm4/3などのハイエンドカメラの需要は安定している。

  • (新型コロナの影響は?GH5IIとGH6の供給に問題はないのか?)
    この1年、サプライチェーンはパンデミックの影響を大きく受けており、また、現在は半導体不足の影響を受けている。一方で、部品調達のシステムの改革を急速に進めておりおり、GH5IIやGH6などの製品を引き続き供給していくので、期待していて欲しい。

 

パナソニックのフルサイズ参入でm4/3の先行きを心配する声もかなりありましたが、最近、GH5IIとGH6、25-50mm F1.7と大物の製品群が発表されて、パナソニックの「引き続きm4/3にも力を入れていく」という言葉が説得力を増しましたね。

GH5IIに関しては、当初、ごく小規模なモデルチェンジと見られていましたが、画像処理エンジンの変更による新しいAFシステムの導入や、ダイナミックレンジの大幅な改善など、実はかなり大きなモデルチェンジだったようですね。