DPReviewに、富士フイルムの大口径中望遠単焦点レンズ「XF50mmF1.0R WR」のフィールドレビューが掲載されています。
・Fujifilm XF 50mm F1.0 R WR field review
- このレンズはXF56mmF1.2と比べて重量は2倍で全長も34mm大きいが、シーリングが施されており防塵防滴仕様になっている。また、絞り羽根の枚数は、XF56mmF1.2は7枚だがXF50mmF1.0は9枚だ。
- XF50mmF1.0は大きく重いレンズだが、F1.0の口径を考えれば大きすぎるとは思わない。このレンズのサイズ感はフルサイズ用の85mm F1.4と同程度に感じる。
- フォーカスリングは電子式で、適度な重さで滑らかに動き、精度も優れている。
- AFは最短から無限遠まで0.8秒から1秒で、AFの遅いレンズなのは間違いなく、実際の撮影でもAFはかなり鈍く感じる。スタジオの撮影では問題ないが、ストリート写真など、ジャンルによってはシャッターチャンスを逃していまう可能性があるだろう。AFの迷いも時折見られた。
- 最短撮影距離が70cm、最大撮影倍率がわずか0.08倍なので、特に子供の小さな顔を撮影する場合にはもっと被写体に寄りたいと思うことがあった。
- このレンズは、フォーカスブリージングが見られないことに驚いた。このため、浅い被写界深度を求めるビデオグラファーにとって、このレンズは魅力的な選択肢になるだろう。
- このレンズはクリームのようなボケが得られるが、開放時の解像力が犠牲になっている。絞れば改善されるが、F1.4とF2でもソフトな画質で、F2.8まで絞らないと解像力のスイートスポットには達しない。しかし、幸いなことに開放時の像面は非常にフラットで、中央から隅までの解像力は一貫している。
- ボケは年輪ボケやバブルボケなどが見られず、非常に滑らかで抜群に優れている。前ボケから後ボケへの移り変わりもクリーンで美しい。ボケで若干気になったのが、F2より絞りを開いて撮影すると中央付近でさえ、口径食の影響が見られることだ。また、絞り羽根が9枚にもかかわらF2かF2.8以上に絞り込むと少し絞りの形が見える。とは言え、これらは小さな問題で、全体としてこのレンズのボケは期待通りで非常に魅力的なものだ。
- 逆光では同梱のフードが非常に効果的で、フードを使えばフレアとゴーストは目立たない。前玉に直接日光が当たっている場合でもコントラスト低下はわずかで、ゴーストは見られなかった。
- 光芒はまずまずだが、50mmの焦点距離は光芒を撮るには向いていない。
- 軸上色収差は大口径レンズでは目立ちやすい傾向があるが、残念ながら、このレンズにもそれが当てはまる。F2まで絞っても軸上色収差は目立ち、前ボケに明確なピンク、後ボケには緑の色が付く。軸上色収差は後処理で補正するのが難しいので、これは残念だ。
- XF50mmF1.0はニッチな製品で、ポートレート撮影や被写界深度の浅さが最優先の写真家を対象にしたレンズだ。F2.8よりも絞りを開いた時のソフトさなど、画質にはいくつかウィークポイントがあるが、多くの写真家はそれを気にせずにボケを楽しむだろう。
- 画質面では、後処理で補正が難しい軸上色収差が目立ちやすいのが気になる点だ。もう一つの懸念事項はAFが遅いことで、動きの速い被写体や暗い場所での撮影ではチャンスを逃すことになるかもしれない。コントラストAFのみのボディを使いたい場合は、XF56mmF1.2を検討した方がいいだろう。
- ポートレートの撮影でうるさくならない背景が必要で、価格や大きさに納得できるなら、XF50mmF1.0のゴージャスそのもののボケに文句を言うのは難しいだろう。
解像力中心のレビューでは低い評価になりがちなXF50mmF1.0ですが、DPReviewのフィールドテストでは、84点の銀賞とまずまずの評価になっています。このレンズは解像力を追求したレンズではないので、開放からカリカリっとした描写が好みの人には合わないかもしれませんが、球面収差を残した柔らかめの描写が好みの人には大いに楽しめそうなレンズですね。
M.T.H.
AFがそんなに遅いとは感じませんけども、そもそも、f1.0でバシッとAF合うレンズなんて今までありませんでしたからね笑
f1.0でAFってだけですごいと思っています!
ボケは美しいですし、まったく向かない条件とかジャンルもありますがそもそもこのレンズ買う人はそんなものはあまり最初から撮ろうなんて思ってないと思います。
亀吉
発売したてに購入して1年近く使っていますが、悪い意味で開放の描写がゆるいと感じたことはなく、絶妙な柔らかさがとても心地よく、独特の描写がやみつきになります。重いし、かさばるのに、絶対に連れ出したくなります。
解像力に定評のある90mmも過去に使いましたが、逆にパリッとしていて、あまり好きになれず、手放してしまいました。あの手のレンズはレビューサイトなんかで、非の打ち所がない評価なのですが、なんというか描写に色気を感じないのです。
解像力重視のレンズとは違い、背景とスパッと分離されるようなボケ感ではなく、位置に応じてじわりじわりと溶けながらボケていく描写や、ちょっとウェット感がある描写にとても色気を感じます。
どりゃー
威力を発揮する場面は限られるレンズでありますが、
システムのアイコンとなり、なおかつ一般ユーザーの手の届く価格で供給されているので、製品企画は素晴らしいと思います。
よし、このレンズを活かす写真を撮ってやろうといった、意気込みに導けるのは魅力でしょう。
山本
亀吉さんのご意見に非常に共感します
56/1.2Rを90mmと同じような性格にリニューアルしてくれると
換算85㎜において、両方を持つ意味が生まれるので
そのうち56mk2を出してくれると嬉しいです。
g
このレンズは33/1.0の開発が中止されて生まれたと言う事が興味深いです。
噂されている33/1.4が50/1.0Rのような開けた時の官能性をとるか、
90/2Rや18/1.4Rのような客観的な光学性能を追求したものになるのか、
私も山本さんのご意見に賛成で、90/2Rのようなレンズも増やして欲しいです。
そうすれば私の用途ではソニーαを手放す事ができるので。
M.T.H.
>gさん
35mmF1.4が全群繰り出しの味のあるレンズなので、33mmF1.4は解放からバリバリ解像してくる今っぽいレンズになるんじゃないでしょうかね!?
3514はそのうち光学はそのままにリニューアルしても生き残れますしね。
そうすると私も3514と3314使い分けできて嬉しいですね〜。