ニコン「Z fc」はスタイルの美しさと内容の両方を兼ね備えているがエルゴノミクスで妥協している

DigitalCameraWorldに、ニコンのレトロスタイルのAPS-Cカメラ「Z fc」のレビューが掲載されています。

Nikon Z fc review: old-school style meets cutting-edge tech

  • Z fc に使用されている技術はZ50に近いものだが、Z50は素晴らしいカメラであり、使用されている技術も最新のものなので、それは必ずしも悪いことではない。
  • EVFは大きさや解像度はZ50から引き継がれているが、モニタはZ50よりも若干小さくなっており、バリアングルになっている。このモニタは自撮りやブイログで非常に役に立つ。
  • Z50と根本的に異なっているのが操作系で、モードダイヤルは小さなレバーになっており、シャッターやISOはダイヤルによる操作となっている。

  • Z fcのボディは、美しさを追求したニコンのカメラにふさわしい高い品質であると感じた。上部のプレートは金属製だが、下部のプレートは塗装されたプラスチックだ。上面のダイヤルの操作性は納得のいくもので、フィルムカメラを使ったことのある人は懐かしさを感じるだろう。
  • 前後のコマンドダイヤルは優れたクリック感があり、富士フイルムのXマウント機によく見られるスポンジのような感触ではない。露出補正ダイヤルはカメラの隅から離されており、不用意に回らないようになっている。上面にある絞りの液晶表示は、絞りリングの無いZマウントレンズを補う役割を果たしている。
  • Z50のようなグリップが無いため、Z fcは手から滑り落ちやすく、カメラ周囲のレザー調のテクスチャーも見た目以上にグリップ感が無いので、持ち運ぶ際はレンズ部分と一緒にカメラを持つことになる。付属のストラップの使用を推奨する。

  • もう一つのキットレンズ28mm f/2.8 SEは、16-50mmほどの汎用性は無いが、Z fcに違和感のないデザインで、撮影を楽しめるレンズだ。
  • Z fcの画質はベースのZ50と同じで、驚くような部分はないが、従来の24MPセンサーと比較すると画素ピッチが広いおかげで、ダイナミックレンジと高感度性能は改善している。そうは言っても、ISO3200以上ではピクセル等倍で見るとノイズがはっきりと見えるので、超高感度でのクリーンな画質には期待しない方が良い。
  • ディテールは24MPセンサー搭載機には及ばないが、大幅に画素数が少ないわけではないので、ディテールは十分に豊富だ。
  • ダイナミックレンジは素晴らしく、特にアクティブDライティングが有効になっている場合は優れている。

  • 露出は、照明がトリッキーな場合でも正確だ。
  • AFはZ50から少し機能向上しており、スチルにも動画も顔・瞳認識のワイドエリアAFが追加され、動画でフルタイムで瞳AFを利用できるようになった。一般的な撮影では、暗い場所で動きの速い被写体でも、AFは非常に高速で信頼性が高かった。
  • Z fcで唯一厄介なのは、前述のエルゴノミクス的な欠点で、16-50mm装着時の575グラムの重さは、グリップが無いことが気になる重量だ。また、背面にはサムレストも用意されておらず、カメラをしっかり固定するには両手で支える必要がある。たまに撮影する程度なら問題にならないが、一日中撮影する場合は、片手で楽にホールディング可能で滑る心配のないZ50と比べると使いにくさを感じる。

  • Z fcはDfのあるべき姿を追求したカメラで、現在、ミラーレスカメラに期待されるすべての機能を備えており、申し分のないレトロカメラだ。アルミ製のダイヤルは操作するのが楽しい。ボディは非常に美しいので、使わないときは飾っておきたくなる。バリアングルモニタは今後のZマウント機にも搭載するべきだと思う。
  • 価格は当初予想されていたほど高くはなく、購入を断念するほどではないだろう。しかし、Z fcのボディは滑りやすい形状でエルゴノミクスで妥協しており、また、Xマウントシステムに比べてDXレンズが不足している。しかし、これらの欠点を考慮しても、Z fcはスタイルの内容の両方を兼ね備えたカメラで、レトロの美しさを追求するなら、価格だけの価値のあるカメラだ。
  • 良い点:華麗なスタイル、しっかりとしたスペック、安価な価格。
  • 悪い点:エルゴノミクスの妥協、画素数が20.9MPしかない、ZマウントのDXレンズが少ない。

 

Z fc はフィルムカメラのようなスタイルを追求しながら、カメラとしての基本性能も十分で、眺めても撮影しても楽しめるカメラに仕上がっているようですね。ホールディングが悪いことが欠点として挙げられていますが、これはデザインとの兼ね合いなので仕方ないところで、オプションのグリップ等で対応するしかなさそうです。