ソニー「ZV-E10」は技術的に新しいものは無いがブイロガーに必要な機能を安価に提供している

DigitalCameraWorldに、ソニーのブイロガー向けのAPS-Cミラーレスカメラ「ZV-E10」のレビューが掲載されています。

Sony ZV-E10 review

  • これまでのα6000シリーズのカメラとの大きな違いの1つは、ZV-E10がソニーのAPS-C機で初めてバリアングルモニタを採用していることで、もう1つは、3カプセルの指向性マイクを採用していることだ。3つ目の違いはEVFがないことで、これはスチルカメラマンには難点になるだろう。
  • ZV-E10はかなりコンパクトだが、適度な大きさのグリップのおかげで、手に持った際にかなり安心感がある。
  • モードダイヤルが無いので、メニューからモードを変更する必要があり、これもスチルの撮影にはマイナスポイントだ。静止型と動画、スロー/クイックの切り替えは現状でも十分だが、物理的な切り替えレバーがあれば更に良かった。
  • モニタは小さめで十分な機能を持っているが、それ以上のものではない。

  • ソニーのAFシステムはAPS-Cのミラーレスカメラの中では最も優れており、静止型でも動画でも優れた性能を発揮する。顔認識/瞳認識AFは高速で急激な被写体の動きにも追従する。プレゼンテーションモードも素晴らしいが、このモードと顔認識と併用はできない。
  • スチルの画質は他のソニーのAPS-C機と同等だが、16-50mmのレンズにはあまり期待しない方がいいかもしれない。このレンズはキットレンズとして考えても素晴らしいものとは言えない。
  • 実写では露出に気を付けて撮影すれば、パンチの効いた発色が得られる。ZV-E10の露出は、ハイライトを犠牲にしてシャードのディテールを優先しているようだ。

  • 動画の画質は良好に見えるが、激しい動きは苦手だ。レンズ内手ブレ補正はそれほど効果的はなく、アクティブ手ブレ補正も大きくクロップされるだけで、あまり効果があるように見えない。加えて他のα6000シリーズのカメラ同様に、カメラを素早く動かすとローリングシャッター歪みが見られる。これにより、手持ちで撮影した動画は更にカクカクした動きになってしまう。
  • IBISの欠如やローリングシャッター効果が目立つことは、ジンバルや三脚を使う場合はそれほど問題にならないが、テクニックがあまりない初心者には向かない。ミラーレスカメラをスマートフォンやアクションカメラのアップグレードとして売り込むなら、実際の撮影で優れたものでなければならないが、ZV-E10は画質は高いが、滑らかな動画を撮るには工夫が必要になる。
  • ZV-E10で手持ち撮影は可能だが、かなり静止した状態で撮る必要があり、ジンバルや三脚を使わなかったことを後悔することになる場合も多いだろう。

  • ラボテスト(解像力):ZV-E10の解像力はEOS M50 Mark II(Kiss M2)と同程度だが、ソニーの画像は高感度でノイズが多くなりディテールが失われる傾向がある。高感度では、画素数の少ないニコンZ50の方がZV-E10よりもディテールが維持されている。

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  • ラボテスト(ダイナミックレンジ):ZV-E10は低感度ではEOS M50 Mark IIとほぼ同じで、高感度では1EV広いダイナミックレンジを実現している。しかし、ハイライトやシャドーのディテールは、富士やニコンのカメラには及ばない。ソニーのAPS-Cセンサーはかなり古く、これがノイズと読み出し速度に影響を与えている。

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  • ラボテスト(S/N比):ZV-E10は主要な競合機と比べて、特に高感度でノイズが少し多くなっている。

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  • ZV-E10は多くの点で冒険心がなく、少し劣ってさえいる。ソニーはこの2、3年でAPS-Cの4K動画を全く進化させていない。EVFはなく、操作性の点からもスチルには向いていないが、バリアングルモニタや内蔵マイク、優れた動画AFでブイロガーには最適だ。
  • このカメラはブイロガーに必要なもの一式を現実的な価格で実現しているが、手持ち撮影が安定しないのが残念で、初めてミラーレス一眼を使うブイロガーは不満に思うかもしれない。ZV-E10は技術的に新しいものはないが、特定ジャンルのユーザー向けにの製品としては正鵠を射ていると思う。
  • 良い点:AFの機能と性能、バリアングルモニタ、着脱式のウィンドスクリーン。
  • 悪い点:ファインダーが無い、IBIS非搭載、ローリングシャッター歪み。

 

ZV-E10の欠点としてローリングシャッター歪みが挙げられていますが、これはDPReviewでも指摘されていましたね。

IBISの非搭載に関しては、小型軽量化や低価格化との兼ね合いだと思いますが、電子補正を使っても手ブレ補正はそれほど強力ではないようなので、手持ちで歩きながらの撮影メインの人にはあまり向かないかもしれません。

とは言え、基本的な画質やAF性能は十分で価格が安価なので、動画メインの方なら小型軽量のボディと高性能なマイク、バリアングルモニタだけでも元が取れそうですね。