富士フイルム「GFX50S II」はじっくりと撮影するなら魅力的な選択肢

DigitalCamwraWorldに、富士フイルムの新しい中判カメラ「GFX50S II」のハンズオンが掲載されています。

Hands-on: Fujifilm GFX50S II review

  • 中判を身近なものにするという富士フイルムの目標は、GFXの5番目のモデルGFX50S IIによって一歩近づいたと言える。スペック上は旧型と大きな違いはないように見えるが、全く別のボディと、内部のいくつかのアップグレード、そして魅力的な価格設定により、中判に移行するフォトグラファーが出てくるかもしれないと思う。
  • GFX50S II は旧型と同じ50MPセンサーを採用して低価格化を実現している。このため4K動画機能は無く、連写も3コマ/秒にとどまっているが、最高のスチルの画質だけが求められる場合もある。
  • GFX50S II には、GFX100Sよりも0.5段分効果の高い6.5段の効果のIBISが搭載されている。

  • ハンドリングはGFX100Sと全く同じで、非常に優れている。1日中の撮影にも耐えられる重さだが、GF23mmF4のような重いレンズとの組み合わせでは長時間持っていると疲れてしまう。しかし、GF63mmF2.8との組み合わせならずっとましになる。
  • グリップのエルゴノミクスは優れている。サムグリップにQボタンがあり、誤って押してしまいそうに感じるが、今回の撮影ではそのような問題はなかった。
  • タッチパネルの反応は良好だが、過敏ではなく誤操作は最小限だった。

  • EVFの倍率は旧型の0.85倍から0.77倍に低くなっているが、この有機ELパネルは抜群のシャープさだ。
  • AFはフルサイズやAPS-Cミラーレスカメラに比べると、コントラストAFなので動作が緩慢に感じられるが、AFアルゴリズムの改善により合焦までの時間はそれほど長くはなく快適に使える。
  • 3コマ/秒の連写はスポーツ撮影向きのカメラには敵わないが、多少動きのあるポートレートなら対応可能だ。テスト撮影では川のフェリーに素早く合焦し上手く追従することができた。とは言え、このカメラはポートレートや静物、風景などをじっくりと撮影するためのものだ。

  • 優れたセンサーとフジノンレンズとの組み合わせによって、このカメラのディテールと階調は息を呑むほど素晴らしい。ダイナミックレンジにもかなり余裕があり、Lightroomによるシャドー部の回復処理も驚くほど容易だ。
  • IBISは、GF30mmF3.5との組み合わせで2秒の手持ち撮影を行ったが、被写体のボトルのラベルが読み取れるので、低照度の画質が優れていることだけでなく、手持ち撮影がしやすいこともよく分かる。
  • 高感度性能も非常に優秀で、ISO1600のノイズは仔細に見ないと分からない程度で、ISO6400でもノイズは少し目立ち彩度は若干落ちるものの使える画質だ。

  • じっくりと写真を撮るならGFX50S IIは魅力的な選択肢だ。決して安価ではないが、中判としては驚くほど手頃な価格だ。AFはレンズにもよるが、遅すぎて不満に思うことはないだろう。
  • 画質は驚くほど優れていて、見事なダイナミックレンジのため、通常削除するような画像でも回復の余裕がある。ハンドリングは非常によく、他のどのシステムからの移行でも、GFX50S IIに簡単に馴染めるだろう。
  • GFXは携帯性と手頃な価格から、これまでで最も魅力的なカメラの1つとなっている。4K非搭載のため敬遠する人もいるかもしれないが、スピードや動画を重視しないなら、中判センサーのアドバンテージをこれまでよりも遥かに安い価格で享受できるカメラだ。

  • 良い点:エルゴノミクスに優れたボディ、比較的手頃な価格、非の打ち所のない画質。
  • 悪い点:他のミラーレスカメラと比べると緩慢なAF、4K動画が非搭載、長時間の撮影では重い。

 

GFX50S II は連写速度やAF速度、動画などは割り切って、動きモノ以外のスチルに主眼を置いたカメラなので、なんでも撮りたい人には向きませんが、風景や静物を高画質でじっくりと撮りたい人には最適なカメラかもしれませんね。小型のボディとIBISの搭載で、中判でも手持ちで軽快に撮影できそうです。