タムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は高倍率ズームとしては驚くほど高解像力

Sony Alpha Blogに、タムロンのAPS-Cミラーレス用の高倍率ズーム「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD(Eマウント版)」のレビューが掲載されています。

Tamron 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD

  • このレンズの第一印象は、APS-C用のレンズとしては非常に大きいと感じた。鏡筒の品質は、他のタムロンのレンズ同様で良好だ。フィルター径も67mmが維持されている。
  • このレンズは、ズーミングで大きく伸びる。カメラを首から下げていると自重でズームがゆっくり伸びてしまうので、ズームロックスイッチが付いている。
  • ズームリングは非常に重く、滑らかにズームミングするのは難しい。
  • AFは速く正確で静かだ。望遠側(200~300mm)では光の条件が厳しいと、レンズが暗いのでAFは少々苦戦する。瞳AFと動体追尾AFは非常によく機能する。

  • 解像力テストでは、18~100mmでは非常に良い(very good)~素晴らしい(excellent)の驚くべき結果だった。200~300mmの範囲では1段階性能が低下するが、1段絞ると非常に良い解像力を維持している。解像力はこの種の高倍率ズームとしてはとても優れている。

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  • 接写は18~100mmではとても良好だが、300mmではかなり落ち込む。
  • 遠距離は18~150mmではとても良好~素晴らしい性能だが、200~300mm開放では良好~とても良好まで低下する。300mmではF8以上に絞った方がよい。
  • ポートレートでは肌の色再現は素晴らしいが、室内ではレンズが暗いのでかなりISO感度が上がる。

  • 歪曲は18mmではかなり強いタル型で、補正が必要だ。望遠側にズームすると歪曲はすぐに糸巻き型に変わる。JPEGでは自動的に歪曲が補正されるが、RAWではLigthroomのレンズプロファイルはまだ無く、過去の例からタムロンのレンズは6ヶ月から1年は待つ必要があるだろう。
  • 周辺光量落ちはかなり目立ち、解消するには2段絞る必要がある。
  • 色収差は暗いレンズなので非常に少ない。

  • 太陽が画面に入るといくらかハロが見られ、逆光耐性は平均的だ。
  • 玉ボケは開放からF8まではほぼ円形を維持していて、これは7枚羽根の絞りとしては良好な性能だ。後ボケは高倍率ズームとしては非常に柔らかく、暗いレンズだが最短まで寄ればかなり大きなボケが得られる。
  • 色再現は自然でとても優れている。

  • 動画では全体的に優れた画質で色再現も素晴らしいが、ズームリングは非常に硬く最悪だ。動画で滑らかなズーミングは出来ないので、動画では焦点距離を固定して撮影した方が良い。ズーミングする場合は、ズーミング中の動画は使えないと思ったほうが良い。
  • 望遠端で動画を撮影する場合は一脚か三脚が必要だ。動画のAFは150mm未満ではとても良好だが、150~300mmでは迷うことが多くなる。フォーカスブリージングはとても少ない。

  • 他のレンズとの解像力の比較では、古いタムロン18-200mm F3.5-6.3 Di III VCやソニーE18-200mm F3.5-6.3 OSSより遥かに高性能だ。ズーム域の狭いE18-135mm F3.5-5.6 OSSに近い性能だが、望遠側はE70-350mm F4.5-6.3 G OSSには及ばない。

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  • ボケは他の(タムロンやソニーの)18-200mmよりも優れている。歪曲、周辺光量落ち、逆光耐性は他の高倍率ズームと大きな違いはない。
  • 画質や高速なAFを考えると、タムロン18-300mm F/3.5-6.3は他の全ての18-200mmのズームと比べてダントツだが、もし、100~300mmのズーム域を中心に使用するなら、ソニーのE70-350mm F4.5-6.3 G OSSの方が良い選択肢だ。
  • タムロン18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXDは大きく重いが、シャープで発色が良く後ボケも滑らかだ。他の多くの18-200mmやE55-210mm F4.5-6.3よりも遥かに優れた性能で、Eマウントのオールインワンズームとしてはベストだと思う。しかし、スチルでは非常に良い結果が得られるが、動画では滑らかなズームができない。

 

タムロンの18-300mm F/3.5-6.3は非常に倍率の高いズームにもかかわらず高解像力で、一昔前の高倍率ズームから格段に進化していますね。望遠側はさすがに少し甘くなるようですが、それでも開放から十分に実用になる性能を維持しているようです。

欠点としては、ズームリングが硬く動画で滑らかにズーミングできないことが挙げられていますが、フォーカスブリージングが少なく動画向きの光学系なので、これは少々残念ですね。