ソニー「α7 IV」は熱心なハイアマのニーズに応えることができるカメラ

DPReviewに、先日発表されたソニー「α7 IV」の初期レビューが掲載されています。

Sony a7 IV initial review

  • 連写は高解像度化にもかかわらず10コマ/秒だが、RAWでは非可逆圧縮時のみで、可逆圧縮の場合は連写速度は6コマ/秒に低下する。バッファはRAW+JPEGで800枚以上(JPEGで1000枚以上)あるが、これは非圧縮RAW使用時で、連写速度はやはり6コマ/秒になる。

  • ローリングシャッターの速度は14bitの全画素読み出しで1/15秒(66ms)かかり、これはα1の読み出し時間の17倍で、このセンサーは高速なセンサーではない。このため、動体ではサイレントシャッターを使うと大きな歪みが発生しやすいだろう。全幅の4K動画の読み出しは26.5msで、この速度は同クラスの他機種と比べても遜色がない。4K60pでは12.8msで、動きの速い被写体以外は歪まない速さだ。

  • AFは、瞳AFがメインのAFシステムと統合され、原始的なトラッキングシステムを使用していたα7 IIIから大きく改善されている(α7 IIIでは人を追尾する場合、瞳・顔・体をシームレスに切り替えることはできなかった)。加えてα7 IVでは鳥や犬、猫などの動物の検出にも対応している。
  • α7 IVのAFシステムは、キヤノンの最新のAFシステムのように、対象となる被写体をカメラに伝えるだけで、カメラは最適なAFアルゴリズムを選択し、最も合焦率が高くなるようにしてくれる。

  • AF以外での最大の改善点は動画機能で、α7 IVでは10bitに対応し、HLGも追加されるなど大きく進化している。また4K60pも可能になったが、これはAPS-C/Super35にクロップされる。動画では瞳AFが使用可能になり、追従性が大幅に改善されている。
  • α7 IVにはレンズのフォーカスブリージング(ピント位置による画角の変化)をトリミングで自動補正する機能が追加されている。この機能はブリージング特性のプロファイルが必要になるため、ソニー純正レンズ(GMレンズと一部のGレンズ)でのみ動作する。
  • USBで動画をライブストリーミングする機能があり、HDかフルHDで最大60fpsが可能だが、4Kでは15fpsまでしか対応していないため、映像がカクカクしてしまう。

  • ボディはα7S IIIと共有しているようだが、露出補正ダイヤルが無印字のロック可能なダイヤルになり、露出補正以外の用途にも利用できるようになっている。モニタはバリアングルで、人によって好みは分かれると思うが、チルトでは難しいブイログや自撮りなどが可能になる。
  • α7S IIIで初採用された新メニューと機能拡張されたタッチパネルの採用は喜ばしいことだ。メニューの操作性は、格段に向上している。
  • Bluetoothによるスマートフォンとの常時接続が可能になり、画像をスマートフォンに素早く転送できるようになった。
  • 電源を切ったときにシャッターが閉じる機能が追加されており、センサーへのホコリの付着を防ぐことができるようになっている。
  • バッテリーライフはモニタ使用時で580枚、EVF使用時で520枚で、プロスポーツやウェディングなどの厳しい撮影でなければ、バッテリー残量を気にする必要はないだろう。

  • α7 IVはより熱心なハイアマのニーズに応えることができるカメラで、好評のキヤノンEOS R6の直接的なライバルとなった。とは言っても、少なくともスペック上ではR6を大きく超える性能ではなく、実使用でどのように比較されるのかは興味深いところだ。
  • ソニーは、α7 IVにはα1から受け継いだ多くの機能があると述べている。いくつかの機能が受け継がれているのは事実だが、α7 IVにはα1を支える強力な積層型CMOSセンサーは採用されておらず、α7 IVの多くの機能はα7S IIIから受け継いでいると言うのが妥当だろう。
  • 全体的にα7 IVは非常に高性能なカメラに見えるが、新しくソニーのカメラを購入しようと思っている人には、高い価格や、ライバルが存在すること、α7 III によって設定された(このシリーズの)高いハードルなどから、初期のα7のような際立った存在になるのは大変だ。しかし、α7、α7 IIのユーザーやいくつかのα7Rシリーズのユーザーは、α7 IVの進化に驚かされることだろう。

 

α7 IVはα7 III と比べると全体的に進化していて、このクラスとしてはハイスペックなモデルになっていますが、積層型CMOSが採用されているわけではないので、電子シャッターのスキャン速度や連写速度等では上位モデルと明確に性能差が付けられているようですね。

α7 IVの価格は2500ドルと、現時点α7IIIの初値よりも500ドルほど高くなっていますが、AFのトラッキング性能や、動画性能を重視する人には、この価格差があっても非常に魅力的なカメラになりそうです。