「RF14-35mm F4 L IS USM」はこれまでのキヤノンの広角ズームで最もシャープなレンズ

DUSTIN ABBOTに、キヤノンの小三元の広角ズーム「RF14-35mm F4 L IS USM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 14-35mm F4L IS USM Review

  • RF14-35mm F4Lは、全長99mm、重さ544gと、EF16-35mm F4Lよりも小型軽量なのには驚いた。鏡筒は、高度な防塵防滴性を備えた高品質な造りになっている。このレンズはプロ仕様の品質と適度な大きさを見事に両立させている。
  • ズームリングは適切な重さで滑らかに動く。ズームで鏡筒はわずかに繰り出すが、レンズが最も短くなる焦点距離がズームの中間域(22mm)で、ワイド端でもテレ端でも伸びるのは好みではない。いつもの癖で収納時に広角端にすると、レンズが伸びた状態になってしまう。
  • フォーカスリングは電子式だが、十分な重さがあり滑らかに動く。素早く回すと若干タイムラグを感じるような気がするが、ごくわずかなのではっきりとは分からない。

  • 手ぶれ補正は35mmで撮影した際に0.6秒のシャッター速度で40%の画像が止まっており、4~5段分の効果が確認できた。このレンズのISの効果は非常に高い。私にとってより重要なことは、ジンバルほどではないが安定した動画が撮影できたことで、作動音も静かだ。
  • 近接撮影能力は35mmでは最短撮影距離は20cm、最大撮影倍率は0.38倍とトップクラスで、これまでのキヤノンの広角ズームよりも寄れる。接写では少しコントラストが落ちるが、寄れるのはとても便利だ。
  • 絞り羽根は9枚で、絞ってもかなり円形に近い形を維持している。絞り込んだときの光芒は多少にぎやかになるが、見た目はとても気に入っている。

  • AFはナノUSM(リニアモーター)で、非常に速く静かで正確だ。ND1000のフィルター使用時でもピントは瞬時に合った。以前はこのような状況ではAFが使えなかったが、それはもう昔の話だ。
  • 瞳AFは広角レンズではよくあることだが、瞳の面積が小さすぎて瞳のリアルタイムトラッキングができないことが多いが、被写界深度が十分にあるため問題はない。とは言え、人間を撮るときのAFは何度かミスショットもあり、必ずしも満足できる性能ではなかった。動画のAFは良好な結果で、若干の作動音はあるが、マイクでは拾わないので映像制作に問題はない。

  • 画質はシャープさに関しては議論の余地がないもので、このレンズは非常にシャープで実にディテールの豊富が画像が得られる。RF15-35mm F2.8 L ISとの比較では同じ絞り値では、RF14-35mm F4L ISの方が明らかに優れている。これはズーム域が広くなり、レンズが大型化しなかったことを考慮すると素晴らしいことだ。
  • 画質は多くの点で感心したが、明らかに手を抜いている(自動補正に頼っている)部分があり、14mmの未補正のRAWを見て非常に驚いた。14mmでは四隅はケラレており、イメージサークルが足りていない。これは絞っても解消しない。このような仕様は高倍率ズームや安価なレンズでは見られるが、プロ用のズームで見たのは初めてだ。
  • JPEGでは歪曲と周辺光量落ちの自動補正のために、かなり周辺部が大きく切り取られている。未補正では歪曲はかなり強く、陣笠状なのでプロファイルがないと上手く補正できない。

  • 周辺光量落ちは四隅のケラレている部分を除いても極めて強く、3段分かそれ以上の落ちている。
  • 補正前の画角はサムヤンの14mm F2.8よりも少し広いが、歪曲補正後は狭くなり、15mmレンズに近い。これでは、建築物などの分野で14mmスタートの効果が薄れてしまうが、良いニュースは少し望遠側にズームすると歪曲が素早く改善することで、24mmでは歪曲はほとんどなくなる。しかし、周辺光量落ちは強いままだ。
  • サムヤン14mm F2.8との解像力の比較では、キヤノンの方が遥かにシャープで、これは風景用のレンズとしてはとても重要なことだ。

  • 近接域ではハイコントラストの部分に若干のフリンジが発生し、球面収差によって少しソフトになる。しかし、少し離れれば素晴らしい画質になる。
  • 倍率色収差は一般に広角レンズのウィークポイントとされているが、このレンズはラボテストでも実写でも倍率色収差の問題は見られなかった。
  • このレンズは実写では画面の隅まで信じられないほどシャープだ。

  • 解像力チャートによるテストでは、14mm開放では素晴らしい結果で、より高価なRF15-35mm F2.8Lに優っている。F5.6ではコントラストが若干改善するが、開放から十分シャープなので高解像力を得るために絞り込む必要はない。
  • 20mmでは素晴らしい性能で、圧倒的な解像力はそのままに歪曲は改善している。このレンズは、チャートの隅の部分を200%の倍率でも見てもシャープだ。実写でもこの焦点距離は見事な画質だ。
  • 24mmでも素晴らしい解像力が維持されており、中央は20mmより更にシャープになるが、四隅は若干解像力が落ちる。しかし絞ると改善し、そして実写では信じられないほどシャープだ。
  • 28mmは24mmと非常に近い性能で、非常に優れた解像力だ。
  • 35mmは他の焦点距離よりもかなり劣り、28mmよりもコントラストが大きく低下する。絞るとコントラストは改善するが隅の解像力はあまり改善せず、F6.3でも周辺部はかなり甘い。

  • F4のレンズなので天体写真に向いているとは言えないが、コマ収差は良く補正されており、画面全域で星像はシャープだ。しかし、周辺光量落ちは悩ましい。
  • ボケはF4なので大きなボケを期待するレンズではないが、かなり寄れるので、寄れば綺麗なボケが得られる。
  • 発色はキヤノンのレンズは概して素晴らしいが、このレンズも同様だ。
  • フレアは何度か太陽を入れて撮影してみたが、特に気になるようなことはなかった。

  • このレンズはEF16-35mm F4Lと比べて良い点もあるが悪い点もある。焦点域が広がり、よりシャープになったが、歪曲や周辺光量落ちは増えている。風景では問題ないが、建築やインテイリアの撮影にはあまりおすすめできない。
  • 価格はEF16-35mm F4Lと比べて高くなっており、RFレンズの価格に詳しい人なら驚きはないかもしれないが、やはり値上げは残念だ。ワイド端は15mmにして歪曲や周辺光量落ちを抑えた方が安全策だったかもしれないが、私はキヤノンがチャレンジしたことを称賛したいし、風景ではこれらのことは問題にならないだろう。

  • このレンズには良い面も多くあり、望遠端以外では信じられないほどシャープで、EOS R5の4500万画素にも見事に対応し、素晴らしいコントラストとディテールのある画像が得られる。逆光耐性も優れており、コマ収差もよく補正されている。小型軽量で、手ブレ補正も非常に良く効く。
  • このレンズで撮影した画像は非常に気に入っており、レンズプロファイルが出てくれば、欠点は綺麗に隠されるだろう。このレンズは軽量で汎用性が高くシャープな広角ズームを探している人にとって、素晴らしい選択肢になるだろう。

  • 良い点:ハイグレードな造り、軽量コンパクト、プロ仕様の防塵防滴、広角端が14mm、フロントフィルターが使える、手ブレ補正が効果的、これまでのキヤノンの広角ズームで最もシャープ、美しい発色と素晴らしいコントラスト(35mm除く)、色収差の良好な補正、良好な逆光耐性、コマ収差の良好な補正、最大撮影倍率が高い。
  • 悪い点:EFレンズよりも高価、ズームの中間域で一番短くなること、フォーカスリングの位置が手探りだと分かりにくい、14mmの周辺のケラレ、ズーム全域の周辺光量落ち、14mmの強い歪曲。

 

RF14-35mm F4 L IS USMは電子補正に頼ったレンズ設計のようですが、四隅まで極めてシャープで、歪曲補正が周辺の解像力にあまり影響していないようなので、問題はなさそうですね。35mmで解像力やコントラストが落ちるのは、多くの広角ズームで見られる現象なので、これは仕方がないところかもしれません。

また、広角端での周辺部のケラレ(イメージサークルの不足)が指摘されていますが、最近のレンズでは歪曲補正で四隅のケラレを切り取って補正する設計は珍しくないので、どうしても歪曲補正なしでレンズを使いたいという人でなければ問題はなさそうです。