「HD PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED PLM AW」はスターレンズの名に相応しい期待通りの性能

Pentax Forums に、リコーの新しいAPS-C用の大口径標準ズーム「HD PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED PLM AW」レビューが掲載されています。

HD PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED PLM AW

  • 旧型のDA★16-50mm F2.8は色収差やパープルフリンジが目立ち、更にSDMの故障率が高いという欠点があり評判を落としたが、ペンタックスはこの問題に取り組み、完全な新設計の16-50mm F2.8をリリースした。
  • 最近の多くのスターレンズ同様に、このレンズも大きく重厚なレンズで、旧型と比べて重さは26%、全長も26%増えている。鏡筒は金属製で、堅牢さと無骨さが感じられるヘビーユースを前提としたレンズだ。造りはしっかりとしていて、ガタつきは見られない。

  • AFモーターはPLM(パルスリニアモーター)で、第一世代のSDMやボディモーターに比べて格段に優れている。AFは作動音がなく、これまでで最高に静かなレンズの1つだ。AFはインナーフォーカスではなく鏡筒はわずかに伸びる。AFは非常に正確でレスポンスに優れており、K-3 IIIとの組み合わせでは、AFはこれまでよりも一歩進んだものとなっている。
  • AFは明るい場所では圧倒的な速さで、OVFでもライブビューでもほとんど差はないが、暗くなってくると、OVFの方が良い結果が得られる。動体の追従性はK-3 III との組み合わせでは、これまでにない最高の結果が得られた。AFの迷いは全く見られなかった。AFに関しては、ペンタックスではこのレンズほど高性能なレンズはない。
  • フォーカスリングは電子式だが、機械式との違いはあまり気にならず、逆方向に回したたときの遊びもなく、非常に正確にピント合わせができる。

  • 色再現は自然で正確だ。発色はパンチが効いているが、過剰な色乗りではない。
  • 光芒は円形絞りなので期待していなかったが、トップレベルではないものの十分な光芒が得られた。これは嬉しい驚きだ。
  • 内蔵フラッシュは広角端ではケラれるが、これはレンズのサイズから予想されたことだ。

  • 解像力は16mmでは中央は開放から良好で、F16までそのレベルを維持している。周辺部はF2.8とF4では使い物にはなるが、明らかに甘くなる。F5.6以上は中央との差はまだあるものの、非常に良い結果が得られる。四隅も周辺と同様で中央には劣るがF5.6~F8に絞れば大きな問題はないだろう。
  • 30mmの解像力は16mmとよく似ているが、中央は開放ではそれほど良くはなく、F4でベストの解像力になる。周辺や隅は中央と同レベルではないが、16mmの時ほどの差はない。30mmでは開放時の解像力は下がっているが、均一性は向上している。
  • 50mmの解像力は30mmよりも周辺と隅は更に良好で、F4でも隅は中央に近い解像力で、F5.6とF8では隅は中央と同じになる。画面全域の均一性は、50mmが最も高い。

  • 周辺光量落ちは自動補正OFFで計測したが、30mmではほとんど周辺光量落ちは見られず、どのズーム域でも0.8EV以下と驚くほと少ない。周辺光量落ちの少なさは際立っている。
  • ボケは、開放では輪郭が付かず滑らかな見事なボケを実現している。この見事なボケは、絞っても維持されている。どの絞り値でも玉ボケが円形で、口径食が見られないのは印象的だ。
  • 逆光では光源が中央にある場合は、絞り開放ではフレアが見られゴーストもわずかに発生する。絞るとフレアは減るがゴーストの数は著しく増える。光源が隅にある場合には絞り開放で対角線上にゴーストが発生し、絞ると光源付近にゴーストが現れ、絞るほど激しくなる。このレンズの逆光耐性は、それほど素晴らしいものではない。

  • 色収差は中央では見られない。画面の周辺部では開放時にわずかに見られるが、F4に絞ると解消する。色収差の補正は完璧ではないが素晴らしいものだ。パープルフリンジはほとんど見られない。
  • 歪曲は16mmでは2.5%のタル型で目立ち、隅の直線的な被写体では顕著になる。ズーム中間域では、歪曲は無視できるほど小さくなる。望遠端では歪曲は再び大きくなるが、多くのケースでは気にならないだろう。歪曲はズームレンズとしては驚くようなものではなく心配はいらないが、特に素晴らしいものではない。

  • HD PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED PLM AWは、AFの点では、これまでテストしたどのペンタックスのレンズよりも速く旧型から大きく進歩している。鏡筒はしっかりしていて長年に渡って使えるはずだ。光学性能も期待通りで、ボケも素敵だ。このレンズはスターレンズの名に相応しいもので、旧型よりも更に優れている。高価で大きいが、最高の性能を求める人の期待を裏切らないレンズだ。
  • 良い点:頑丈で見事な鏡筒の造り、素晴らしい中央の解像力、ゴージャスなボケ、中間域から望遠端での歪曲、色乗りが豊かで美しい描写、テストした中で最速のAF、周辺光量落ちが少ない、平均以上の光芒、よく補正された色収差とパープルフリンジ。
  • 悪い点:多くのケースでいくらかフレアが出る、広角側で隅が甘い、広角端の歪曲、旧型より大きく重い。

 

新しい16-50mm F2.8は、AFから鏡筒の造り、光学性能まで全方面に渡って旧型から大きく改善されていて、かなり訴求力がアップしていますね。描写に関しては解像力一辺倒ではなく、開放付近は柔らかさがあってボケも綺麗で、ペンタックスのレンズらしい雰囲気のある描写という印象です。あと、周辺光量落ち・口径食は少なさは驚きですね。