キヤノン「RF16mm F2.8 STM」はブリージングなどの欠点はあるが十分に魅力的な性能

CAMERALABSに、キヤノンの軽量コンパクトで安価な超広角単焦点レンズ「RF16mm F2.8 STM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 16mm f2.8 STM review

  • 鏡筒や操作部はRF50mm F1.8と基本的に同じで、フィルター径やIS非搭載、シーリング無しなどの仕様も共通だ。
  • 鏡筒に独立したコントロールリングが無いのは低価格なレンズでは問題ではないが、RF50mm F1.8同様にMF/AF切り替えをメニューで行う(またはファンクションボタンに割り当てる)必要があるのは面倒だ。ファームウェアのアップデートで、ぜひ鏡筒のコントロール/フォーカスの切り替えスイッチをAF/MF切り替えスイッチに変更できるようにして欲しい。

  • AFは他の安価なRFレンズ同様で、最速ではないが非常に滑らかな動きで、ほとんどの撮影で問題はないはずだ。STMは静かな環境では作動音が聞こえることがある。
  • テスト画像はEOS R5で撮影し、自動補正が適用されたものだ。中央はディテールがきちんと再現されており、絞り込んでもコントラストが若干改善するだけだ。隅は価格から予想された通り開放ではソフトになり、フリンジも見られるが、全体としてはそれほど悪くはない。F4に絞るとソフトさもフリンジも改善され、F5.6では画面全域でかなり良好に見えてくる。風景ではF5.6かF8に絞れば画面の隅まで、最良の結果が得られるだろう。

  • 同じ画角にセットした14-35mm F4Lとの中央の画質の比較では、絞り開放同士の比較ではほとんど同じで、F4同士の比較でも大きな違いはない。しかし、F5.6に絞ると、R5のような高画素機では若干14-35mm F4Lの方がシャープに見える。
  • 14-35mm F4Lとの隅の画質の比較では、開放同士では16mm F2.8の方が若干リードしているように見える。F5.6に絞っても16mm F2.8が引き続き若干リードしている。

  • 同じ画角にセットした15-35mm F2.8Lとの中央の画質の比較では、開放同士ではディテールは同程度だが、15-35mm F2.8が少しコントラストが高くシャキっとしている。F4同士の比較ではどちらも若干改善するが、ここでも15-35mm F2.8が若干リードしている。F5.6でも同様だ。
  • 15-35mm F2.8Lとの隅の画質の比較では、F2.8同士では15-35mm F2.8Lが明らかにリードしており、それと比べると16mm F2.8はかなりソフトに感じる。F4に絞ると16mm F2.8は改善するが、F5.6でも15-35mm F2.8Lがリードを保ったままだ。15-35mm F2.8Lは最もシャープだが、大きく重く非常に高い。

  • 天体撮影では開放では画面の中間域までは点像で、隅に移動してもコマ収差がいくらか見られる程度で一番隅の部分以外はとても良好な写りだ。F4に絞るとコマ収差を抑えて、隅をシャープにすることができるが、レンズの価格を考えればF2.8でも天体の描写性能は悪くないと思う。
  • 絞り込んだときの光芒は魅力的だ。

  • 動画のAFは特に速くはないが、非常に滑らかで安心感がある。STMは50mm F1.8同様にわずかに作動音が聞こえ、静かな環境では内蔵マイクが音を拾うが、会話をしたり、音がする環境なら問題となることはないだろう。
  • フォーカスブリージングはかなり見られ、天体撮影ではフォーカシングで拡大表示している星の位置がブリージングでずれるので、ピント合わせが難しい。
  • 歪曲は撮って出しのJPEGではほとんどまっすぐだが、プロファイルが適用されていないRAWでは劇的な歪曲がある。周辺部もRAWでは絞り込んでもケラれていてショックを受ける人もいるかもしれないが、このようなコンパクトで安価なレンズでは自動補正に頼ることは珍しくはない。歪曲を光学的に補正したレンズは大きく重く高価だ。自動補正に頼ったレンズが、自分のニーズを満たすのかよく考える必要があるだろう。

  • RF16mm F2.8 STMは魅惑的なレンズを手の届く価格で提供する稀有な存在だ。安価で軽量コンパクトで金銭的にも体力的にも負担が小さいレンズだが、フォーカスブリージングが目立ち、デジタル補正に強く依存している。手ブレ補正は搭載していないのでブイログに向いてないと思うかもしれないが、テストではIBISと電子手ブレ補正だけでも十分に安定した動画が得られた。
  • ブリージングの少なさや、レンズ内手ブレ補正、防塵防滴などを求めるなら広角Lズームだが、これらのレンズは大きく重く高い。299ドルのレンズでは完璧な光学性能は得られないが、RF16mm F2.8のテスト結果は十分に魅力的なもので、既に広角Lズームを持っていても、ほとんどの人がこのレンズが欲しくなるだろう。

 

RF16mm F2.8は実写テストでRF14-35mm F4に全く引けを取らない性能で、コストパフォーマンスは抜群ですね。電子補正に強く依存しているようですが、結果的に十分な画質が得られているので、大きな問題はなさそうです。

ただ、フォーカスブリージングはかなり目立つようで、またAFの作動音も若干するということなので、動画で使う場合は注意が必要かもしれませんね。