「α7 IV」は「EOS R6」をノックアウトはできなかったものの勝利を収めている

DPReviewに、ソニーα7 IVとキヤノンEOS R6の比較レビューが掲載されています。

Sony a7 IV vs Canon EOS R6: Which is the best enthusiast mirrorless?

  • α7 IVの価格とスペックはEOS R6と直接競合することになるが、どちらが良いカメラなのだろうか? 最近のカメラは非常に優秀なものが多いので、総合的に判断すると決定的にどちらが勝者ということはないだろう。そこで、2機種の詳細に見ていきどちらが自分にとってベストか判断するための情報を提供したいと思う。

  • 画質(ディテール):2機種で最も大きな違いは画素数だが、これは数字通りの違いがある。ソニーの3300万画素センサーはキヤノンの2000万画素センサーよりも、ディテールが豊富で、JPEGのシャープネス処理によってこのメリットを最大限に活かしている。
  • 画質(高感度):高感度性能ではキヤノンが優位で、同サイズで比較してもキヤノンの方がノイズが若干少ないが、その差はRAWの画像を並べて比較しないと分からないほど小さい。
  • 画質(ダイナミックレンジ):ダイナミックレンジは大きな差はないようで、どちらもノイズで破綻するまでに、RAWファイルからシャドー部を非常に大きく持ち上げることができる。キヤノンはノイズリダクションが適用されているようで、シャドー部のシャープさがソニー比べて少し欠ける印象だ。
  • 画質(JPEG):どちらもJPEGは魅力的で、全体として非常に優れた画質だが、ソニーのより豊富なディテールが2機種の最も大きな違いだと感じる。

  • AF:どちらも非常にパワフルで分かりやすいAFシステムだ。どちらのカメラも画面内から非常に小さな瞳や顔を見つけ出して見事に追尾する。両機種を並べて比較はしていないが、どちらも非常に優れた性能で、いずれもユーザーの入力操作や設定を最小限に抑えながら極めて良好な結果を出している。もし、あなたのカメラが2年以上前のものならα7 IVとEOS R6の両方がそれを凌駕することだろう。

  • ハンドリング:カメラの操作感は実際に使ってみると全く別物で、EOS R6はよりボディが大きくシンプルで、グリップもより快適だ。R6はタッチパネルの使用を促す非常にシンプルな操作を実現している。α7 IVの操作は煩雑になりがちだが、カスタマイズ可能だ。α7 IVのメニューはタッチ操作可能だが、通常の撮影時にタッチパネルで設定を行うことはできない。操作性はR6の方がシンプルだが、高度な機能を利用する場合はメニューを掘り下げる必要がある。α7 IVは少しカスタマイズすれば、よく使う設定に瞬時にアクセスできるようになる。

  • EVFとモニタ:EVFはどちらも369万ドットの有機ELだが、キヤノンの方が多くの時間をフル解像度で表示しているように見える(ソニーはパネルの解像度をフルに使用するには消費電力の大きい高精細モードに設定を変更する必要がある)。倍率はR6が0.76倍とα7 IVが0.78倍でソニーの方が高いが、アイレリーフは同じだ。液晶モニタはR6が162万ドット、α7 IVが104万ドットでキヤノンの方が高解像度だ。

  • バッテリーライフ:どちらも大容量バッテリーを採用しているが、バッテリーライフではキヤノンはソニーに遠く及ばない。CIPAのテストではキヤノンはモニタで510枚、EVFで380枚、ソニーはモニタで580枚、EVFで520枚だ。実写ではこの数値とはかなり異なるが。ソニーの方がバッテリーライフはかなり長いと考えていいだろう。両機種のバッテリーライフは、いずれも優れており、それほど問題にならないはずだ。

  • 連写:R6は電子シャッターでは速い動きは歪んでしまいRAWが12bitになりダイナミックレンジが狭くなる(12コマ/秒のメカシャッターはビット深度の低下なし)。α7 IVの10コマ/秒の連写は12bitの非可逆圧縮RAWのみでダイナミックレンジが狭くなる。R6の電子シャッターは歪みが問題になるので、R6の12コマ/秒 vs α7 IVの10コマ/秒の戦いになるが、解像度を考慮すると悩ましいところだ。どちらの機種もAFは動体に適しているが、スペックから想像されるような激しい動体撮影にはそれほど向いていないようだ。

  • 動画:どちらも4K60p 10bitと同じようなスペックだが、詳細に見ていくとかなり異なる点がある。EOS R6は4Kはわずかなクロップで、ローリングシャッターの速度はそこそこで、画質は優れている。α7 IVは4K30pでは全幅読み出しで最大レベルのディテールが得られるが、4K60pでは1.5倍に大きくクロップされ、広角撮影が難しくなりノイズも増える。4K動画のローリングシャッターはα7 IVがR6より多少速い。R6はオーバーヒートで録画時間が制限されることがあり、29分59秒の録画時間の制限もあるが、α7 IVはメニューで温度制限を解除するとほぼ無制限に録画することができる。
  • 動画その2:動画のAFは、α7 IVはスチルほどではないが非常によく追尾する。R6の動画AFも同様に被写体をしっかりと追いかける。動画のツールとしては、被写界深度表示やブリージング補正に対応しているソニーに軍配が上がる。ソニーはHDMIコネクタが信頼性に欠けるマイクロではなくフルサイズなのも有利だ。EOS R6はスチル撮影と動画撮影が上手く分離されており、手ブレ補正がα7 IVよりもよく効く。

  • レンズ:ソニーはマウント情報の公開に積極的で、その結果、他のどのミラーレスマウントよりも豊富なEマウントレンズが揃っている。キヤノンはネイティブレンズの数では勝負にならないが、EFレンズをアダプターで使える(ソニー機でもEFレンズは使えるが、性能は期待できない)。RFレンズはレンズプロファイル情報をレンズ内に持っていないので、DPPを使うか、ソフトベンダーがレンズプロファイルを配布するまでは歪んで見える(歪曲が補正されない)可能性がある。

  • 結論:α7 IVを細かく見ていくと、2500ドル以下の市場でユーザーをソニーに引き戻すのに十分な出来栄えのカメラのように思える。R6のような優れたカメラをノックアウトはできないものの、高解像度やバッテリーライフ、制限の少なくサポートツールの豊富な動画機能などで打撃を与えている。Eマウントのレンズの豊富さも加味して軍配はソニーに上がる。ソニーがタイトルベルトを手にしたが、R6も立派なファイターとして認められるだろう。

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風景等で高画素センサーのディテールを求める人には、α7 IVがより魅力的な存在になりそうですが、連写に関しては電子シャッターの高速連写はR6にしかなく、この2機種は同クラスのカメラと言っても少し方向性が違ってきているという印象です。

画質に関してはディテールのα7 IVと高感度のEOS R6という結論で、画素数の違いを考えると想定の範囲内の結果に収まっていますね。

動画機能は、α7 IVは後発だけあって、ブリージングの自動補正など非常に多機能で録画時間の制限も無いので動画クリエイターの厳しい要求にも応えられそうですが、4K60pで大きくクロップしてしまうのが唯一気になるところです。