キヤノンが、暗闇でも鮮明なカラー画像が撮影可能なSPAD(単一光子アバランシェダイオード)センサーの2022年の量産を発表しています。
・キヤノン、暗闇でもカラー撮影 センサー22年量産(日経新聞)
- キヤノンが暗闇でも高画質でカラー撮影できる画像センサーを開発した。デジタルカメラに使われるCMOSセンサーがぎりぎり感知できる光の10分の1程度の明るさまで認識でき、肉眼では何も見えない状況でも鮮明に撮れる。2022年から量産する。自動運転や防犯・監視など幅広い産業用途における画像認識の性能向上につながる可能性がある。
- 開発したのはSPAD(単一光子アバランシェダイオード)画像センサーと呼ばれる受光素子。CMOSセンサーが困難だった真っ暗な中でも鮮明なカラー映像が撮影できる。画像の鮮明度のカギを握るセンサーの画素数は320万画素と従来SPADの3倍超と世界最高だ。
- SPADセンサーは物体からの反射光が戻ってくるまでの時間から物体との距離を計測し、空間を3次元に捉える特徴もある。そのため自動運転に欠かせない高性能センサー「LiDAR(ライダー)」や拡張現実(AR)など幅広い分野での活用が見込まれている。
以前に開発が発表されていたSPADセンサーですが、来年に量産開始ということなので、意外に早く製品化されましたね。
このセンサーがコンシューマー向けのデジカメにすぐに採用されることはないと思いますが、将来は、この技術を応用した製品が登場して高感度性能が飛躍的に改善するかもしれませんね。現在でも320万画素あるので天体用カメラには十分使えそうです。
MgF2
アバランシェダイオード
R1に採用して欲しいなー
ポロ&ダハ
アバランシェ増倍を採用したセンサーというと、光電子増倍管で有名な浜松ホトニクスを思い起こしますけど、研究や産業用とはいえ量生を前提に製品化するというのは凄いですね。
CMOSセンサーの量子効率やSN比と比較すると圧倒的に優れている上、デジタル向きですから、将来的に期待できますね。
さはら
初期の100万画素以下のデジカメから300万画素時代になったとき、フィルムに負けない解像感だと思いました。当時の写真を今見ても23インチのFHD程度のモニターなら、それ程不満も感じません。
300万画素あれば、用途によっては十分デジカメとして成立するように思います。
ASA
現状は特殊用途に留まってますが、この方向性のセンサーがいずれ10万円ていどの一般カメラにまで降りてくれば、長年苦労してきたノイズ処理の悩みが大幅に減ります。
有機センサーやフォベオン式よりも、業界に与える影響は大きいかもしれません。一種のゲームチェンジャーとして。
寫太
画像センサーの進化はすさまじいですね!
このアバランシェダイオードは3D(深度)情報も補足可能と書かれています。
SONYがα7ivにフォーカスマップを搭載してきましたが、いよいよ3D化カメラ、フォーカスフリーの時代が近くなって来たのかと驚いています。
グローバルシャッターとあわせて次世代のカメラがとても楽しみです。
路傍のカメラ好き
去年6月の時点では100万画素の試作品(論文掲載)でしたが、そこから約2年で3倍の画素数にして量産化とは凄いですね。
320万画素なら余裕でフルHDをカバーできますし、ノイズを考えればもっと画素数が高いCMOSセンサーよりよほど鮮明に映せる可能性もありますから、用途を選べば大活躍の気配。
まだまだ先は長いでしょうが、いつか民生用にも降りてくると面白そうです。その頃にはSPAD vs 有機CMOS vs Foveonみたいな構図になってたりするかも……?
きゃのんぼうず
野生動物の撮影には最適ですね。変わるなぁ。
はやく 一般にも降りて来て欲しいです。
Dr.Aki
APDは高電圧を必要としたが、このデバイスはどうなんでしょうか?
スナッキー
LiDARへの活用でAFが異次元の速さに。とかなりますかね。
(スマホが先行してる分野なので頑張って頂きたい)
あとは天文分野での観測ラッシュが起きるかも?
CCDからCMOSに移った際も色々有りましたが、民生品に降りてくるレベルなら発展は早いのかも知れません。
カメラを持つ理由の一つになればイイし、スマホに搭載されて成熟度合いが上がるのも近い将来あるのですかね。
まずは、クルマに搭載されて自動車事故の軽減からかな?
(ケータイ電話みたいに自動車電話からモバイルへ、と言う発展が早いかも)
60Dもち
量産まで持っていくとは驚かされますね。
空間の中にマーカーを置いて、そのマーカーを基準として3次元空間を
つなぎ合わせて空間スキャナとして使って、さらにそこに
撮像映像をテクスチャで貼って・・・みたいな使い方が
できそうですね。
VRと組み合わせてこれは革命的な技術になりそう・・・!
電卓
この感じだと、4kぐらいまでの画素数になるのは比較的早いかもですね。
まずは業務用カメラへの搭載に期待という感じでしょうか?
CMOSには限界が見えてきたので、こういった新しい技術には期待です。
ポロ&ダハ
>Dr.Akiさん
>APDは高電圧を必要としたが、このデバイスはどうなんでしょうか?
CANONが今回発表したのはSPAD(シングル・フォトン・アバランシェ・ダイオード)画像センサーとのことですから、ブレークダウン電圧以上の逆バイアス電圧で動作させるはずなので、-数十Vは必要ですかね?
Princeton LightwaveのPGA-300は70V前後でしたけど、SONYが車載LiDAR用に開発した10万画素のIMX459はブレークダウン電圧が-20.5Vのようですから、CANONも同程度でしょうか。
もし、更に低電圧で動作できるようにしていたら、凄いことになりますね。
暇人
すげーな動画でも使えそうだし。
どんな用途から実用化されるんだろう?
高速、高感度、距離情報を生かした新しい用途にも使えるんだろうか?
スマホは制するよね?
センサーサイズを大きくできないとしても、小型センサー一眼カメラを実現してほしい。
田中じゃない
・低輝度下でもノイズレスで撮影できる
・被写体との距離情報を取得できる
ということは、パンフォーカスでもSSが稼げて、撮ったものを後から、深度情報を使ってボカすみたいな撮影ができるのでしょうか……。
後からボカすのであれば、センサーに求められるのはもはや画素数だけで、フルサイズである必要もなくなりますかね。
まだまだこの分野は開拓されてて夢が広がります。
TTJ
超高感度な一方、普通の明るさだとすぐに飽和してしまいそうですが、どうなんでしょう?
(光の強さがある一定値を超えると、出力のパルスが分解できなくなり定常電流になってしまうはず)
同様のことですが、ダイナミックレンジがCMOSセンサーと比較してどうなのかも気になるところです。
ポロ&ダハ
>TTJさん
>(光の強さがある一定値を超えると、出力のパルスが分解できなくなり定常電流になってしまうはず)
CMOSのように一定時間中に溜まった電荷を抵抗に流して光の強さをデータ化する、オーディオで言うPCM(パルス・コード・モジュレーション)とは異なり、フォトン(光子)1個が飛び込んで来るごとに1か0のデータを読み出した上でパルス信号の密度から光の強さをデータ化するという、オーディオで言えばΔΣ変調のような動作をするわけですから、ダイナミックレンジはサンプリング周波数で決まりますね。
クロック周波数の1波の中に何個のフォトンが入ってきても出力データは[1]ですから、そういう意味での飽和はありますけど、サンプリング周波数が十分高ければ問題にはならないはずです。
LiDARでレーザーを一定間隔で発射して、その反射波が届くまでの時間を測定できるくらいですから、十分高速で動作できるはずです。
オーディオで言えばSACDのようなダイレクトストリームデジタル(Direct Stream Digital, DSD)技術を使った録音の場合サンプリング周波数は1bitで2822.4kHzですけど、続にハイレゾ音源と言われている24bitで192kHzによるPCM録音より、優れているのと同じでしょうね。
Nak
アバランシェ効果を用いたイメージセンサーというと、サイエンスの世界では一時時EM-CCDがもてはやされましたが、冷却しないと充分な性能が得られず、しかもその冷却温度が=50℃以下となかなかやっかいなシロモノでした。
このキヤノンの新しいセンサーは常温で充分使用できるのでしょうかね?
だとしたらサイエンスの微弱光撮影の分野でも大活躍しそうです。