「HD Pentax-D FA 21mmF2.4 ED Limited DC WR」はラボテストの結果以上に美しい写真が撮れるレンズ

PENTAX FORUMSに、Kマウントの新しいフルサイズ用の広角単焦点レンズ「HD Pentax-D FA 21mmF2.4 ED Limited DC WR」のレビューが掲載されています。

HD Pentax-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WR

  • D FA 21mmF2.4はパンケーキレンズよりは大きいが、このクラスの広角レンズの多くよりはコンパクトで扱いやすい適度な大きさだ。
  • 鏡筒は総金属製で、造りの良さが印象的だ。また、D FA Limitedレンズとしては初の防塵防滴仕様となっている。
  • マウントはKAF4で、より高精度で静かに動作する電子絞りが採用されている。ただし、これは2013年以前の古いボディとの互換性に影響する。

  • AFはDCモーターで、2007年以降のほとんどのボディに対応している。AFの作動音は意外なことに、静かな環境では良く聞こえる。これは2021年製のレンズとしては残念だ。他の最近のペンタックスのレンズ、特にD FA★レンズはほぼ完全に無音だ。
  • フォーカシングはインナーフォーカスでレンズの全長は変わらず、前玉も回転しない。AFは正確でレスポンスにも優れているが、ロックまでに明るい場合でも0.6秒、暗いと1秒以上かかりあまり速くはない。最近のペンタックスのPLMモーター搭載レンズのAFにはもっと感銘を受けた。このレンズのAF速度は十分だが、トップクラスではない。
  • ライブビュー時のAFは、OVF使用時と比べて若干劣るように感じるが、その差は小さい。

  • 描写はディテールが豊富だ。全体的に落ち着いた雰囲気だが、決して甘くはなく繊細な描写だ。このレンズの描写は他の多くのレンズと一線を画すもので、言葉で上手く表現できないものがある。これはボケ味はもちろんだが、輪郭や質感の描写のおかげだ。
  • 開放では1/3段程度露出アンダーが頻発するが、F2.8以上に絞れば露出は適正になった。
  • 光芒は息を呑むほど素晴らしいわけではないが、まずますだ。
  • K-3との組み合わせでは内蔵フラッシュによるケラレが見られた。

  • 解像力テスト(APS-C):中央は開放から非常に良好で、絞ると更に改善する。周辺部と隅は中央には後れを取っているが、F5.6からF11では中央との差は極めて小さい。開放付近では中央と周辺&隅の解像力には一貫して違いがある。像面の湾曲が非常に小さいのは良い点だ。
  • 解像力テスト(フルサイズ):中央は開放でも非常に良好で、絞ると改善する。周辺部と隅は実用にはなるが、絞っても中央と同じ解像力には到達しない。フルサイズでも像面湾曲は良く補正されている。

  • 実写テスト:テストチャートで見られたのと同様の結果で、中央は開放から完全に実用になり、F4以上ではカミソリのような切れ味になる。周辺部はF4で中央に近付き、F8以上では中央との差はわずかになる。隅は決して良好とは言えないが絞れば着実に改善する。周辺部と隅は開放付近ではソフトだ。
  • 解像力テストと実写テストの結果で、24mmF2.4は風景よりもポートレートに適したレンズであることが示唆されている。しかし、F8とF11では隅までシャープになるので、絞り込めば風景や街並みなどの撮影にも対応できる。

  • 周辺光量落ちは開放で1.4EVで、自動補正を使わないと目立つ。絞ると周辺光量落ちは急激に改善し、F4でほとんど分からなくなる。APS-Cでは、周辺光量落ちは開放でもほとんど気にならない。
  • 玉ボケは美しく、絞っても滑らかな円形のままで、画面の隅でも口径食で猫の目状になる兆候は見られない。普通のボケも綺麗で、絞りにかかわらず滑らかだ。このレンズのボケはクリーミーな質感で素晴らしい。息を呑むようなボケだ。
  • 逆光ではフレアは概ねよく抑えられているが、どの絞り値でもゴーストが見られ、絞るとより明確になる。逆光耐性は十分だが特別に良くはなく、ペンタックスのレンズの中ではトップレベルではない。

  • 色収差は非常に良く抑えられており、開放付近でも極めて少なく、日常の撮影ではほとんど影響はないだろう。
  • 歪曲はK-3やK1などでは自動補正され、ファイルに自動的に適用される。歪曲は0.08%で補正はほぼ完璧だ。
  • D FA21mmF2.4は我々のテストで良好な結果を残したが、新境地を切り開くものではない。しかし、美しい写真を作成する能力はテストの数値を超えており、これがLimitedレンズのあるべき姿だろう。

 

D FA 21mmF2.4は、高解像力よりもボケなどの味を追求したペンタックスのLimitedらしいレンズに仕上がっているようですね。ボケは「息を呑むような」と評されてますが、サンプルでは確かに広角レンズとしては非常にボケが綺麗で味わい深い描写のレンズという印象です。電磁絞りになったので古いカメラで使えないのが残念ですね。