OM System「ED 20mm F1.4 PRO」は色収差が大きな弱点

LensTipに、OMデジタルソリューションズの準広角単焦点レンズ「ED 20mm F1.4 PRO」のレビューが掲載されています。

OM System M.Zuiko Digital 20 mm f/1.4 PRO

  • 鏡筒は総金属製で、日本製と記載されている。フォーカスリングはバイワイヤ(電子式)で非常に滑らかに動く。最短から無限遠までの回転角は120度以上で、非常に正確なピント合わせが可能だ。

  • 中央の解像力は開放で60lpmmを超えており(良像の基準値は48~50lpmm)、画質の心配はない。絞ると解像力は改善し、ピークのF4ではほぼ85lpmmに達する優れた単焦点レンズにふさわしい値になる。ここでは20mm F1.4は17mm F1.2 PROには遅れを取っているが、25mm F1.2 PROよりは優れている。
  • 隅の解像力は中央とは全く状況が異なり、開放では43lpmmをわずかに超える値で、良好な画質とは言えない。良像の基準値に達するのはF1.8付近だ。ピークのF4とF5.6で63lpmm~64lpmmで、隅の解像力は中央よりも顕著に後れを取っている。ここでは、20mm F1.4は17mm F1.2と25mm F1.2の双方に負けている。中央は非常に優れているが隅は物足りない結果だ。

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  • 軸上色収差は、特殊レンズの多さから模範的に補正されていると予想していたが、意外なことにボケの色付きがかなり目立ち、とても顕著とまでは言えないにしても無視できないレベルだ。しかも、この色付きは1段絞っても解消しない。
  • 更に意外だったのが倍率色収差で、絞り値にほとんど依存せず、全域で0.13~0.14%の非常に高いレベルだ。この値は17mm F1.2 PROや25mm F1.2 PRO、パナソニックの20mm F1.7、20mm F1.4よりも悪い結果だ。4枚も低分散レンズを使った標準レンズで、これほど色収差が補正されていないのは非常に残念だ。20mm F1.4はこのカテゴリーで大きく躓いてしまったと思う。

  • 球面収差は非常に良く補正されており、フォーカスシフトは見られない。
  • 歪曲はJPEGでは-0.11%でほとんど見られないが、RAWでは-1.60%のはっきりと分かるタル型だ。しかし、この画角のレンズとしては心配はない。
  • コマ収差は、隅は少し像が大きくなり若干変形しているが1段絞れば大きく改善し、大きな不満はない。
  • 非点収差は17.7%で「中程度」と「高い」の境界線上の値に達しており、コマ収差よりも不満がある。
  • ボケは非球面レンズを採用した画角の広いレンズであることを考えれば、かなり良好だ。玉ボケは非常に滑らかで、年輪ボケは見られない。唯一気になるのはボケに明るい輪郭が付くことと口径食で、口径食は2段絞っても目に付く。

  • 周辺光量落ちはRAWで37%(-1.35EV)と低い値ではないが、レンズの明るさや画角を考えるとライバルと比較して遜色のない値だ。JPEGでは歪曲補正で隅が切り取られるため若干値が変わるが、その差は2~3%を下回る。
  • 逆光耐性は、絞りと光源の位置で大きく評価が変わる。開放ではどのような状況でも心配はいらないが、絞り込むと大きく強いゴーストが出るので、太陽を画面の外に出した方がいいだろう。
  • AFは作動音は無く、無限遠から最短まで0.2~0.3秒の電光石火の速さだ。AFの感度は非常に高く、ガラス越しに撮影すると、窓の外の高コントラストな被写体ではなく、ガラスのわずかな汚れにピントを合わせることができる。AF精度はスタジオでも屋外でも全く問題はなかった。

  • 20mm F1.4 PROは中央の画質は素晴らしく、周辺光量落ちも穏やかで、AF性能も文句のつけようがないが、一方でその他のカテゴリの多くでは平均的な結果で、うち2つのカテゴリでは大きく失敗している。特に、4枚も低分散ガラスを使っている標準レンズが、軸上・倍率の両方の色収差を抑えられないのは理解できない。
  • 新ブランドでレンズを発売する際には、大成功を収めて強みを最大限に示して欲しいものだが、OMDSはそれに成功できなかったと思う。更に、このレンズは800ドルの価格で、これはパナソニック25mm F1.7の5倍、20mm F1.7の3倍で、この価格が更に状況を複雑にしている。私が間違っているかもしれないが、このレンズが大ヒットするとは思えない。

  • 良い点:格好のいい頑丈で防塵防滴の鏡筒、中央の素晴らしい画質、歪曲が穏やか、コマ収差の適切な補正、周辺光量落ちがまずまず、ボケが素晴らしい、静かで正確な電光石火のAF。
  • 悪い点:色収差が問題、隅の画質がもっと良くなって欲しい、非点収差が大きい。

 

20mm F1.4 PROは、各所のサンプルを見る限りでは、十分にシャープで非常にボケが綺麗なレンズで好印象でしたが、周辺部の解像力の低さや、色収差の大きさなどからLensTipの評価は少々辛口になっているようです。

周辺部の解像力がそれほど高くないのは、ボケなどの表現力を追求したからでしょうか。また、標準に近い画角でスーパーEDやEDレンズを多様しているレンズにもかかわらず軸上色収差や倍率色収差がかなり目立つのは少々不思議ですね。