CAMERALABSに、ニコンの新しい超望遠ズーム「Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S」のレビューが掲載されています。
・Nikon Z 100-400mm f4.5-5.6 review
- フォーカスリングは可変速で、ゆっくり回すと非常に正確なピント合わせが可能だが、リニアに切り替えられないので、動画でのスムーズなピント合わせはほとんど不可能だ。フォーカスリングの動きは滑らかで、小指でも簡単に回すことができる。
- ズームリングは回転角は80度とかなり短く、かなり重いので指1本では回せない。ズームロックスイッチは搭載されていないが、自重落下は見られない。またレンズを伸ばしてもレンズの重心はほとんど移動しない。
- AFの再現性(同じ被写体に何度もピント合わせしたときの精度)は、40枚撮影して外れがなく、非常に良好だ。AF速度は焦点距離200mmで無限遠から2.11m(倍率1:10)まで約0.5秒と速い。
- AFはフォトモードでは低い作動音が聞こえるが、動画では内蔵マイクはAFの作動音もVRの作動音も拾わない。
- フォーカスブリージングは、ほとんど見られない。また、ズーミングではピント位置は保たれてはいるが完璧ではない(完全なパーフォカルではない)。
- VRは400mmで1/25秒では20枚中ブレていたのは2枚、1/13秒では3枚で、これは5.5段分の効果というニコンの主張を裏付ける素晴らしい性能だ。
- 軸上色収差はほとんど見られない。
- フォーカスシフトはわずかに見られ、絞ると手前側の方が奥側よりもシャープになる。
- 解像力はズーム全域で非常に高く、フルサイズの隅でわずかにソフトになる程度だ。1.4倍のテレコン使用時もとても優れた性能だ。像面湾曲はズーム全域でごくわずかだ。
- AF-S80-400mmとの解像力の比較では、100mmでは中央以外はZ100-400mmの方がシャープだ(中央は同程度)。200mmではAF-S80-400mmは中央も甘くなる。300mmと400mmでは両者は近い解像力だ。Z100-400mmは全体としてAF-S80-400mmよりもシャープで、Z70-200mm f/2.8 VR S + 2倍テレコンよりも良い結果が得られる。
- 遠景の実写テストでもZ100-400mmは実力を発揮しており、全ての焦点距離で中央以外はAF-S80-400mmを上回っている。また、1.4倍のテレコンを使ってもZ100-400mmは良好な結果が得られている。
- 周辺光量落ちは100mm開放では比較的穏やかで、F5.6以上に絞ればほとんど目に付かない。400mmでは周辺光量落ちは強くなり、現像時にレンズプロファイルを適用しても開放では完全に解消されない。
- 歪曲は100mmではごくわずかな糸巻き型だが、200mm以降では歪曲がはっきりと分かるようになる。
- 夜景ではコマ収差は非常に少ない。
- 玉ボケは開放では口径食が比較的目立つ。ボケの内部には多少模様が見られるだけだ。いくらか輪郭が付くが、軸上色収差による色は付かない。
- 通常のボケはAF-S80-400mmと比較すると、それほど大きな違いはないが、Z100-400mmの方が前ボケが少し柔らかい。
- 近接撮影時は最短でもF8やF11まで絞れば実用的な画質が得られる。近接撮影時の像面湾曲はほとんど見られない。
- 逆光では光源が画面内に入るとゴーストが発生し、キラキラ輝くグレアに少々悩まされる。
- 価格はソニーFEやキヤノンEF、ニコンFの同クラスのレンズが2000~2300ユーロなので、3000ユーロは少し高いと思う。
- AF-S80-400mm f/4.5-5.6との比較ではZ100-400mmの方が光学性能は優れているが、その差は大きくはなく、広角端が20mm長いという問題もある。既にAF-S80-400mmを持っている人は、FTZを介してZボディで使えば良好な結果が得られる。
- Z70-200mm f/2.8+テレコンとの比較では、Z100-400mmの方が解像力は優れている。
- Z100-400mm f/4.5-5.6 VR Sは、AF-S80-400mm f/4.5-5.6G ED VRの後継にふさわしいレンズで、ほとんど全ての点で80-400mmよりも優れている。Z100-400mmは像面湾曲や色収差がほとんど見られず、非常にシャープで、開放でもテレコン使用時でも自信を持って使用できる。ボケはとても素晴らしいく、手ブレ補正も有用だ。
- 良い点:
- ズーム全域で非常に良好な解像力とコントラスト
- とても効果的な手ブレ補正
- 接写はF8以上に絞ればとても実用的
- 軸上色収差とパープルフリンジがほとんど見られない
- 像面湾曲が非常に小さい
- 速く信頼できるAFと極めて少ないフォーカスブリージング
- 素晴らしい(しかし卓越してはいない)ボケ
- 防塵防滴、マルチファンクションリンク、有機ELディスプレイ、ファンクションボタン、フォーカスリミッター - 悪い点:
- 完全なパーフォーカルではない(ズーミング多少ピントがずれる)
- 若干フォーカスシフトがある
- フレアとグレアはもう少し改善してほしい
-三脚座がアルカスイス互換ではない
- 広角端が80mmではなく100mm
- 価格が高い
- レンズポーチが薄っぺらい
Z100-400mm f/4.5-5.6 VR SはZレンズらしいシャープで、色収差の少ないクリアな描写という印象です。Fマウントの80-400mmと比べると、ほぼ全ての点でZ100-400mmが優っているようですが、画質の差はそれほど大きくないようなので、80-400mmを持っている方は急いで買い換えなくてもよさそうですね。
また、DPReviewのレビューで指摘されていたAF速度ですが、ここでは「速い」という評価で特に問題は指摘されていないようです。
F2_lover
Z70-200mm f/2.8+テレコンとの比較、参考になります。
自分の使用目的や使用頻度から考えて、Z100-400mmの良さはわかるのですが、手を出さず、Z70-200mm f/2.8と 2X テレコンでやっていこうと思います。
Z70-200mm f/2.8の開放でのボケ味の悪さは感じていました(+背景がグルグルする感じもある)。f4に絞ると随分と改善されます。
F2_lover
連投、失礼します。
悪い点に、
- レンズポーチが薄っぺらい
とありますね。強く同感します。
Zシリーズレンズの薄いレンズポーチ、保管にも、持ち出し時の保護にも向かず、ほとんどゴミ化しています。こんなものを標準添付するニコンの気がしれないと思っています。皆さん、どうなんですかね?
Z9ユーザー
一番最初のフォーカスリングですが、Z9ではメニューf9「フォーカスリングの角度設定」でノンリニアからリニアに切り替え可能になってますね。
∞から最短撮影距離までのリング回転角度を90度~720度以上まで13段階に切り替えできるので、動画のMFでは威力を発揮すると思います。
レンズポーチは確かに安っぽいですが、FマウントのAF-S 80-400mmなどに同梱されていたタイプはバッグの中で嵩張って逆に使いようがなかったので、表面の傷つき防止と割り切ってしまえばこんなもんかなと言う感じです。
AFは色々なレビュー動画を見ていても爆速ではないですが特に遅いとも感じませんでしたので良いのではないでしょうか?
予約していますが到着が楽しみです。
わさびみそ
AFについてはこのレンズがどうこうというよりニコンZはピンポイントAFがコントラストAFのため、それで試せば「遅い」、位相差AFで試せば「十分速い」という評価になるのだと思います。
薄いポーチの件はFマウント200-500なんかでもありましたね。
Z 9ユーザーさんご指摘の通り表面の傷防止程度のものだと思います。
三脚なんかでも多いですよね、サイズがぴったりなだけのただの袋。
あまりごついと、使わない人にとっては邪魔でしかないという面もあり、難しいところですね。
さばしろ
dpreviewのレビュアーはラグビーの試合をコントラストAFで撮っていたんですか? 3Dトラッキング使ってたし、それはいくらなんでもあり得ないと思うけど。
わさびみそ
さばしろさん
dp reviewは3Dトラッキングを使用されていたので位相差AFですね。失礼いたしました。
dp reviewの文面は
>AFは他のZマウント同様に2機のステッピングモーターで、AFは静かでまずまずの速さだが、AF-S 500mm f/5.6 PFと比較すると、リング型モーターを採用している旧型レンズの方がAF速度で優っていることが分かる。
とあり、望遠単焦点のようなハイエンドの速さはないが、ミドルクラス相応の速さはある、ということだと思います。