ニコン「Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S」は高価だが見事な性能のレンズ

ePHOTOzineに、ニコンの超望遠ズーム「Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S」のレビューが掲載されています。

Nikon Nikkor Z 100-400mm F/4.5-5.6 S Lens Review

  • このレンズは1435g(三脚座なしで1355g)とかなり重さはあるが、Z7IIとのバランスは素晴らしい。このレンズは長時間でも安心して手持ち撮影ができる。APS-C機でももちろん使えるが、サイズ的に少し釣り合わない。
  • ズーミングでレンズは伸びるが、ズーム全域でバランスは良好だ。レンズを上に向けても下に向けてもズームの自重落下は見られない。
  • フォーカスリングは電子式で、非常に滑らかに動く。最短撮影距離は100mmで0.75m、400mmで0.98mで最大撮影倍率は0.38倍だ。

  • AFはボイスコイルモーター(※ステッピングモーターの間違い?)で高速かつ正確で、作動音はほとんどしない。
  • 鏡筒には小型の有機ELディスプレイがあり、焦点距離や絞り値、被写界深度が表示できるが、表示される文字数が少ないので実用的ではない。しかし、天体撮影などの夜間の作業ではメリットがあるかもしれない。
  • VRは5.5段分の効果がうたわれているが、レビュアーの場合は、カリカリにシャープな画像が得られるのは4.5段分まで、それより少し劣るシャープさの画像が得られるのは5.5段分だった。

  • 100mmの解像力は中央はF4.5からF8まで際立った値(outstanding)で、F11からF22まで素晴らしい値(excellent)だ。隅はF4.5では素晴らしい値、F5.6からF8では際立った値、F11とF16では素晴らしい値だ。

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  • 200mmの解像力は中央はF5からF8まで際立った値(outstanding)で、F11からF22まで素晴らしい値(excellent)だ。隅はF5からF16では素晴らしい値だ。

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  • 300mmの解像力は中央はF5.3からF16まで素晴らしい値(excellent)だ。隅はF5.3からF11では素晴らしい値、F16でとても良好な値(very good)だ。

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  • 400mmの解像力は中央はF5.6からF11まで素晴らしい値(excellent)、F16でとても良好な値(very good)だ。隅はF5.6からF8では素晴らしい値、F11とF16でとても良好な値(very good)だ。このレンズは見事な性能だ。

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  • 倍率色収差は自動補正OFFで測定している。色収差は非常に良く補正されており、概ね1/3ピクセル以内に収まっている。色ズレの兆候は見られないが、万一色ズレがあっても自動補正か後処理で対処できる。
  • 歪曲も自動補正OFFで測定している。歪曲は100mmでは+0.40%、200mmで+1.96%、300mmで+2.06%、400mmで+1.88%と、ズーム全域で糸巻き型だ。この数値はズームとしては良好だ。

  • ボケは概ね滑らかで心地よいものだが、複雑な背景と小さい絞りの組み合わせではうるさくなることがある。
  • 逆光耐性は、光源に向かって撮影するとコントラストが明確に低下するが、これは非常に厳しい逆光の場合だけで、フレアやゴーストの兆候は見られない。
  • 周辺光量落ちは100mm開放で-2.1EV、400mm開放で-1.8EVで、開放では目立つが、絞ると改善する。

  • Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S は高価なレンズだが、あらゆる点で良好に機能する見事な性能のレンズだ。このズーム域は非常に便利で、テレコンを使用すれば更に撮影の範囲を広げることができる。ズーム域と使い勝手のバランスがちょうど良く、広い範囲の被写体をカバーできるレンズだと思う。大いに推薦する。
  • 良い点:際立った解像力、フレアが少ない、魅力的なボケ、歪曲が穏やか、色収差が少ない、周辺光量落ちが穏やか、速く正確でほぼ無音のAF、適切な重さ、素晴らしいエルゴノミクス。
  • 悪い点:価格が高い、フードの取り外しが少々厄介、小絞り時のボケが若干うるさい。

 

Z100-400mm f/4.5-5.6 VR Sはズーム全域で開放から抜群の解像力で、色収差も良く抑えられていて、このクラスのズームとしては申し分の無い光学性能という印象です。

グラフでは望遠端の解像力が少し落ち込んでいるように見えますが、これは広角側の解像力が高すぎるためで、望遠端でも非常に高い解像力を維持していますね。あと、DPReviewでは遅いと言われていたAFですが、ここでは「速く正確」という評価で特に問題は指摘されていないようです。