キヤノン「RF16mm F2.8 STM」は常軌を逸したバーゲン価格だが高画素機では隅の画質が厳しい

OpticalLimitsに、キヤノンの軽量コンパクトで安価な超広角単焦点レンズ「RF16mm F2.8 STM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 16mm f/2.8 STM - Review / Test Report

  • 鏡筒の構造的にはRF16mm F2.8はRF50mm F1.8とほぼ同じで、焦点距離の印字がなければ見分けがつかない。フィルターサイズも50mm F1.8と同じで、他のこのクラスの超広角レンズの前玉が巨大なことを考えると、これは不可解だ。
  • AFはステッピングモーターで、AF速度はかなり速い。AF作動中は甲高い音がするが、音量は大きくない。
  • このレンズで驚きなのは最大1:3.8という近接撮影能力だ。マクロほどではないが、ほとんどの超広角レンズよりも寄れる。

  • 歪曲は未補正では10%近い値で極めて大きく、基本的に電子補正なしでは使用できない。電子補正を有効にすると歪曲はほとんどゼロになるが、その代償として周辺部の解像力が低下する。
  • 周辺光量落ちは自動補正をしない場合は極端に大きく、開放では四隅は-8.32EVとほぼ真っ黒で、F4でも-6.56EVでそれほど明るくならない。歪曲補正を有効にすると四隅の問題の部分は画面外に押しやられるが、開放での周辺光量落ちは-3.54EVでまだ激しい。更に周辺光量落ち補正を有効にすると開放で-1.33EVで穏やかな値になる。もちろん、言うまでもなく周辺考慮落ちの補正で周辺部のノイズは増える。

  • 解像力(45MPのEOS R5でのテスト)は、中央は全く問題はなく少し絞ると極めてシャープになるが、周辺部と隅は別の話だ。周辺部はF2.8でそこそこだが、隅は溶けてしまう。絞ると周辺部はまずまずのレベルまで改善するが、隅はわずかに改善するだけだ。30MPのEOS Rでのテストでは、開放ではソフトだが中程度に絞ればまともな結果が得られる。

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  • 倍率色収差は、未補正では周辺部で2.5ピクセル前後で非常に目立つ。
  • ボケはレンズ構成がシンプルなレンズは良くなる傾向があるが、このレンズも気持ちのよいボケが得られる。しかし、周辺部や隅ではボケは悪化する。

  • RF16mm F2.8 STMは低画素のR3やR6で使うなら、まともな超広角単焦点レンズだが、45MPのEOS R5では隅の画像は見たくないものだ。中央は非常にシャープだが、隅は高画素機では低品質だ。このレンズは極端に大きい歪曲やケラレがあり未補正のRAWでは使用できず、電子補正に強く依存している。鏡筒の品質はコンシューマー向けのレンズとしては良好で非常にしっかりしている。しかし、これらの問題があってもこのレンズは常軌を逸したバーゲン価格だ。ただ、ラーダ(※ロシアの自動車メーカー)の値段にメルセデスの品質を期待してはいけない。

 

光学性能の評価は1.5点(45MP)と、最近の単焦点レンズとしてはかなり低い評価になっています。

このレンズは電子補正前提のレンズで、ラボテストでは周辺部と隅の解像力はかなり低く、また、素の状態では歪曲や周辺光量落ち、色収差などの収差もかなり目立ちますが、実写画像を見ると、ラボテストの結果から予想するよりもしっかりした画質で、価格やサイズの割りに結構よく写るレンズという印象です。