CAMERA LABSに、ニコンの新しいテレコン内蔵の超望遠単焦点レンズ「Z 400mm f/2.8 TC VR S」のレビューが掲載されています。
・Nikon Z 400mm f2.8 TC VR S review
- 最短撮影距離は2.41m、最大撮影倍率は1:5.6とそれほど高くないが、ソニーFEやキヤノンRFの400mm F2.8と同程度だ。内蔵テレコンを使うと、ワーキングディスタンスを変えずに最大撮影倍率を1:3.9まで引き上げることができる。
- このレンズにはコントロールリングに加えて、ファンクションリングが初めて搭載されている。このリングを使うと、左右に少し回すだけで保存したピント位置を呼び出すことができる。
- 三脚座は遊びが少なく、非常に頑丈に感じられる。レンズを回転させるときの90度ごとのクリックストップはない。残念ながらニコンは三脚座をアルカスイス互換にするチャンスを再び逃している。
- AFのテストでは40枚撮影してもミスフォーカスはなく、精度は非常に良好だ。また、近距離から無限遠でもその逆方向でも、フォーカスのばらつきはほとんどない。
- AF速度は、ニコンZ7との組み合わせでは無限遠から4.1mまで約0.8秒で合焦したが、これは非常に速いとは言えない。Z 100-400は0.6秒で合焦する。Z9でのテストはできなかったので、Z9ではフォーカスが速くなるのかもしれない。このレンズは明るい場合でもAFが迷うことがあった。
- 無限遠から4.1mまでで17%も画面が拡大されるので、動画ではフォーカスブリージングはかなり目立つ。
- 手ブレ補正は、1/640秒から1/10秒までのシャッター速度で160枚撮影して、5.5段分というニコンの主張を裏付ける非常に素晴らしい結果が得られた。
- 軸上色収差はテストでは識別できなかった。
- フォーカスシフトは、絞り込むと背景が前景よりも早くシャープになる(後ろ側にピントが移動する)が、400mmでは問題はない。560mmではF4からF5.6に絞った際の後ろ側へのフォーカスシフトがやや大きく、F5.6で再度フォーカスしないと、わずかに甘くなる可能性がある。
- パープルフリンジはコントラストの高い部分でも全く見られず、被写体の輪郭に緑の色が付くこともなかった。
- 解像力チャートによるテストでは、400mmでは開放から画面全域で非常にシャープで、フルサイズの隅でわずかに甘くなる程度だ。1.4倍の内蔵テレコンを使用すると、隅はテレコン無しの時よりも若干シャープになり、シャープさは驚くほど損なわれず、画面全域で非常に均一なシャープさになる。
- 内蔵テレコンを無効にして2倍の外付けテレコンを使って800mm相当にすると、中央はシャープだがAPS-Cの隅はかなり甘くなり、フルサイズの隅はもやっとするが、2倍のテレコンとの相性はいいと思う。しかし、内蔵テレコンと外付けの2倍のテレコンの両方を使って1120mmにすると、中心も甘くなるので、800mmでDXにクロップした方がいいだろう。
- 像面湾曲はほとんど見られないが、外付けのテレコンを使用する場合は、湾曲が周辺部に影響する。
- 遠景の実写テストでは、400mmでは開放からフルサイズの隅まで非常に鮮明だ。560mm(1.4倍テレコン使用時)と800mm(外付け2倍テレコン使用時)ではフルサイズの隅の部分は甘くなるが、それ意外は非常にシャープだ。しかし、1.4倍と2倍のテレコンの両方を併用するのはベストではなく、2倍のテレコンとDXクロップを使う方がよい。
- 周辺光量落ちはレンズプロファイルが適用されていれば比較的穏やかで、1段絞れば無視できる。周辺光量落ち補正をノーマルに設定すると開放時の隅は0.6EV持ち上げられる。
- 歪曲はほとんど見られない。
- 夜景の撮影では開放でもコマ収差は非常に少ない。
- 玉ボケは内部は滑らかで軸上色収差による色付きは見られないが、少し輪郭が付く。後ボケは滑らかに感じるが、金網のような被写体が比較的近い距離にあるとうるさいニ線ボケになることがある。
- 近接撮影時の画質は開放でもとても良好で、F5.6まで絞れば隅まで非常に良好になる。像面湾曲は非常に小さい。1.4倍のテレコンを使うと少し甘くなる。
- 光芒は開放から見られるが、F8まで絞ると素晴らしいものになる。
- このレンズは優れた性能で、解像力とコントラストが画面全域で(テレコン使用時でさえ)非常にハイレベルで、色収差やコマ収差、像面の湾曲もほとんど見られない。また、旧型からの1kgの軽量化は大きな成果だ。好みじゃない部分はフォーカスブリージングが目立つことで、これはビデオグラファーには悩ましいものかもしれない。
- 1.4倍のテレコンは非常に魅力的な機能で、レンズの用途が遥かに広くなり、スポーツや野生動物の撮影に適したユニークなレンズだ。このレンズは非常にシャープで開放から自信を持って使える。ボケも非常に素晴らしい。高価なレンズだが大いに推薦する。
- 良い点:画面全域で素晴らしい解像力とコントラスト、1.4倍のテレコン内蔵、1.4倍や2倍のテレコン使用時も良好な画質、効果的な手ブレ補正、良好な近接性能、倍率色収差パープルフリンジがほとんど見られない、周辺光量落ちと歪曲が少ない(レンズプロファイル適用時)、像面湾曲が非常に小さい、信頼できるAF、非常に素晴らしいボケ(2線ボケが出ることもある)、素晴らしいポーチ。
- 悪い点:比較的フォーカスブリージングが目立つ、三脚座がアルカスイス非対応、価格が高い。
Zレンズは素晴らしい性能のレンズが多いですが、このレンズはその中でもハイエンドのレンズなので予想通りの申し分のない性能ですね。テレコン使用時でも画質の低下が少ないので、このレンズがあれば、ほとんどの超望遠域の撮影はカバーできそうです。唯一気になるのはフォーカスブリージングですね。
9210
素晴らしい。前から気になっていたのですが、①内蔵テレコンと外付け1.4倍の併用、②内蔵テレコン不使用、外付け2倍のみ、ではどちらが良いのでしょうか。やはり②ですかね。
管理人
にこなさんへ
情報ありがとうございます。
さんぱち
Z100-400の400㎜側、思っていたよりもずっといいですね!
400/2.8は夢のレンズ、とても手に入れられるものではありませんが、100-400が現実のレンズであっても画質は負けていないと思えることが出来て慰めになります。