ソニー「α7 IV」は傑出はしていないがスチルも動画もオールマイティにこなせるカメラ

PCmagに、ソニー「α7 IV」のレビューが掲載されています。

Sony a7 IV Review

  • α7 IVはコンセプト的にはα7 IIIの後継機だが、市場の位置付けは全く異なる。α7 III は2000ドルという非常に魅力的な価格で、ミラーレスカメラのAFの限界を引き上げたカメラで、我々はこのカメラが大好きだ。α7 IVは2500ドルとかなり高価で、α7 IIIの直接の後継機ではないが、EOS R6と同程度の価格なので決して高いわけではない。
  • ボディはマグネシウム製で雨天時の使用にも耐え、ライバルと同等のクオリティだ。
  • キットレンズのFE 28-70mm F3.5-5.6は2013年に登場した非常に古いレンズで、カメラの性能に見合ったより高性能なズームを購入する予算を用意するべきだ。FE 24-105mm F4 Gかシグマ28-70mm F2.8 DG DNを勧める。

  • ボディのデザインはソニーの理念から逸脱することなく、操作性の改善するためにα7 IIIにわずかな変更を加えたもので、大きさ重さもほとんど同じだ。操作系は大きくは変更されていない。
  • EVFはEOS R6やZ6IIのような競合機と同程度のものだ。120fpsのリフレッシュレートのモードもあるが、解像度が少し低下し画面内の小さな文字が読みにくくなる。しかし、動体の撮影では解像度低下の影響はないだろう。
  • モニタはバリアングルで、α7 IVの動画とスチル用のハイブリッドカメラという位置付けを明確にしている。モニタはR6やZ6IIなどのライバルと比較すると、2500ドルのカメラとしては少し物足りない。

  • バッテリーライフは、他のモデルよりも少し短くなっており、α7 IIIには及ばないがEOS R6やZ6IIよりは優れており中程度だ。フィールドテストでは、バッテリーが60%残っている状態で280枚撮影ができ、CIPAの数値よりも良い結果が得られた。
  • 連写は非可逆圧縮のJPEGやRAWで10コマ/秒、可逆圧縮や非圧縮のRAWではわずか6コマ/秒で、10コマ/秒以上で撮影できるカメラと比べると速度不足を感じる。非可逆圧縮RAWを使うとディテールを持ち上げるための余裕が減り、ハイライトも飛びやすくなる。
  • 電子シャッターは搭載されているが、α7 IVのセンサーはEOS R3やα1のような高速積層型センサーではなないので、静物には使えるが、読み出しが速くないので動体を止めることはできない。動体はメカシャッター頼みになる。

  • 連写速度はハイエンド機には及ばないが、AFはリアルタイムトラッキングが採用され、人、動物、鳥などを認識する専用モードも搭載されており動体を追いかけることができる。被写体認識AFは多くの場合上手く機能するが、ヘッドショットやタイトな構図での撮影では苦戦することがあり、特にFE135mm F1.8 GMのような大口径レンズでは苦戦することがある。
  • FE70-200mm F2.8 GM II使用時は、瞳認識で瞳ではなくまつ毛にピントが来ることが多かった。もし、ポートレート専門なら、今のところα7 IVには手を出さない方がいいだろう。ソニーの担当者は瞳AFの不正確さに関する報告があることを認識しており、改善に取り組んでいると話している。
  • 動物認識AFはリスやウサギ、シカなどの撮影で非常に頼りになる。鳥認識AFは非常によく機能し素晴らしい働きをしてくれた。α7 IVは枝の間の鳥にロックし、鳥が動いても見失わなかった。
  • α7 IVの認識AFは手動で対象となる被写体の種類を選択しておく必要があり、この点で自動で被写体を認識するEOS R6やLUMIX S5に一歩後れを取っている。

  • センサーはこのクラスで最も高画素だが、高感度性能は24MPセンサーと比べて大きくは変わらない。α7 IVのRAWで感度別のテストシーンを確認したところ、α7 IIIと非常に良くにた性能だった。高感度はISO12800まで上げるとノイズの粒状感が増えてくるが、ディテールはまだ明確に残っている。α7 IVのセンサー性能には概ね満足している。
  • α7 IVにα7R IVやα1に搭載されているマルチショットモード(ピクセルシフト)が搭載されていないのは残念だ。

  • 動画はこのクラスのカメラで最も高性能で、4Kの解像力は目を見張るほどではないが、10bit 4:2:2はα7 IIIの8bit記録から大きく進化している。動画のAFはより信頼性が高くなっており、ブイロガーやマニュアルが苦手なクリエイターにはプラスになるだろう。
  • α7 IVは動画の制限時間が無く、メモリーカードの容量が一杯になるか、オーバーヒートするまで録画を続けられるが、室温ではオートパワーオフの設定温度を高くしてもα7 IVがオーバーヒートするようなことはなかった。
  • 動画はコーデックが全面的に改善されており、10bit 4:2:2やバリアングルモニタなどが採用され、ビデオグラファーはα7 IIIからα7 IVへのアップグレードに魅力を感じるかもしれない。

  • α7 III はα7 II から大きく進化したが、α7 IVのα7 III からの進化はより緩やかなものだ。しかし、このアップデートは悪いものだとは思わない。α7 IVのAFはα1と同レベルまで向上しており、33MPセンサーは可逆圧縮では連写が6コマ/秒に制限されるとは言え最高の画質が得られる。また、操作系も進化しており、スチル・動画・S&Qの切り替えスイッチが追加されたのは喜ばしいことだ。
  • α7 IVには残念な点もあり、液晶モニタにもっと鮮明なものを採用して欲しかった。また、ロスレス連写の6コマ/秒は遅く、動体カメラマンをがっかりさせるかもしれない。また、瞳AFは現時点では完全ではない。しかし、良い点は欠点をはるかに上回っており、我々はα7 IVにエディターズ/チョイスを授与することにした。
  • α7 IVはどの分野でも傑出しているわけではないが、スチルも動画もオールマイティにこなせる素晴らしいカメラだ。α7 IVの評価はα7 IIIよりも少し低いが、これは市場競争が激しくなっていることの現れで、品質の高い製品が増えているので、傑出した製品が少なくなっているためだ。

  • 良い点:手ブレ補正付きのフルサイズ画像と動画、3300万画素はトリミングの余地がある、10bitの4K60p動画。
  • 悪い点:最高画質では連写が6コマ/秒、ピクセルシフトマルチショットが非搭載、液晶モニタが競合機ほど鮮明ではない。

 

α7 IVは高画素化やAFの強化、動画の強化など、幅広い用途で使える汎用性に高いカメラに仕上がっているという印象です。1台で動画も含めて色々なものを撮りたいという人は、ソニーではとりあえずこのカメラを買っておけば間違いなさそうです。

ただ、動画が大幅に強化された一方で、スチルはロスレス圧縮で連写が6コマ/秒にとどまるなど、スチルオンリーの人や、動体撮影が多い人には若干物足りない部分があるかもしれませんね。