パナソニックは位相差を含むあらゆるAF方式を検討し続けている

CineDで、パナソニックの山根洋介氏のGH6等に関するインタビュー動画が公開されています。

Panasonic LUMIX GH6 - Yamane-san Answers All Your Questions

  • (GH6の発表が遅れた理由は?)
    開発発表の反響が予想を上回るものだったので、クリエイターの要望に応えるために開発に時間をかけた。コロナによるサプライチェーンの影響もあったが、発売時期は大きくは遅れていない。

  • (GH6の開発で最も大変だったのは?)
    一つは新しいイメージセンサーの開発で、テーマは「m4/3でフルサイズに匹敵するダイナミックレンジの実現と、m4/3ならでは高速性との両立」だ。もう一つは新しい画像処理エンジンの開発で、この新型像処理エンジンのポテンシャルは大変に素晴らしいものだ。

  • (GH6のターゲットは?)
    GH6は幅広い用途をカバーできるが、PVやコマーシャル、ショートフィルム、ドキュメンタリーなどを手掛けるプロのクリエイター向けに開発してきた。また、YouTubeなどの動画配信で他とはワンランク違う映像を造りたいクリエイターにも幅広く使っていただけると思っている。

  • (GH6でお気に入りの部分を3つあげるとしたら?)
    まずは画質で、これまでのm4/3とは明らかに異なる立体感、奥行き感を体感して欲しい。2つ目はスローモーション動画で、4K120p、FHD240p 300pから得られる浮遊感は想像を遥かに超えるものだった。3つ目は手ブレ補正で、動画で不自然な動きがなく、パンニングとブレの見分けが非常に優れている。これは補正段数の数値に現れない匠の技だと思っている。

  • (APS-Cやフルサイズも小さくなっているがm4/3のアドバンテージは?)
    レンズを含めたトータルな小型サイズによる機動性のよさは、フルサイズにはない価値だ。m4/3は非常にバランスが取れた扱いやすいフォーマットと考えている。

  • (リソースが限られている中、2マウントを維持しているのは?)
    フルサイズとm4/3に求められるクリエイターのニーズは重複していない部分が多く、1つのフォーマットでは不十分と考えている。今後も2つのフォーマットを続けていく。

  • (AFにコントラストを使い続けていることについて)
    位相差を含めてあらゆる可能性を検討していたが、GH6では、提供可能な画質レベル、AFの進化度合いと言った技術的な要素や、提供可能なタイミング、価格を考えてトータルのベストバランスを取った。位相差AFは採用していないが、新画像処理エンジンの進化でAFは従来から進化している。特に被写体認識性能は徹底的に進化させている。ただ、勘違いをしないで欲しいが、位相差AFをやらないと言っているわけではなく、LUMIXは位相差を含むあらゆるAF方式を検討し続けている。

  • (RAW動画の内部収録への対応は?)
    GH6発売時には対応していないが、必要性は十二分に認識しており、可能性を検討していきたい。

  • (将来追加される機能は?)
    1つ目はRAW動画出力で、DCI 4K 120pの出力をアトモス社と共同で開発している。2つ目はProResの内部収録モードの拡充、3つ目はUSB経由での外付けSSDへのダイレクト記録だ。4つ目はHDMIでの4K120p映像出力だ。

  • (ダイナミックレンジブースト機能について?)
    m4/3でフルサイズ並のダイナミックレンジを実現するもので、m4/3のセンサー面積では不可能に思えるかもしれないが、我々はこれを知恵でブレークスルーしたかった。デュアルネイティブISOは広画素ピッチセンサーとの相性がいいので、ダイナミックレンジブーストと共存できる。

  • (次に期待できるものは?)
    m4/3の小型サイズでこれだけのパフォーマンスが出せるので、フルサイズではまた違う世界が広げられると思う。GH6で開発した技術のノウハウをフルサイズに展開していくので、次のフルサイズモデルの進化にも期待して欲しい。

 

GH6のAFに関しては、いろいろな観点から今のタイミングではDFDがベストと判断されたようですが、DFDに固執しているというわけでもないようで、将来は位相差やその他のAF方式を採用する可能性もあるようです。

画質に関しては、フルサイズに匹敵するダイナミックレンジがGH6の目玉機能の1つで、クアッドピクセルAFを押し出しているOM-1とは別の方向性ですが、GH6も進化の幅はかなり大きいという印象です。GH6の技術が採用されたフルサイズ機が、どこまで進化するのか楽しみですね。