OM SYSTEM「OM-1」は高感度域ではAPS-C機に匹敵する性能

PCMag.comに、OM SYSTEM OM-1のレビューが掲載されています。

OM System OM-1 Review

  • OM-1は米国で発売される最初のOM SYSTEMのカメラで、OLYMPUSロゴを使用する最後のカメラになる。OMDSはこの機種を最後にOLYMPUSロゴを廃止するそうだ。
  • OM-1の価格はE-M1 IIIよりも400ドル上がっているが、高価格化にともなって、フィット感や仕上げのクオリティが向上している。
  • OM-1はグリップが深くなり、ボタン類の感触は少し改善されている。

  • メニューシステムは一新され、自分好みの設定がしやすくなっている。
  • 580万ドットのEVFは鮮明で、フルサイズ機の最高峰のモデルに匹敵する大きさだ。液晶モニタは、明るくシャープで適切な視野角のある良質なものだ。
  • バッテリーライフはCIPA規格で520枚で、ミラーレスカメラの中ではトップクラスだ。

  • クアッドピクセルによる高速なAFが実現されており、顔認識や瞳認識も迷うことなく、AFは基本をしっかり抑えているが、被写体のトラッキング性能には少々がっかりしている。OM-1はE-M1 IIIと同様に、動体の追尾で被写体からAFが外れてしまう傾向がある。瞬間的なアクションの撮影には適しているが、競合機のX-T4やα6600のAFのように粘り強く被写体を追従しない。これらの機種は被写体にしっかりとAFが付いていく。しかし、OM-1は被写体認識モードがあり、特定の被写体に対してはより優れた性能を発揮する。
  • 被写体認識は周囲の状況によっては被写体にロックさせるのが面倒が場合があり、青空や水面を背景とした大型の鳥はカメラまかせで撮影できるが、枝にとまった鳥の撮影は別で手前の枝に合焦してしまう。EOS R5でも同様のケースでは苦戦し手動のアシストが必要だったが、R5は一度鳥を認識したら離れないのに対し、OM-1は最初に合焦した後に手前の枝にピントが戻ってしまう傾向がある。これは野鳥を撮る人には残念なことだが、ファームウェアのアップデートで対処できると思う。

  • OM-1は高速な積層型センサーと新しい画像処理エンジンの採用で、動作が軽快になり、画像処理も格段に速くなっている。バッファークリアの速度はRAW+JPEGで12秒、JPEGで6秒と非常に速い。電子シャッターは読み出しが速く動体もしっかり捉えることができる。単写や5~20fpsの基本連写モードではEVFがブラックアウトしてしまうのは、他の積層型センサー搭載カメラ(R3やα9、α9II)とは異なっている。
  • OM-1の高感度性能はISO6400まではE-M1 IIIと同じで、RAWでは感度があがると若干のノイズが見られるがディテールは維持されている。ISO12800になると、OM-1がわずかに優勢になり、ISO25600でも同様だ。ISO51200ではノイズは荒くなるが、使用可能なレベルだ。この新型センサーは感度が高くなるとAPS-Cセンサーに匹敵する性能を発揮する。
  • JPEGはISO6400を超えると、ノイズは抑えられているが、細かいディテールが消えてしまう。もう少しディーテールが欲しい場合は、ノイズリダクションに「低」の設定もある。

  • 5軸手ブレ補正は非常に効果的で、手持ちでのVlog風の映像撮影では、ジンバル並みとまではいかないが、非常に良い結果が得られた。
  • スローモーション動画はフルHDで240fpsに対応し、これはライバルのX-T4とほぼ同等だ。動画で唯一残念なのは4Kスローモーション機能の欠如で、他の多くのハイエンドカメラは4K120pを採用している。動画用にm4/3カメラを購入する場合は、OM-1よりも4K120pやProResに対応したGH6の方が魅力的だろう。
  • OM-1は外部レコーダーを使ったRAW記録に対応しているが、最大の問題は小さなmicro HDMI端子を採用していることで、この端子は脆弱で破損することが多い。

  • OM-1はEVFが大きく改善し、メニューは一新され、キビキビと動くようになった。しかし、いくつか残念な点もあり、AFは完璧に信頼できるものではなく、どのような被写体を狙っているのかカメラで設定しておく必要がある。2200ドルの価格はこのような高性能なカメラなので全く高すぎるというわけではないが、優れた性能のフルサイズ機のEOS R6と同等であり、エディターズ・チョイスを受賞したX-T4の1700ドルよりも遥かに高い。
  • 良い点:IP53の防水性能の頑丈なボディ、最高50コマ/秒のRAW連写、大きく鮮明なファインダー、5軸手ブレ補正、強力なコンピューショナルフォト用のツール、AFが被写体認識対応、4K60pUHDとDCI対応の動画。
  • 悪い点:被写体認識が時折苦戦する、木の枝で鳥認識に失敗する、壊れやすいmicro HDMI端子。

 

OM-1の高感度性能はレビューサイトによって、改善したという評価と、E-M1IIIと変わってないという評価に分かれていますが、このレビューではISO6400までは同等で、そこからは上の感度では改善されているという結果になっています。

また、AFに関しては動体の食いつきが少し弱いと評価されていますが、ハードウェア的にはクアッドピクセルAFは他の方式よりも圧倒的に情報量が多いはずなので、今後のファームアップでのAFの改善を期待したいところですね。