Imaging Resourceに、ソニーの新しい広角パワーズームレンズ「FE PZ 16-35mm F4 G(SELP1635G)」のハンズオンレビューが掲載されています。
・Sony FE PZ 16-35mm F4 G Hands-on Review
- このレンズはフルサイズ用にもかかわらず驚くほど小型軽量で、重さは353gとFE16-35mm F4 ZAの518gよりも遥かに軽い。
- インナーズームなので、このクラスの他のレンズと異なりズーミングで鏡筒は伸びず、ズーム全域で安定したバランスを保っている。これはドローンやジンバルで使用する際には大きなメリットとなる。
- ソニーのズームレンズでは珍しく絞りリングが搭載されており、クリックの解除も可能だ。
- ズームリングは電子式で、止まることなくいくらでも回転する。ズームリングには焦点距離の表示が無いのが少し気になるところだ。ズームが両端で止まらないので、今どの焦点距離なのかわからず、これまでの機械式のズームリングとは明らかに使い勝手が異なる。
- パワーズームには4個のXDリニアモーターが採用され、マニュアルズーム時のレスポンスは良好だ。ズームリングの感触はほぼ良好で、非常に滑らかに回転する。しかし、ズームリングはゆっくりとしたズーミングには最適だが、ズームの両端に素早くズーミングする必要がある場合は、機械式ズームのようにはズーミングできない。このパワーズームは、スチルにはベストとは言えない。
- 光学ズームとデジタルズームとを組み合わせることで、シームレスな長いズーム域を実現できる。これは実際に使ってみて効果絶大で、光学ズームとデジタルズームへの移行もゆっくりズーミングすれば完全にシームレスだ。
- 解像力(16mm):広角端では中央は開放から優れた解像力で、ディテールも豊富だ。絞っても解像力は改善せず、F8までは非常にシャープなままだ。隅の解像力は中央ほど素晴らしくはなく、開放ではいくらか甘いが、16mmの超広角としては全体的なディテールはとても良好だ。絞ったときに解像力はわずかに改善するが、実際にはあまり意味はないレベルの改善だ。
- 解像力(24mm):24mmの中央は16mmと似た結果で、開放から優れた解像力で、F5.6~F8まで絞っても開放とほとんど変わらない。隅は16mmよりも遥かに優れており、四隅も開放からディテールは豊富だ。F5.6~F8に絞ると解像力はわずかに改善する。
- 解像力(35mm):35mmの中央は16mmや24mmと全体的に同様の傾向で、開放から非常にシャープでディテールが豊富だ。隅は非常にシャープで、一番隅の部分でもシャープだ。絞っても解像力はあまり改善しない。
- 全体として、このレンズはズーム全域しっかりとした性能で、特に中央は非常にシャープだ。隅の性能もとても印象的だが、16mmの隅はそれほどシャープではない。
- 周辺光量落ち:全体的に周辺光量落ちは少なめだが、16mm開放では目立ち、特にはRAWでは目立つ。F5.6に絞るとかなり改善するが、F11までは少し周辺光量落ちが見られる。望遠側では周辺光量落ちはそれほど問題はない。
- 色収差:色収差の問題は基本的にみられず、16mm開放でも問題なかった。ハイコントラストな場面でも色収差はほとんど(または全く)見られなかったことには非常に感心した。
- 歪曲:歪曲は未補正のRAWで見ると、特に16mmではかなり深刻なタル型で、JPEGでは非常に強い歪曲補正がかかっている。α7 IVのJPEGの歪曲補正は、素晴らしい仕事をしている。望遠側では歪曲はそれほど問題はない。
- AFは非常に高速で精度に関する問題も見られず、素晴らしいAF体験ができた。最短から無限遠まででさえ、AFはほぼ瞬時に合焦する。
- マニュアルフォーカスの使い勝手は概ね良好だ。フォーカスリングは電子式で非常に滑らかに動き、正確なピント合わせが簡単にできるが、リングが軽いので、誤ってピント位置を動かしてしまうことがあった。
- 最大撮影倍率は0.23倍で、広角レンズとしては良好な近接性能だが、ワイド端でもう少し寄れればよかった。
- このレンズは滑らかなパワーズームやクリック解除可能な絞りリング、常にバランスの良いインナーズーム設計により、動画撮影で素晴らしい働きをする。小型でズームリングを備えているので一般的なスチル用の広角ズームのようにも見えるが、ズームリングは機械式のものとは少し異なる感じがし、特に素早く操作した場合は機械式のズームほど反応がよくない。しかし、スチル写真家の観点からは、このレンズはズーム全域でシャープでAFが速く、驚くほど軽量で可搬性に優れており、依然としては非常に優れたレンズだ。
FE PZ 16-35mm F4 Gは小型軽量にもかかわらず光学性能は優秀でAFも速く、動画にも配慮されていて、非常に魅力的なレンズに仕上がっているという印象です。
ただ、電子式のズームリングはズームの両端で止まらず、また素早く回したときのレスポンスが鈍いなど、機械式に比べるとスチル用には少し違和感があるようですね。とは言え、ズームレバーで操作するのと比べれば、電子式ズームリングでもスチルとの相性はずっとよさそうです。
あとは、夏に延期されたこのレンズの発売日がいつになるのかが気になるところですね。
カタスマー
そういえばこの手のPZレンズってPC経由のテザー撮影やスマホアプリでの操作でもズーム出来るんですか?
技術的には可能だと思いますが。
とり
ミノルタにしてもペンタックスにしてもスチルでのパワーズームの評価は芳しくなかったですね。
その頃はオートフォーカス以降の付加価値を各社模索している中で、特にミノルタは画角まで自動?ってくらいある種の行き過ぎ感もあったと思います。
キヤノンはEOS初期に、レンズに電気が来ているので作ってみました的な入門機用のがありました。鏡筒にボタンがついていました。
動画は滑らかな寄り引きが必要だと思いますが、スチルメインでは慣れるしかなさそうです。
よし
私は動画がメインなのでバイワイヤの挙動でも全く問題ないのですが、スチル専門の方からすると若干違和感はあるでしょうね。
オリンパスの電動ズーム15-50mmは、マニュアル時はバイワイヤではなくメカニカルに切り替わるというトリッキーな仕様でしたが、あれはあれで違和感がありました…
>カタスマーさん
私、PZ 18-105mmを使用していますがスマホアプリやBluetoothリモコンからパワーズームの制御が可能ですよ。
ですが、なぜかテザーにはズームの機能がないようです(私が試した限りでは…)
なは
ソニーストアで触った限りではα7IIIでもズームのスピードは十分に速く不満はありませんでしたが、ディスプレイに表示される焦点距離表示がかなり遅延するのは気になりました。
イメージ
>そういえばこの手のPZレンズってPC経由のテザー撮影やスマホアプリでの操作でもズーム出来るんですか?
アプリでずーム可能です。
だからこのレンズは便利なんですよ。
シュワシュワ
ソニー機ってズーム時の焦点距離ありましたっけ?
まぁないとこの機構成り立たないのであるんでしょうけどパナ以外に見た事ないんですよね
普通に全社搭載して欲しい機能です
このレンズのメインターゲットはやはり動画なんでしょうね
タスク
実際触ったとこ普通のズーミングではレスポンスに違和感はなかったですが、このレビューの通り急なズーミングでは追い付かなかったです
今までのパワーズームは普通のズーミングすら違和感だらけだったので、やっとスチルでも使えるパワーズームができたという印象
レビューでも言ってるように電子ズームとのシームレス感が良いので新しい価値を創造したなって感じです
D500の人
現物は触っていないですが、パワーズームだと、動画では便利な反面、スチルの時に露光間ズームの流し撮りが思うように出来なさそうですね。
ポタリン
この焦点レンジはほぼムービー専用時々スチルなのでズーミングの遅延は(実機未だ触っていないのでどの程度かはわからない)気にしていません。
私の場合、RX100m7程度の遅延(焦点距離表示も含めて)ならスチルでも十分実用範囲です。
シームレスにズーミングできるのは、ムービーでは大きなメリットでほぼこの一本で全てのシーンに対応できそうです。
発売延期が唯一のデメリットでしょうか。
ゴリラ
カスタマーさん
PCは使ったことないのでわかりませんが、スマホアプリからは操作可能ですよ
え~まうんと
広角ズームレンズは望遠側の描写が甘くなる傾向がありましたが、今回のレンズは望遠側もシャープな様なのは素晴らしいですね。スチルしかやらないのでパワーズームって部分にウーンってのは有りますが、一度店頭で手に取って良さそうなら購入してみたいです。