パナソニック「GH6」は動画スペックを考えると驚異的に安いカメラ

Amateur Photographerに、パナソニックLUMIX GH6のレビューが掲載されています。

Panasonic Lumix GH6 Review

  • GH6を決定付ける特徴はコーデックだ。GH6はフルHD300fpsから5.7K60fpsまで、クリエイターが使いたいと思うほぼ全てのコーデックを備え、更にProResで最大5.7K30fpsの内部収録も可能だ。幅広い品質のコーデックとフルファットのV-logの採用で、GH6はシネマカメラの領域に位置付けられるカメラとなっている。
  • GH6の価格は1999ポンドで、充実したスペックを考えるとこれは驚異的に安い価格だ。GH6はこのクラスの他のカメラとの比較はあまり意味がなく、同等の機能を備えている2倍の価格のフルサイズ機と比べる必要がある。
  • m4/3マウントは死んでいるという考える人もおり、新型フラッグシップに懐疑的な人もいるだろう。しかし、そのような人達は小型センサーの利点を無視している。m4/3は素晴らしい機能を実現しながらサイズを抑えることができる。

  • ボディ内手ブレ補正は、クラス最高水準に達しており、ハイレゾモードでの手持ち撮影も可能になっている。
  • ダイナミックレンジブーストは、実際に使ってみると、他のモードでは失われてしまうハイライトのディテールを復元するのに最も顕著な効果が見られ、コントラストの高いシーンでは有用だ。
  • GH6はGH5よりも大きく重くなっているが、しかし決して大きなカメラではない。ボディはマグネシウム合金のダイキャストフレームやしっかりとしたグリップなど、プロ向けのツールにふさわしい堅牢さだ。

  • ベースプレートには三脚ネジの前方に回転防止用のピンホールがあり、これはプロ用のシネマカメラに良く見られる機能だ。
  • 冷却ファンの音は標準モードではほとんど聞こえないが、高速モードでは静かな室内ではファンの音がマイクに拾われるかもしれない。しかし、高速モードが必要なレベルの冷却が必要になるケースはあまり想像できない。
  • ユーザーインターフェースは非常によく出来ており、メニューをカスタマイズしておけば設定を深く掘り下げていく必要なほとんどない。メニューはシンプルで直感的に操作できる。豊富な動画コーデックもシンプルにまとめられている。

  • EVFと液晶モニタはGH5IIと同じもので、スペックに目を引くようなものはないが、EVFは明るく鮮明で、設定もクリアに表示される。モニタは直射日光下でもはっきりと見える。EVFもモニタも表示のタイムラグはほとんど感じない。
  • モニタはS1Hと同じチルト&フリーアングル機構が改良されて搭載されているが、この機構の最大のメリットは、端子類とモニタの間に空間ができるためにケーブルとモニタが干渉しないことだ。また、S1Hの煩わしいロック機構がなくなったので、三脚使用時に画面を反転させることができるようになった。

  • AFはパナソニックのDFDベースのAFシステムの中で最高のものだと断言できる。スチルではほとんどのケースでAFは高速で比較的安定している。しかし、長秒の連写ではAFは予想できない動きをし、時折外すこともある。連写のC-AFのテスト(被写体はダンサー)では予想不可能な動きでAFが追いつかないことがあり、平均して12枚で2~3枚ほどはピントを外しており、被写体を見失っていた。
  • GH6のAFはこれまで以上の性能だが、コントラストAFなので、位相差AFのライバル機との勝負では若干の後れを取っている。それが顕著に見られるのが動画撮影時だ。動画ではコントラストAFでは若干のピントの揺れが生じるが、これはハイライト部分で特に顕著だ。GH5よりその影響は軽減しているが、よく見るとまだ影響は見られる。とは言え、実写ではGH6の被写体の認識能力と食いつきには驚かされた。

  • LUMIXのカラーサイエンスは、私がこのシリーズを楽しんで使っている大きな理由の1つで、GH6も色に偏りがなく、豊富な階調とともに忠実な色再現をするという評判を維持している。オートホワイトバランスが正確なので、JPEGも自信を持って使える。
  • 画質は低感度ではスチルも動画も驚くほどクリーンで、ディテールが少しソフトになるISO12800付近までずっと良好だ。ISO12800でもノイズは自然で、m4/3機としては素晴らしい。
  • 新型の2520万画素センサーは、このクラスの他のセンサーとくらべて露出の過不足に寛容だと感じた。GH6は露出アンダー傾向があり、高コントラストのシーンではカメラがハイライトを優先し、代わりにシャドーをつぶしてしまう傾向がある。

  • 手ブレ補正はこのカメラが優れているもう1つの分野で、キットレンズの12-60mm F2.8-4との組み合わせでは手持ちで極端なケースでは2秒、安定的には1/5秒を達成できた。カメラを動かしながらの動画撮影を除けば、GH6はジンバルを家に置いてくることができるカメラだ。
  • GH6の動画はフィルムのような品質で、5.7K30p Apple ProRes 4:2:2 HQとCinema 4K 4:2:2 10bit V-LogをAll-Iコーデックで撮影できることは、このカメラのオーナーは高品質なシネマカメラを所有していることを意味する。
  • GH6は動画クリエイターを念頭に置いたカメラだが、スチルでも十分な性能を発揮する。このカメラで最も驚きなのは2000ポンドという価格で、この価格帯のカメラで、これだけの動画機能を搭載したカメラは他には無い。しかし、コントラストAFの採用やRAWの内部収録ができないこと、6K/4Kフォトモードの非搭載など、GH6は完璧というわけではない。本格的なシネマカメラの機能を備えたハイブリッド機が欲しければ、この価格帯でGH6に勝るカメラはないだろう。
  • 良い点:最高解像度の4/3センサー、プロフェッショナルな動画機能、トップクラスの手ブレ補正、フルサイズのHDMI端子、ProResコーデック、5.7K60p、C4K120p、録画の時間制限が無い。
  • 悪い点:AFはライバルに及ばない、6K/4Kフォトの非搭載、RAWの内部収録ができない。

 

GH6は動画機としてはこのクラスのカメラとしては申し分のない高性能機で、動画中心の人には非常にコストパフォーマンスに優れた有力な選択肢になりそうですね。

スチル機としても使う人の場合は、AFがやや動体に弱いようなので、動体の撮影が多い人の選択肢にはなりにくいかもしれませんね。とは言え、風景や静物などの撮影が多い場合には、より高画素のセンサーや優れた画質の手持ちハイレゾ機能があるので有力な選択肢になるかもしれません。