fotointern.chに、ライカのテクニカルマネージャーのステファン・ダニエル氏のインタビューが掲載されています。
・Mit Leica Technikleiter Stefan Daniel im Gespräch
- (ライカの開発部門の規模は?)
現在、Wetzlarに約170名、ポルトガルの第2工場に15名ほどの従業員がいる。本社の開発部門は非常に強力になっている。本社の開発部門が大幅に拡充されたのは、ここ数年、例えば画像処理などの重要性が増し、エレクトロニクスとソフトウェア開発が加わっているためだ。 - (新製品の開発期間は?)
開発工程は2つに分かれる。プロセッサーやセンサーなど、複数のカメラに使用される可能性のある技術の開発、そして、機種の仕様、設計要件、さらには製造条件など、実際の製品開発が行われる。全体の工程は、新製品で2年半から3年程度かかる。 - (M11で一番苦労したことは?)
更に改善するという課題があったが、M10が登場した時に我々はM10が完璧なMだと考えていた。完璧だと思っていたものをどうやって改善するのか? 顧客や写真家が次のMで何が見たいのか教えてくれた。顧客からの要望を丁寧に拾い上げて、M11では50以上の改良を加えている。 - (M11にはなぜ手ブレ補正が無いのか?)
私も欲しいが、フィルムカメラのMのボディの奥行きを引き継ぐためスペースの関係で搭載は無理だった。しかし、例えばメカシャッターを廃止して必要なスペースが確保できれば、Mに手ブレ補正を搭載することも不可能ではない。 - (M11に動画機能がないのはなぜ?)
Mを使用している顧客からの「動画機能は必要ない」という意見に基づくものだ。SLの動画機能は顧客から非常に高い評価を得たが、M11の動画には需要がない。 - (M11は60MP、36MP、18MPの解像度が用意されているのはなぜ?)
低解像度ではデータ量が減るというメリットがあり、また、M11の解像度を完全に引き出せない古いレンズを使う場合にも役立つ。さらに、特に18MPのモードでは高感度性能やダイナミックレンジが向上する。 - (光学ファインダーのEVF化はあるのか?)
私がライカで発言権を持っている限り、Mにはレンジファインダーが搭載されるだろう。もちろん、EVFの搭載は可能だが、Mの最も特徴的な部分、多くのMユーザーが特に高く評価している部分を無くしてしまうことになる。 - (富士フイルムのような光学と電子のハイブリッドファインダーはMでも可能か?)
ハイブリッドファインダーを実現するためにはスペースが必要で、実用的なメリットはほとんどないという結論に達した。そこで、Visoflex(オプションのEVF)を採用した。 - (Sシリーズのミラーレスが噂されているが?)
Sのミラーレスは理に適った進化なので、憶測が飛び交うのは当然だ。ミラーレスのSの開発は行ってはいるが、現在、パーツの調達に多くの問題があり、次期Sの発売時期について現時点で具体的には言えない。 - (特に不足しているパーツは何か?)
全てのパーツの調達が不安定だ。光学ガラスや電子部品、マグネシウムやアルミニウムの需要が殺到しているため、非常に高価になっている。しかし、世界にネットワークを持つ優秀なチームのおかげで、これまでは、大きな供給不足は回避することができている。 - (Qの状況は? Qの焦点距離が長いバージョンの噂もあるが?)
Qの開発状況は第2四半期から変わっておらず、我々は全ての製品ラインを常に開発している。焦点距離は28mmが人気があり、それより長い焦点距離のQの要望は少ない。 - (ライカの各シリーズの割合は?)
売上の観点からはMが最も多く、次がQ、最後にSとSLで、Mがライカのビジネスの中で最大かつ最も重要なものだ。Qはトレンディなカメラで、若い購買層へのアピールに大きな役割を果たしている。それぞれの比率については言えない。 - (フィルムカメラのM-AとM-Pについて)
現時点では高い需要に応えられていないが、これは嬉しい驚きだ。M-AやM-Pは非常に複雑な製品で多くの作業を純粋な手作業で行う必要があり、このような作業ができるのはその分野の専門家なので、製造の人員を増やすのは容易ではない。 - (QやMのモノクロカメラを発売した経緯は?)
2012年にMのモノクロカメラを発売したのは実験的な試みで、社内でも賛否両論あったが市場の反応は非常にポジティブなものだった。現在、QとM10のモノクロバージョンがあるが、今後もモノクロームはこの方向で続けていきたい。 - (アーチストにインスパイアされた少量生産の製品群は儲かる商売なのか?)
もちろんだ! マニアに高く売れるという経済的な理由だけでなく、他ではなかなか開拓できない販路にアクセスできる。このような製品は財政的なリスクを取らないように、数量を意図的に制限している。 - (パナソニック、シャープなどとの協業について)
パナソニックとの関係は20年以上続いており、今後は技術交流を含めて更に強化する予定だ。シャープとの協業は日本でのみ販売される「Leitz Phone1」に限定されている。ファーウェイとの協業は非常に成功している。 - (5年後、10年後の写真はどうなっていると思う?)
これまでコンパクトカメラを購入していたカジュアルなフォトグラファーは、スマートフォンで満足するようなっているが、高品質なカメラとレンズは、特にこれらのツールをクリエイティブに使いたいと考える人々には、今後も重要な役割を果たすと信じている。
EVF搭載のライカMの噂は以前から流れていますが、ここではMへのEVF採用には否定的ですね。また、富士フイルムのようなハイブリッドファインダーの採用も考えていないようです。
以前にイースターエッグが発見されていたライカSのミラーレス版に関しては、登場次期は不明ですが、開発していることは認めているので、いずれ登場する可能性が高そうです。
Qに関しては、以前のインタビューで「要望が多ければ35mmや50mmのQの開発を考えるかもしれない」と発言していましたが、どうやら要望が少ないようで、35mmや50mmのQが実現する可能性は低そうな雰囲気です。
望遠野郎
何気にSシリーズのミラーレス化はやると言ってますね。
ファインダーはオプションのEVFが有るとはいえ古典的なものであっても良しとされるのはライカの、ライカMの歴史とブランド力があればこそ成せる選択でしょうね。動画機能すら必要ないというのも他のメーカーではまず出来ない選択です。
未来
ライカのMマウントは不変のマウントで、デジタル化しても
レンジファインダーのまま変えないのは改めて感心する。
ライカをメインストリームから追いやった一眼レフが、ミラーレスの進化で
衰退が確実な一方、レンジファインダーのライカは残って何とも言えない感じ。
一眼レフは、おそらくPENTAXだけが残ることになるかな。
KJ
一眼レフはミラーレスの進化で衰退と言うより、ミラーレスへの進化をしたと思っています
一眼レフからミラーレス一眼ですから、確かにレンジファインダーの
ライカは残っていますが普通の人が簡単に手を出せる物では
無いですし。
SoA
M-A/M-P、自分も写真道楽の上がりに欲しいです。
ライカを追いやった一眼レフも何処かのメーカーが職人芸の現行機として作ってくれないものでしょうか。
ハッシー
「ライカMにはレンジファインダーが搭載されるであろう」というのは、当然でM=Messsucher(距離計)を意味しますからね。EVFを載せるなら新しいシリーズになるのではと思います。
TLなどが中止になったのも、ひょっとしたらEVF搭載のMマウントの新シリーズが出すためなのではと、少し期待しています。