ソニー「E 11mm F1.8」は解像力は満足の行くものだが逆光耐性が懸念事項

PCmagに、ソニーの新しいAPS-C用の広角単焦点レンズ「E 11mm F1.8」のレビューが掲載されています。

Sony E 11mm F1.8 Review

  • E 11mm F1.8は画角の広いレンズにもかかわらず小型軽量で、55mmのフロントフィルターに対応している。
  • このレンズは防塵防滴だが、前玉のフッ素コートは省略されているので、保護フィルターの使用を勧める。

  • AFのレスポンスは非常に速く、ZV-E10との組み合わせでは、近距離の被写体から遠距離の被写体に瞬時に合焦する。
  • フォーカスリングの動きはリニアなので、フォーカスラックも簡単にできる。フォーカスリングの最短から無限遠までの回転角は約170度とかなり大きく、これは正確なピント合わせをしたい人には朗報だろう。
  • 最短撮影距離は5.9インチ、最大撮影場率は1:5で十分に寄れる。
  • フォーカスブリージングはほとんど見られず、動画でクリエィティブなラックフォーカスショットができる。

  • 手ブレ補正は搭載されていないがこの種のレンズは手ブレ補正搭載はあまり見かけないので、これは特に意外なことではない。スローシャッターを使う場合は、三脚を使うかIBISを搭載したα6500かα6600と組み合わせるといいだろう。
  • ZV-E10はIBISは搭載されていないが電子手ブレ補正が利用できる。1.44倍にクロップされるが、動画の手ブレを軽減することができる。広い画角のままで手持ちで動画撮影したい場合はジンバルが必要だ。

  • ラボテスト:Imatestによる解像力テストでは、開放でもディテイールに優れている(2800ライン)が、周辺部は中心から離れるにつれてコントラストと光量が失われる。F2.8に絞ると周辺部も良好になり、F4からF8では最も解像力が高くなる(このとき3100ラインの傑出した値になる)。
  • 絞り込めば光芒は得られるがE 15mm F1.4 Gほどクリアな光芒ではない。このレンズの光芒はモヤモヤとシャッキリの中間だ。光芒の撮影ではF16に絞ると必ずフレアとゴーストが見られ、これは避けることはできない。絞り羽根は7枚なので七角形の緑色のゴーストが目立つ。
  • 歪曲と周辺光量落ちは電子補正に依存しており、RAWではタル型の歪曲が非常に目立ち、隅もF1.8とF2では暗くなる。
  • F1.8の口径なので背景をボカすことができるが、ボケは個性的だ。玉ボケは輪郭の強いバブルボケで、背景もうるさくなる。玉ボケは開放では円形だが絞ると七角形になる。また、軸上色収差による紫と緑の色付きもいくらか見られる。
  • 倍率色収差は木の枝や電線などのコントラストの高い部分でいくらか見られる。これはF1.8からF2.8まで見られ、LightRoomで処理したRAWよりもJPEGの方が目立つ。

  • ソニーの最近のレンズの多くは大きな欠点のない見事なものだ。E 11mm F1.8はソニーの全てのレンズが完璧とは限らないことを示しているが、決して失敗作というわけではない。

    例えば、解像力は満足のいくもので、絞ったときのディテールは鮮明だ。しかし、風景のスペシャリストには逆光耐性が懸念事項になるだろう。このレンズは太陽に向けるとゴーストが出る傾向がある。ドローンで使う人も旅行のブイロガーもこの欠点を考慮に入れる必要がある。ボケはバブルボケが少し見られるが、これが問題になるかどうかは使い方によるだろう。

    とは言え、E 11mm F1.8は耐候性と高速なAFを備えたよく出来たレンズで、古いツァイスTouit 2.8/12よりも遥かに優れた価値を提供するレンズだ。超広角が好きで背景をボカしたい場合は検討する価値があるが、E 15mm F1.4 Gほど良好に補正された光学系ではないことに注意が必要だ。

  • 良い点:軽量なF1.8の単焦点、APS-C機で広い画角、速く静かなAF、フォーカスブリージングがほとんど見られない、ファンクションボタン、防塵防滴仕様。
  • 悪い点:逆光時のゴースト、色収差がいくらか目に付く、フッ素コーティングが施されていない、ボケの輪郭が強くうるさい。

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結論は少々辛口になっていますが、設計の難しい大口径広角で無印のレンズなので、ウィークポイントがあるのは仕方のないところかもしれません。

逆光耐性がかなり厳しい評価を受けていますが、サンプルでは確かにかなり派手なゴーストが出ていますが、コントラストはしっかり維持されていますね。ボケに関してはやや硬めですが、超広角なのでそれほど気にならないという印象です。