LensTipに、ソニーの新しいAPS-C用の大口径広角単焦点レンズ「E 15mm F1.4 G」のレビューが掲載されています。
・Lens review Sony E 15 mm f/1.4 G
- このレンズはこのカテゴリのレンズでは最も小さく軽いレンズで、フィルター径も最も小さい。鏡筒はプラスチック製でマウントは金属製だ。
- フォーカスリングは電子式で、最短から無限遠までの回転角は130~140度あり、かなり精密なピント合わせが可能だ。フォーカシングで前玉は動かない。
- 解像力は中央は開放で既に63lpmmを超えており(良象の基準値は39-41lpmm)、非常に高いレベルだ。絞ると更に改善し、ピークのF2.8とF4では80lpmmを超える。これは最高の単焦点レンズに匹敵する解像力だ。隅の解像力は中央よりも明らかに弱いが、開放で50lpmm前後なので良象の基準値は余裕で超えている。ピークでは60lpmmに達するので、広い範囲で非常に質の高い画像が得られる。
- シグマの16mm F1.4 DC DNとの解像力の比較では、中央はF1.4とF2ではソニーが明らかに優れており、F2.8とF4ではソニーが若干優れている。画面の隅では全ての絞りでソニーはシグマよりも優れている。
- このレンズの解像力は中央は素晴らしく隅も良好で、このカテゴリでは基本的に全ての点で肯定的な評価だ。
- 軸上色収差はEDとSuperEDが使用されているので抑えられていると思うかもしれないが、残念ながら、開放ではボケに色付きが見られ、1段絞っても見られる。それでも、軸上色収差は高いレベルではなく、ライバルのシグマ16mm F1.4と同程度だ。
- 倍率色収差は開放で約0.06%、絞り込むと0.09%を若干下回る値で、ここではシグマもソニーもどちらも低い値だ。
- 球面収差はシグマ16mm F1.4は問題がありフォーカスシフトが見られたが、ソニーは球面収差の補正では明らかに優れており文句のつけようがない。
- 歪曲は光学補正をする努力が完全に放棄されており、結果、RAWでは-8.58%という巨大なタル型の歪曲が見られる。JPEGでは-0.35%で、実写では気付かないレベルまで歪曲は補正される。
- メーカーの公表している画角が歪曲の補正前のものなのか、補正後のものなのか確認したところ、補正後のJPEGの画角は88.0度で、これは15mmの画角86.8度よりも広く、メーカーはあなたを欺こうとはしていない。未補正のRAWでは画角は94.4度で13mmのレンズとほぼ同じ画角だ。
- コマ収差の補正は完璧ではなく画面周辺部の画質に影響を及ぼしているが、特に高いレベルではなく、像が翼状になる高次の収差はとても良く抑えられている。シグマはこの翼状が顕著でこの点ではシグマよりもソニーが優れている。
- 非点収差は5.9%で画質への影響はわずかだ。ここでもソニーはシグマより明らかに良い結果だ。
- 玉ボケは非球面レンズによる年輪ボケが見られ、この点ではシグマの方が少し優れている。口径食は開放では目立つが、F2で明確に改善し、F2.8でほぼ解消する。
- 周辺光量落ちはJPEGで58%(-2.50EV)、未補正のRAWでは開放で66%(-3.15EV)で予想通りRAWの方が高い値だ。周辺光量落ちはかなり大きいが、レンズの焦点距離・明るさを考えれば大きな不満はない。シグマの周辺光量落ちは43%で、ここではシグマの方がずっと良い結果だ。
- 逆光耐性は、完璧ではないが、開放ではそれほど悪くはなく大きな問題はない。しかし絞り込むと状況は一変し、ゴーストが多くなり、太陽が画面外にある場合でもゴーストが発生する。ここではソニーは完璧にはほど遠いが、逆光耐性は中程度のレベルに収まっている。
- AFはZV-E10との組み合わせでは、最短から無限遠まで0.3秒と非常に速く作動音はしない。α7R IIIとの組み合わせではAFは更に速くなる。AF精度はどちらのボディでもスタジオでも屋外でも全く問題はなかった。
- このレンズでソニーがAPS-Cシステムに真剣に取り組んでいることを証明したことに、まず拍手を送りたい。E 15mm F1.4 Gは軽量で開放から非常に優れた画質だ。欠点は歪曲と周辺光量落ちで、色収差ももっと良くできたはずだが、それでもこのレンズの肯定的な評価は変わらない。
- 良い点:しっかりした防塵防滴の構造、適度な大きさ重さ、開放から中央の優れた画質、画面隅の良好な画質、倍率色収差がわずか、球面収差の適切な補正、非点収差が少ない、静かで速く正確なAF。
- 悪い点:周辺光量落ちが顕著、RAWでは歪曲が非常に大きい、軸上色収差はやや大きい。
E 15mm F1.4 Gは設計の難しい大口径の広角レンズにもかかわらず開放から申し分のない性能で、軽量コンパクトと高い光学性能を両立させているのは素晴らしいですね。
歪曲は未補正では非常に大きいですが、歪曲の電子補正前提の設計で小型軽量化しているレンズなので、これは仕方のないところです。このレンズを含めた3本のAPS-Cレンズの登場で、ソニーのAPS-Cシステムが盛り上がりそうですね。
ranran
補正後の画角が公称値なのは良いですね
タスク
シグマの半分程度の重さなのに画質で勝ってるのは凄いですね
画角も広いですしソニーは本当に小型化が上手い
へてろ
SIGMAの16/1.4と比べて画質が良いのは理解出来ましたが、やはり倍近い価格であればOSS付いてても良かったような?ボタンや絞りリングは有難いですが。
GMレンズ開発からレンズ工作精度が上がったようですね、歪曲を補正してなおここまで解像するとは…
CR
シグマ16mm F1.4の裏技として、フードを外すとフルサイズ(3:2)でも使えるということがあります。四隅が若干ケラレるものの、周囲が暗い絵柄では、ほとんど違和感がない。
動画だと、α7Cに取付けて(多分α7iiiでも)4Kフルサイズ(16:9)に切り替えると、若干クロップされるので、全画面使えます。
今回のソニーE 15mm F1.4 Gは当然ながら別のレンズなので、どうなのかわかりませんが、シグマと焦点距離が近いので、そういった「条件付きフルサイズ使用」ができるかも、という期待感があります。
ソニーE 10-18mm F4も(今手元にないので再確認できませんが)それに近い使い方ができたので、E PZ 10-20mm F4 Gも条件付きフルサイズ使用ができるかも?
ぽにょ
E10-18mm をフルサイズクロップなしで使うと10mmで四隅が若干ケラれ、13mmあたりがほぼケラれなし、18mmでは大幅にケラれます。
甘党
広角レンズなら歪曲はもっと頑張って欲しいですね。
なんだかんだ言っても強過ぎる歪曲補正は明らかに隅の解像度が落ちますので、実使用上でも優れた解像度を維持できるかが気になるところです。
また、最近のソニーのレンズは絞りリングを搭載してきていましたが、APS-C用ではこれが初でしょうか。
合わせてタムロンやシグマも絞りリングを標準で付けてくれるといいですね、そうすれば富士Xマウント用にも絞りリングが付いて、お互い嬉しいと思うのですが。
銀将
実はソニーのF1.4のAPS-Cレンズはこれが初めてなんですね…