LensTipに、ソニーの新しいAPS-C用の広角ズーム「E PZ 10-20mm F4 G」のレビューが掲載されています。
・Lens review Sony E PZ 10-20 mm f/4 G
- 鏡筒はプラスチック製できちんとした造りだ。このレンズはインナーズームにもかかわらず非常にコンパクトで、スペックの割りに手軽に使える。
- フォーカスリングは電子式で非常に軽いが、快適に感じる範囲内だ。フォーカスリングの回転角は約150度で、非常に正確なピント合わせが可能だ。
- ズームリングは電子式で、焦点距離が記載されていないので焦点距離を知りたければファインダーか液晶モニタで見るしかない。ズーミングで全長が変わらないので、耐候性に有利でホコリを吸わない。
- 中央の解像力はズーム域にかかわらず非常に均一で、F5.6以上では焦点距離による解像力の差はほとんどない。開放では広角端でピークの解像力の73lpmm、望遠端で67lpmm(良像の基準値は39~41lpmm)となるが、ズーム域による解像力の違いは大きくはない。広角ズームとしては実に素晴らしい結果で、ここでは弱点は見られない。
- 隅の解像力も非常に均一で、同時に非常に優れている。開放では60lpmmの非常に高い値で、F5.6では少し解像力は上がるが、それ以上絞ると回折の影響で解像力は下がる。
- 解像力に関しては、このレンズの性能に非常に驚いている。この明るさのレンズでは最高記録は期待できないし、超広角レンズの収差の補正は簡単なものではないが、このレンズは開放からズーム全域でシャープで、ソニーは本当に良い仕事をしている。実に素晴らしい性能だ。
- 軸上色収差は、F4の広角レンズなので予想通り問題はなかった。倍率色収差は0.04%から0.06%の範囲で「非常に小さい」~「小さい」の範囲だ。ここでは非の打ち所のない結果だ。
- ピントの前と後のボケの違いは明確で、球面収差は完璧に補正されているわけではないが、被写界深度が大きいためフォーカスシフトには気付かないだろう。
- 歪曲は自動補正がオートのまま固定される。これはソニーの設計者が、歪曲の光学補正を諦めていることを示唆しおり、測定の結果もまさにその通りだった。JPEGでは歪曲は10mmで-0.95%、20mmでほぼゼロだが、RAWでは10mmで-9.97%と極めて大きなタル型で、望遠端では+1.22%の糸巻き型だ。
- 歪曲補正後のJPEGの画角は109.6度で、これは10mmのレンズのAPS-Cでの画角と完全に一致している。RAWの画角は115.7度で、未補正のRAWなら10mmよりも更に広い画角を楽しめる。
- コマ収差は画面の隅でダイオードがわずかに変形するが、それほど顕著ではなく大きな問題はない。重要なのはズーム全域で同じ性能が維持されているということだ。
- 非点収差は平均で10.2%で、これは「低い」と「中程度」の境界線上の結果だ。非点収差は10-15mmでやや大きくなり、20mmで最も小さくなる。
- 玉ボケはあまり心地よいものではないが、このようなスペックのレンズに素晴らしいボケを期待する人はいないだろう。
- 周辺光量落ちは自動補正を無効にして計測した。JPEGでは広角端の開放で46%(-1.79EV)で、望遠端の開放でも47%(-1.83EV)と状況はほとんど変わらない。未補正のRAWでは広角端の開放で59%(-2.57EV)に達し、明らかに高い値になるが、歪曲補正を有効にすると周囲が切り取られるので、RAWとJPEGの差はわずかになる。
- 逆光耐性は小型の超広角ズームなのでかなりハードルが高いにもかかわらず、このレンズは良好だ。フレアは発生するがそれほど多くはなく、強くもない。望遠端で絞ると最もフレアとゴーストが目立つようになるが、それでも大きな問題はない。不満があるとすれば、太陽が画面外の遠くにある場合でも時折ゴーストが出ることだが、幸いなことに画像全体のコントラストが低下することはない。
- AFはZV-E10との組み合わせでは、実に速く静かだ。最短から無限遠まで0.2秒と驚異的に速く、極めて優秀だ。AFはα7R IIIとの組み合わせでも無音で非常に速く動作した。AF精度はスタジオでも屋外でも完璧だったが、被写体深度が大きいレンズなので驚きはない。
- このレンズは軽量コンパクトでズーム域が広く、全長が一定で防塵防滴構造が採用され、映像制作者に嬉しいパワーズームも搭載されているなど、どの点から見ても旧型のE10-18mm F4 OSSから改善している点ばかりだ。解像度の点では中央も周辺も優れていて弱点は見られなかった。欠点はRAWの歪曲が大きいことだが、これは予想の範囲内で、JPEGでは非常に良く補正されている。
- 価格は850ユーロで旧型の方がずっと安価だったのでこれは良いニュースではないが、時間が経って許容範囲内のレベルで価格が安定することに期待したい。
- 良い点:コンパクトで防塵防滴で全長が一定、中央の非常に優れた画質、隅の良好な画質、軸上色収差がほとんどゼロ、倍率色収差がわずか、非点収差が穏やか、逆光耐性が優れている、速く静かで正確なAF。
- 悪い点:周辺光量落ちが大きい、RAWで歪曲が非常に大きい。
E PZ 10-20mm F4 Gは設計の難しい超広角域のズームにもかかわらず、ズーム全域で開放から画面の隅まで非常に高い解像力が出ているのは見事ですね。色収差も非常に良く抑えられているようです。
歪曲と周辺光量落ちは非常に大きいですが、自動補正を前提にすることで軽量コンパクト化を実現しているレンズなので、これは仕方のないところです。また、太陽が入りやすい超広角レンズなので、逆光に強いのはポイントが高いですね。
ぱっかー
手ぶれ補正なしが引っかかってたけど、ボディ補正付いた新ZVが来たらセットで買いたいです。