キヤノン「EOS R7」はEOS 7Dシリーズと同じ立ち位置ではない

価格.comマガジンに、キヤノン「EOS R7」のレビューが掲載されています。

購入検討時に気になるポイントを徹底レビュー

  • AF:動体撮影用カメラとして最も気になるのはAFの性能だろう。「EOS R3とまったく同等か?」と問われると、さすがに「EOS R3」のほうが、被写体への一瞬の食いつきなどで、レスポンスにすぐれるように感じた。とはいうものの、「EOS R7」のAFは「EOS R3」に匹敵する性能なのは間違いなく、かなりハイレベル。2022年6月時点ではAPS-Cミラーレスとして最高性能と言っても過言ではない。

  • 連写:「EOS R7」の連写性能で注意したいのは「連写の持続性」だ。JPEG/HEIFは十分だが、RAWやRAW+JPEGだとやや心もとない。実際に連写を試してみたが、ほぼカタログスペックどおりといったところで、メカシャッター・電子シャッターでの15コマ/秒連写時は3秒程度、電子シャッターでの30コマ/秒連写時は1~2秒で連写がストップした。
  • バッファー容量がいっぱいになってからの復旧もそれほど速いわけではなく、特に30コマ/秒連写時はバッファーの詰まりでストレスを感じることもあった。このカメラで高速連写を続けたいのであれば、まずは15コマ/秒に連写速度を落として試してみて、満足できないようならJPEG/HEIF記録を選択する必要があるだろう。
  • 電子シャッターでの高速連写時にカメラを振りながら撮影して気になったのが、ローリングシャッターによる歪みだ。「EOS R3」と比べるとセンサーの読み出し速度がそれほど速くなく、カメラを動かした際に被写体の歪みが発生することがある。カメラを固定して撮る場合はほぼ問題なかったが、野鳥や航空機など移動する被写体を追いながら撮影する際は、メカシャッターを選択するのが無難だろう。

  • 操作性:操作性で最大の注目点となるのが、サブ電子ダイヤルが、ファインダーの右側に移動になったことだ。実際の撮影で使ってみると、とっさに操作する場合に、長年のクセで無意識に親指を背面右下に動かしてしまうことが多くあった。使い込むことで慣れるとは思うが、気になるのは「EOS R3」などフルサイズミラーレス上位モデルと併用する場合だ。メイン機とサブ機でサブ電子ダイヤルの操作性が一貫していないのは、少々とまどうかもしれない。

  • 画質:被写体の細かいところまで描写できている。明暗差のあるシーンでもシャドーからハイライトまでしっかりと階調が出ているのも印象的である。高感度の画質が気になるところだが、さすがにフルサイズ機ほどのクリーンさではないものの、ノイズと解像感のバランスにすぐれるのがポイント。ISO3200やISO6400の高感度でもディテールが潰れることなく表現できているのがとてもよい。

  • 手ぶれ補正:「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」の広角端で、夜景を手持ち撮影した。「遠景・広角」の条件では、シャッタースピードが0.6~0.8秒くらいであれば、半分くらいの確率で、画面全域で手ブレを抑えた写真に仕上がった。シャッタースピードが1秒だと、画面の中央は問題ないが、周辺は回転ブレの影響によってわずかに流れるような描写になることが多かった。

  • まとめ:画質も高いレベルにあり、ハイアマチュア向けとして十分な性能を持っている。RAW+JPEG/RAW記録時の連写の持続性がやや短いのは注意点だが、本格的な動体撮影用として過不足なく使える製品に仕上がっている。
  • 購入に際して気になる点があるとすれば、それは撮影時のフィーリングだ。最新のハイアマチュア向けのミラーレスとしてはシャッター音がやや大きいのが気になるところ。電子ビューファインダーについても、もうワンランク上のスペックにしてほしかったという印象もある。決して撮影時のフィーリングが悪いわけではないのだが、「EOS 7Dシリーズ」のようなフィーリングかと言われると少し違うように思う。「EOS 7Dシリーズ」と同じ立ち位置というわけではなく、「EOS 90Dのひとつ上のカメラ」という印象を受ける。

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EOS R7は7シリーズのカメラですが、どちらかと言うと7D Mark II よりも90Dに近い立ち位置のようで、価格が抑えられている分、妥協している部分もいくつかあるようですね。とは言え、価格を考えればAF性能も連写も高いレベルでまとめられているという印象です。

位置が移動したサブ電子ダイヤルに関しては、絶賛しているレビューもありますが、やはりこれまでのEOSとの違いにとまどうようで、慣れが必要なようですね。このサブ電子ダイヤルが定着するのか、EOS Rのマルチファンクションバーのように消えてしまうのか気になるところです。