キヤノンの絞ってもDS(アポダイゼーション)の効果を維持可能にする技術の特許

キヤノンが、「135mm F2」「400mm F4」「50mm F2.5」の実施例を含む、電子制御の光学素子を使って絞りを絞ってもアポダイゼーション効果を維持することができる技術の特許を出願しています。

特開2022-087455(J-PlatPat)

  • 出願人:キヤノン株式会社
    公開番号:P2022-87455A
    出願番号:P2020-199390
    公開日:2022-06-13
    発明の名称: 光学装置

  • 【課題】 絞りの開口径を大きく変化させてもボケの輪郭の明瞭さを十分に調整することができる光学装置を提供する。
  • 【解決手段】 本発明に係る光学装置は、規格化透過率が0.25となる半径を最大有効半径の二割以上変更可能な光学素子103、及び開口半径を変更可能な絞り102を有する光学系101と、制御情報に基づいて光学素子103の透過率の分布及び開口半径を制御する制御部104とを備えることを特徴とする。

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  • 従来、光学装置によって形成される像においては、輪郭が滑らかなボケが含まれていることが要求される場合もあれば、輪郭が明瞭なボケが含まれていることが要求される場合もある。
  • ボケの輪郭の明瞭さにおいては、絞りの開口径を大きく変化させた場合においても十分に調整できることが求められる。しかしながら特許文献1に開示されている光学装置では、絞りの開放近傍のみでしかボケの輪郭の明瞭さを十分に調整することができないため、上記の要求に応えるには不十分である。
  • 本発明に係る光学装置は、規格化透過率が0.25となる半径を最大有効半径の二割以上変更可能な光学素子、及び開口半径を変更可能な絞りを有する光学系と、制御情報に基づいて光学素子の透過率の分布及び開口半径を制御する制御部とを備えることを特徴とする。

  • 実施例1(135mm F2)
    焦点距離 133.05
    Fナンバー 2.06
    画角 9.24
    像高 21.64
    レンズ全長 170.39
    バックフォーカス 45.96

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  • 実施例2(400mm F4)
    焦点距離 399.84
    Fナンバー 4.00
    画角 3.10
    像高 21.64
    レンズ全長 298.46
    バックフォーカス 145.16

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  • 実施例3(50mm F2.5)
    焦点距離 49.00
    Fナンバー 2.50
    画角 23.82
    像高 21.64
    レンズ全長 68.15
    バックフォーカス 11.00

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  • 実施例4(50mm F2.5)
    焦点距離 48.82
    Fナンバー 2.50
    画角 23.90
    像高 21.64
    レンズ全長 65.03
    バックフォーカス 10.53

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通常のDSレンズのアポダイゼーション効果は絞ると弱くなってしまいますが、この特許のレンズではフィルターの濃度が高くなる部分を絞りの形に従って電子的に調整することで、絞ってもアポダイゼーション効果が得られるようにしているようです。

濃度を部分的に変化させることができる光学素子とその制御ユニットが必要なので、もし製品化するとしたらかなり高価なレンズになりそうですが、アポダイゼーション効果が不要な場合は効果をゼロにして通常のレンズとしても使えるので、汎用性の高いレンズになりそうですね。

実施例のレンズの中では、ポートレートに使うことを考えると135mm F2が一番使いやすいでしょうか。