キヤノン「RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」は素晴らしい光学性能だがSAコントロールは使わない人が多いだろう

OpticalLimitsに、キヤノンの球面収差コントロール機能付きの1.4倍の望遠マクロ「RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 100mm f/2.8 L USM IS macro - Review / Test Report

  • RF100mm F2.8 L MACROはRF85mm F2の2倍以上の金額だが、その価値があるのか調査していこう。鏡筒に造りに関してはRF100mm F2.8Lは確かにRF85mm F2とは別次元で、シーリングが施されており頑丈に感じる。
  • フォーカスリングは滑らかに動き、フォーカシングで繰り出さないため、防塵防滴仕様であることと併せて、厳しい屋外の環境にも対応できるだろう。
  • SA(球面収差)コントロール機能が搭載されている分、100mmマクロとしては大柄で、これまでにみた100mmマクロの中では最も大きいレンズだ。
  • 旧型のマクロ(EF100mm F2.8L)からのもう1つの改善点は最大撮影倍率が1.4倍になっていることだ。中国のメーカーは既に倍率2倍のマクロを発売しているので、これはおそらく良いアイディアだろう。

  • マクロはAFが遅い傾向があるが、このレンズは非常に高速で静かなナノUSMが採用されている。
  • フォーカスリングは電子式だが、機械式のフォーカスリングとの違いはほどんど分からない。

  • 歪曲は未補正で0.3%の糸巻き型で、完璧ではないが、平均的なミラーレス用のレンズよりも遥かに良く補正されている。残っている歪曲は、自動補正で画質の低下は最小限に簡単に補正できる。
  • 周辺光量落ちは未補正のRAWでは1.98EVと非常に大きく、あまり印象的なものではないが、少し絞ると解消する(F4で0.87EV)。しかし、開放では補正をかなり強くかける必要があり、その分、隅のノイズは増加する。
  • 解像力テスト(4500万画素):解像力は高画素機でも素晴らしく、開放で既に画面全域でシャープだ。F4では解像力は若干改善し、F5.6では素晴らしいピークパフォーマンスが得られる。それ以上絞ると回折の影響が現れる。F22の使用は避けるべきだ。

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  • レンズのセンタリング(調芯)は許容範囲だが、それほど良くなかった。像面湾曲はごくわずかだが見られる。
  • 倍率色収差は平均0.8ピクセル前後で、良く補正されている。

  • 玉ボケは内部が非常に滑らかで、輪郭も極めて少なく素晴らしい描写だが、絞ると輪郭は強くなる。玉ボケの円形はF5.6までは維持されており、これは多くのレンズよりも優れている。
  • 口径食は開放ではかなり目立ち、周辺に行くと速い段階で現れる。F4では改善するが隅は心地よくない形状で、解消するにはF5.6に絞る必要がある。
  • 通常のボケは、後ボケはバターのように非常に滑らかだが、前ボケはとてもうるさい。
  • APOを冠しているレンズではないが、軸上色収差は開放でも極めて少なく、絞るとわずかな痕跡もなくなる。軸上色収差のテストでは絞るとフォーカスシフト(ピントが後方に移動する)が見られる。これはマクロレンズでは少々意外なことだ。

  • SA(球面収差)コントロールは新しい機能ではなく、1987年に登場したEF135mm F2.8ソフトフォーカスで既に採用されていた。この機能はボケにだけ効けば素晴らしいが、ピントが合っている部分のシャープさにも影響を与えてしまう。SAコントロールは1900年代初頭の写真のような画質が好きな人には良い機能かもしれないが、多くの場合かなり奇妙になる。また、SAコントロールで焦点距離(画角)がかなり変わることにも注意して欲しい。
  • 競合するマクロレンズは、サードパーティー製は存在しないので、RF85mm F2とEF100mm F2.8Lになる。新型のRFはEFよりも画面周辺部の画質が少し優れており、軸上色収差(ボケの色付き)の点でも優れているが、球面収差が見られる。RF100mm F2.8LとRF85mm F2との明らかな違いは造りの品質と最大撮影倍率だが、RF85mm F2の方が1段明るい。

  • RF100mm F2.8 L は一風変わった機能が追加された素晴らしいレンズだ。光学的には開放から非常にシャープで、ボケも満足のいくものだ。
  • ボケ好きの人はSAコントロール機能を気に入るかもしれないが、正直なところ、多くの人にとってこの機能は使わずにお金だけを払わなければならない風変わりな機能だろう。動画製作者の方がこの機能を高く評価するかもしれないが、(SAコントロールを使うと)フォーカスブリージングが激しいので動画には役にたたないだろう。フォーカスシフトも少々心配な点で、撮影時に気に留めておいた方がよい。
  • このレンズはRFマウントユーザーには明確な選択肢だが、極めて高価だ。それでもこのレンズの良さが失われるわけではない。大いに推薦する!

 

光学性能の評価は4点+α(5点満点中)で非常に良好な評価になっていますが、目玉機能の1つであるSAコントロールに関しては、ここではあまり評価されなかったようです。

SAコントロールを使うと、ボケの性質が変わるだけでなくピント面もソフトになり画角もかなり変わるので、確かに使い所が難しい機能かもしれませんね。

光学性能に関しては開放から解像力は抜群で色収差も少なく、周辺光量落ち以外は申し分の内性能と言ってよさそうです。ただ、フォーカスシフトは少し気になるところかもしれません。