ニコン「Z 24-200mm f/4-6.3 VR」は高倍率ズームでこれだけの性能を実現しているのは印象的

Imaging Resourceに、ニコンの高倍率ズーム「Z 24-200mm f/4-6.3 VR」の実写レビューが掲載されています。

Nikon Z 24-200mm f/4-6.3 VR Nikkor

  • ズームリングは適度な重さで滑らかに回転する。広角端から望遠端の回転角は90度だ。鏡筒にはロックスイッチがあり、ズームの自重落下を防ぐことができる。ズーミングでレンズは繰り出し、望遠端では177.8mmと全長が56%伸びる。
  • 望遠端ではフロントヘビーとまではいかないが、バランスが少し悪くなる。とは言え、このレンズは570gと軽量でとても扱いやすい。Z fcのような小型ボディとの組み合わせでは若干大きく感じるが、大きすぎることはない。
  • 鏡筒にはAF/MF切り替えスイッチが無いので、MFに切り替えるにはカメラのメニューを開く必要があり、MFの操作性はあまり良くない。
  • 言葉は悪いが、このレンズは全体的な感触を少々諦めているようで、ニコンのハイエンドレンズのように洗練された感触ではない。しかし、シーリングは施されており、耐候性は確保されている。

  • 24mmの画質:中央の解像力は素晴らしく、開放からフルサイズでは画面の大部分、DXでは全域で優れた解像力を発揮する。隅に行くほど解像力は落ちて明らかに甘くなるが、決して酷いものではなく悪くはない。隅に色ズレが見られるが、わずかなものだ。目立つのは周辺光量落ちで開放ではかなり顕著だが、F5.6に絞ればかなり抑えられる。
  • 70mmの画質:画質は非常に良好だが、70mmで開放F値はF6になってしまい、既に望遠端のF6.3に近付いてしまう。F4で使えるズーム範囲わずかで、85-200mmの範囲ではF6.3のレンズだ。中央の画質は非常にディテールに富んでおり、高コントラスト部分の収差も適切に抑えられている。隅でも画質は素晴らしいままで、24mmの隅よりも遥かに優れている。70mmは周辺光量落ちが最も少ない。F8に絞ると画質は少し改善するが開放からとても優れているので、あまり改善はしない。
  • 135mmの画質:開放では中央は若干ソフトになるが、コントラストや収差の補正は良好なままだ。広角側では見られなかった開放時の甘さが見られるが、F8まで絞ると非常に優れた解像力が得られる。隅はF6.3とF8で非常に良好だ。
  • 200mmの画質:開放では周辺光量落ちが若干目立ち、ハイライト周辺に少しパープルフリンジが見られるが、これ以外の問題はない。開放から解像力は実に良好で、隅のディテールも優れている。高倍率ズームなので望遠端の性能が低下すると予想していたが、このレンズでは性能の低下は見られなかった。

  • ボケ:ボケは、レンズが暗いので驚くようなボケは得られないが、被写体に寄ればかなり柔らかいボケを得ることができる。
  • このレンズは少し暗いが、ほぼズーム全域で優れた画質が得られる。24mmは若干画質が低下するが、決して悪いものではなく、望遠側ではそれよりも優れた性能だ。このレンズは暗い場所でなければ何でも撮影でき、APS-C機なら(換算焦点距離が長くなるので)野生動物の撮影にも使える。
  • AFはステッピングモーターが使用され、静かで素早く動くが、厳しい条件下では若干苦戦することがあった。200mmでは少しAF精度が低くなる場合があったが、これはごく希なケースだ。
  • 手ブレ補正は公称5段分の効果で、実写でもニコンの主張通りだと思う。鏡筒にVRのON/OFF切り替えスイッチがあればよかったが、メニューから切り替える必要があるのが少々不満だ。

  • Z24-200mm f/4-6.3 VRは完璧ではないが、価格とズーム域を考えると印象的な画質だ。F2.8の標準ズームと望遠ズームの2本を持っていくメリットは沢山あるが、レンズを1本で済ませたい場合や、あまりお金を使いたくない人にとってはこのレンズがよい選択肢だろう。
  • このレンズは、安価で軽量な8.3倍の高倍率ズームからニコンのエンジニアがこれだけの性能を引き出しているという点で、大三元ズームよりも印象的だ。ニコンよくやった!
  • 良い点:それほど大きくも重くもない、防塵防滴、全体的に素晴らしい解像力、収差の良好な補正、効果的な内蔵レンズプロファイル、信頼できるAF、優れたVR、手頃な価格。
  • 悪い点:望遠端でバランスが若干悪い、24mmの性能が他の焦点距離に比べて若干劣る、開放が暗い、AF/MF切り替えスイッチやVRのON/OFFスイッチが無い。

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Z 24-200mm f/4-6.3 VRは高倍率ズームとしては素晴らしい画質で、これだけ写れば、大きなボケが必要な撮影以外は、これ1本でほとんど済んでしまいそうですね。広角端の甘さが指摘されていますが、サンプルを見る限りでは実用上は全く問題なさそうです。

ボケは小さなボケは少々うるさいですが、寄ったときは高倍率としてはなかなか綺麗という印象です。価格も高くないので、Zマウントユーザーは気軽な撮影用に持っていても良いレンズかもしれませんね。