パナソニックGH6は動画用としてはほぼ完璧だがスチル用ならOM-1を勧める

PCmagに、パナソニックのm4/3機のフラッグシップモデル「LUMIX DC-GH6」のレビューが掲載されています。

Panasonic Lumix DC-GH6 Review

  • サイズは他のm4/3カメラと比べると大きいが、持ち運びは容易で、動画の手持ち撮影も可能だ。
  • バッテリーは5.7K ProResで60分録画でき、MP4の4K60pでは80分録画できる。強制空冷を搭載しているので、長時間録画でもオーバーヒートすることはなかった。
  • 180万ドットのモニタは非常にシャープだ。モニタの可動機構は2つのヒンジのある巧妙な造り(チルト+バリアングル)で、三脚に取り付けての作業にも理想的だ。このモニタは多少厚みがあるが、光軸上で作業したいスチル写真家と画面を手前に反転させる必要のあるブイロガーの双方に優れた適応性を示すものだ。
  • GH6のEVFは良好だが、OM-1にある120fpsのリフレッシュレートには対応しておらず、OM-1はAFの速さもあり動体撮影にはOM-1の方が適している。

  • パナソニックは、AFはコントラストAFシステムにこだわっている。コントラストAFはピントの確認作業に時間がかかるため、AF-Cモードでは連写は8コマ/秒と遅い。パナソニックのレンズ使用時はAFのウォブリングは抑えられているが、OMDSやシグマなどの他社製レンズ使用時にはウォブリングが気になるかもしれない。
  • OMDSの300mm F4とGH6の組み合わせでは、AF精度には問題はなかったが、ウォブリングはあまり楽しい経験ではなかった。GH6の被写体認識は他社製の全てのレンズで動作し、動物の検出を有効にすると、300mm F4で木の上の鳥を上手く認識した。
  • パナソニックのカメラは、動画でカメラに向かってプレゼンをするとAF任せでは被写体(顔や瞳)からピントが外れてしまうという声が挙がっているが、GH6でもこの問題は解消されていない。しかし、調整可能なフォーカスリミッターをAF-Cと共に使うと効果的だ。
  • GH6のAFは全体として有力なシステムではあるが、クラスをリードする性能ではないことは確かで、OM-1では(枝の中の鳥の認識には苦戦したものの)GH6よりも良好なAF体験ができた。

  • 新しい2500万画素センサーはGH5IIの2000万画素センサーよりも読み出し速度が速く、電子シャッターでの動体撮影に便利だ。
  • ダイナミックレンジブーストはV-Logで13stopのダイナミックレンジを実現するが、感度がISO2000になるので、明るい場所ではNDフィルターが必要になる。
  • スチルの画質はJPEGではISO1600まではクリーンで鮮明だがISO3200ではディテールが減少し、ISO12800/25600ではノイズリダクションでノッペリとする。RAWをLightroomで処理するとカラーノイズが効果的に抑えられJPEGより良好な画質になる。
  • RAWのレタッチ耐性では、特に低感度ではシャドーを持ち上げると過剰なノイズが発生し、これには少々がっかりした。
  • マルチショットモードは手持ちモードではディテールが大きく向上することはないが、三脚モードを使用するとよりディテールが鮮明になる。
  • GH6はスチルカメラとしては不満があるが、動画機としては豊富な動画フォーマットやプロファイルに対応しておりほぼ完璧だ。V-Log記録のテストでは、優れた映像が得られた。動画のAFではフォーカスリミッターがとても有用だ。

  • GHシリーズは初期のモデルはスチルも動画同様に優れていたが、GH6ではスチルと動画のギャップがより顕著になった。動画に関してはOM-1などの競合機よりも優れているが、スチルに関しては後れをとっている。GH6はハイブリッドカメラだが、本当の意味での両対応ではない。例えば、動体撮影ではDFDは位相差ほど高性能ではないのでがっかりするだろう。RAWファイルは柔軟性が無くシャドー部の持ち上げに難がある。
  • もしあなたの仕事が動画関係なら、GH6は問題なく勧められるカメラだが、m4/3システムが好きなスチル優先のクリエイターなら、位相差AFと積層型センサーを搭載するOM-1を選択した方がいいだろう。もし、スチルと動画の真のハイブリッドクリエイターなら、富士フイルムX-H2Sの性能を確認するまで(カメラの購入は)保留した方がいいかもしれない。

  • 良い点:4.7K60pと4K120pの動画、ProRes422HQ内部収録対応、2500万画素(マルチショットで1億画素)、防塵防滴のマグネシウムボディ、人と動物対応の被写体認識、長時間録画のための強制空冷システム。
  • 悪い点:シャドー部を持ち上げると過剰にノイズが発生する、ハイクオリティな動画記録には高価なCFexpressカードが必要、DFDコントラストAFは動体撮影には向かない。

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GH6は動画機としては極めて高い評価ですが、スチル機としては今一つの評価のようです。他のレビューでも何度か指摘されていますが、コントラストベースのAFは動体撮影ではやはり位相差に及ばないようで、動体ではOM-1にアドバンテージがあるようです。

また、ここではレタッチ耐性の弱さ(暗部を持ち上げるとノイズが出やすい)が指摘されていますが、これは画素数が2500万画素に高画素化されたためなのでしょうか。

とは言え、動画がメインの人には豊富な動画モードやオーバーヒートの心配がないこと、干渉が抑えられていて柔軟性に富む可動式モニタなど、GH6は非常に魅力的なカメラなのは間違いありませんね。