シグマ「20mm F1.4 DG DN Art」は中央は優れた解像力だが隅の解像力は今ひとつ

SonyAlphaBlogに、先日発表されたシグマのE/Lマウント用の広角単焦点レンズ「20mm F1.4 DG DN Art」のレビューが掲載されています。

Sigma 20mm F1.4 DG DN Art

  • 新型の20mm F1.4 DG DNは一眼レフ用に設計された20mm F1.4 DG HSMよりも遥かに小さく軽いが、それでも依然として大きく重い。
  • 鏡筒の造りの品質とエルゴノミクスは素晴らしい。フォーカスホールドボタンに加えて、絞りのクリック解除機能やMFロックスイッチが搭載されており、ロックスイッチは天体写真にとても便利だ。
  • リアフィルターフォルダーは、通常フロントフィルターが装着できないレンズにあるものだが、このレンズはフロントとリアの両方が使える。

  • AFは速く静かでスチルと動画の両方で優れている。α1によるテストでは連写時のAF精度も優れている。
  • 解像力テストは6100万画素のα7R IVで行った。中央は開放から素晴らしい結果が得られるが、隅はF1.4では良い(good)のレベルで、F4に絞らないとピークのとても良好(very good)のレベルにならない。隅は素晴らしい値(excellent)のレベルには達しない。解像力テストの結果は中央は素晴らしいが、隅までの均一性に乏しく、画面全域で素晴らしい結果を得ることができないのは少々残念だ。

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  • 遠景(実写)では中央はF1.4から優れた画質だが、隅はそのレベルには達していない。
  • 主に中央部を使用するポートレートの場合では、開放から優れた画質で、肌の描写も非常に優れている。
  • 歪曲は穏やかなタル型だ。周辺光量落ちはF1.4では目に付くが、F2.8で解消する。
  • 倍率色収差は少ないが存在する。軸上色収差は目に見えるが穏やかだ。
  • フレア耐性は良好で、20mmレンズの平均を超えている。
  • F16まで絞ると素晴らしい光芒が得られる。
  • コマ収差が少なく、星景写真に向いている。

  • 玉ボケは素晴らしい。後ボケも20mmのレンズとしては比較的柔らかく素敵だが、背景が雑然としているとうるさくなる。
  • 発色は非常に優れている。
  • 動画時のAFは非常に良好に機能するが、フォーカスブリージングは目に見える。

  • 他のレンズ(フォクトレンダーNokton 21mm F1.4、ソニー20mm F1.8G、シグマ20mm F2 DG DN、トキナーFirin 20mm F2、タムロン20mm F2.8 Di III OSD、ツァイスLoxia 21mm F2.8)との解像力の比較では、中央の解像力の点ではシグマ20mm F1.4 DG DNが最高だが、残念なことに隅は非常に良い(very good)にしか達しておらず、それほど良くはない。

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  • 他のレンズとの後ボケの比較では、ソニーFE 20mm F1.8 Gがベストで、シグマ20mm F1.4 DG DNは2位だ。フォクトレンダー21mm F1.4はもう少しうるさい。玉ボケはどのレンズも良好だ。
  • 発色はどのレンズも非常に優れている。
  • 歪曲はシグマの旧型がベストで、シグマの新型は2番目だ。フォクトレンダーが最も歪曲が大きい。
  • 周辺光量落ちは新旧のシグマ20mm F1.4がベストだ。
  • 色収差/フレア/光芒:シグマ20mm F2 DG DNが最も悪いが、他のレンズはいずれもとても良好で、シグマの旧型の20mm F1.4がベストだ。

  • シグマ20mm F1.4 DG DN Artは全体的に非常に優れたレンズで、20mm F1.4 DG HSM Artから重さ、サイズ、AFの点で大きく改善されている。中央は優れた解像力で、発色や玉ボケ、AFも優れている。後ボケは背景が雑然としているとうるさくなる場合がある。F5.6で「とても良好」のレベルにしか達しない隅の解像力と大きさ重さの点では不十分だ。

 

シグマ20mm F1.4 DG DN Artは、公式のMTFのグラフでは周辺部の解像力は飛躍的に改善されていますが、SonyAlphaBlogのテストでは周辺部の解像力にやや不満ありという結果になっています。広角レンズの場合、解像力チャートをかなり近距離で撮影するので、その影響が出たのかもしれませんね。星景用を謳うレンズなので、無限遠での画面周辺部の星像を見てみたいところです。