キヤノン「EOS R7」はAPS-Cカメラの新たな王者

DigitalCameraWorldに、キヤノンのAPS-Cの高速連写機「EOS R7」のレビューが掲載されています。

Canon EOS R7 review

  • R7の3250万画素センサーは、90DやEOS M6 Mark II がベースで完全に新規のセンサーではないが、配線層とマイクロレンズが最適化され、読み取り速度の改善が図られている。
  • 連写はメカシャッター15コマ/秒、電子シャッター30コマ/秒の驚異的な速さで、これはフルサイズのハイエンド機に匹敵する速度だ。
  • R7は90Dよりもコンパクトだが、グリップは厚みがあり安心感がある。
  • 背面上部に配置されたサブ電子ダイヤルは他のEOSよりも小さく、親指の大きい人には少し操作が難しく感じられるかもしれない。従来のサブ電子ダイヤルによる操作に慣れている人は、新しい感覚を身につける必要がある。しかし、手が慣れてくると、サブ電子ダイヤルとジョイスティックが同じ場所にあるのは実は理に適っているように感じられ、これは小さなボディでスペースを最大限に活用する効率的な方法だと思う。

  • 実写ではR7は90Dのミラーレス版のように感じられるが、R7にはより多くの機能が備わっている。RF-S18-150mmと組み合わせて、旅行や日常の写真、動画用として最適だが、Lレンズと組み合わせての本格的な撮影にも対応する速度と解像度を備えている。大型のLレンズはスリムなR7には大きすぎるが、撮影結果には問題はない。このカメラが真価を発揮するのは、(換算で焦点距離が伸びるので)野生動物の撮影だろう。
  • 被写体認識AFは素晴らしく、スケーター、モデル、水鳥などの様々な被写体の撮影で期待を裏切ることはなかった。スケーターのトリッキーな動きにも目・頭・体の3点を検出し、食付きが良く順応性がある。不規則に泳ぐ水鳥の撮影でもAFは信じられないほど直感的に動作した。また、動画時のAFも素晴らしく、被写体が前景の物体に隠れてもAFが騙されることはなかった。
  • R7の連写は速いがCFexpressではなくSDカードが採用され、バッファは限られており、連写枚数はRAWで46枚、JPEGで184枚だ。しかし、それでも動体を追うには十分で、狙った被写体を逃すことはなかった。

  • ラボテスト(解像力):R7は画素数が最も多いにもかかわらず、ディテールの解像は2610万画素のX-T4や2420万画素のα6600と同程度にしかならない。高感度ではキヤノンは競合他社にわずかに後れを取っている。

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  • ラボテスト(ダイナミックレンジ):低感度のダイナミックレンズはX-T4やフルサイズのZ5と同等で優れているが、ISO800以上では競合他社に苦戦している。

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  • ラボテスト(S/N比):Z5やX-T4と比べるとR7は中・高感度でよりノイズが多いが、ノイズは実際に見て特にひどく見えたり気になったりするものではないので、この結果は参考程度に受け取って欲しい。

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  • EOS R7は機械シャッターでも電子シャッターでも電光石火の速さで、高解像度でディテールに富んだクリアな画像が得られ、期待を裏切らないAF性能を備えている。ラボテストの結果ではキヤノンの圧勝というわけではなく、X-T4が画質面では優位に立っているが、その差はわずかだ。R7のすべての要素(機能・性能)を考慮に入れると、これは大きな問題であるとは思えない。R7はAPS-Cの新たな王者だ。
  • EOS R7はAPS-Cの長所とプロレベルの連写スピードとAF、高解像度を持つカメラを探しているなら最初に手を伸ばすカメラになるだろう。90Dや7D Mark IIの後継機として、野生動物写真の愛好家や写真を最大限に楽しみたい人には素晴らしい選択肢になるだろう。
  • 良い点:3250万画素の解像度、最大30コマ/秒の連写、7Kオーバーサンプリング、RFレンズ対応。
  • 悪い点:バッファがそれほど大きくない、通常とは異なるサブ電子ダイヤル。

 

EOS R7発表直後のDigitalCameraWorldの初期レビューでは、R7は「新たな王者候補」となっていましたが、今回は「候補」の文字が取れて「王者」という高い評価になっています。

R7は解像度やダイナミックレンジ、高感度性能などは特に秀でているわけではありませんが、連写性能とAF性能が高く評価されたようですね。ただ、今回、比較対象に最新のハイエンド機であるX-H2SやX-H2などが入っていないので、これらの機種を含めてもR7が「王者」になるのかが気になるところです。