ソニー「FX30」は5つ星(満点)の評価に値するカメラ

DigitalCameraWorldに、先日発表されたソニーのAPS-Cの動画カメラ「FX30」のレビューが掲載されています。

Sony FX30 review

  • FX30は安価なシネマカメラながら、最新の手ブレ補正とAFテクノロジーが搭載され、制限時間なしの録画、最大4K120pの動画モードを実現している。
  • FX3は基本的にα7S III をベースに外側を変えたものだったが、FX30はZV-E10のようなα6000シリーズの流用ではなく、内部は全てが新しくなっている。センサーは古い2400万画素ではなく、最新の2600万画素(動画では2010万画素)裏面照射型で、高速なBIONZ XRプロセッサーと組み合わされている。
  • S-Log3モードで、ISO800/2500のデュアルベースISOが提供され、ソニーは14stop以上のダイナミックレンジを実現していると主張している。
  • 4K120pは1.6倍のクロップだ。4K60pもクロップされるが1.04倍と非常に倍率が低いために、おそらくクロップに気付かないだろう。

  • ZV-E10とは異なり、FX30にはボディ内手ブレ補正が搭載されている。
  • AFはソニーの現在の全てのリアルタイム瞳AF(人間、動物、鳥)とリアルタイムトラッキングが採用されており、画面の高さ97%と幅93%を495点の測距点でカバーしている。また、一部の対応レンズでフォーカスブリージング補正にも対応している。
  • モニタはバリアングルの採用は歓迎するが、モニタ自体は3インチと小さく少々残念なものだ。このモニタは小さいだけではなく、屋外の強い照明下では映り込みしやすい。モニタの角度を調整するのは効果的だが、理想的とは言えない。
  • 操作系は概ね非常に優れているが、右方向ではなく左方向にスライドして電源を入れる電源スイッチは奇妙で、通常の操作とは逆になっているように思える。また、モードダイヤルが無くモードボタンになっているが、モードダイヤルがあればより素早く操作できるだろう。

  • 実写テストではIBISはスチルの手持ち撮影には素晴らしいが、動画では効果はそれほど明確ではなく、IBISは無いよりはましだが、ゆっくりとしたパンの動作以外では効果がかなり低く、歩きながらの撮影には向いていない。しかし、電子手ブレ補正とCatalystとの連携で、後処理で手ブレしている動画から驚異的に滑らかな動画を生成できる。これは素晴らしい機能だが、ワークフローが複雑になり、クロップもされる。
  • 本来の用途ではないかもしれないが、FX30はスチルカメラとしても非常に優秀だ。FX30は動画でもスチルでも素晴らしい結果が得られる。

  • FX30の絶対的な勝利に見える。カジュアルなブイロガーやスチルも撮る人は従来のミラーレスカメラを好むかもしれないが、スキルをシネマカメラの領域に広げたい野心的な映像制作者にとってFX30は完璧なカメラに見える。ソニーは本格的なシネマカメラを通常のミラーレスカメラの価格で作ってしまった。実際FX30は非常に優れたカメラで、遥かに高価なFX3がどうなってしまうのかと思ってしまうほどだ。FX3は低照度の撮影以外ではFX30に対してほとんどアドバンテージが無く、1200万画素センサーなので、スチルとのハイブリッド撮影用にもあまり魅力的ではない。
  • カメラに5つ星の評価をつけるのはリスクを伴うが、FX30はそれに値するカメラだ。FX30は(コンシューマー向けの)ミラーレスカメラの価格の本格的なシネマカメラで、野心的なクリエイターがプロのスキルを身につけるのに最適なカメラだ。FX30はスチルの撮影も可能で、古くなったα6000シリーズを吹き飛ばすだけでなく、FX3が少々劣ったカメラに思えてくるほどだ。お見事!

  • 良い点:シネマカメラの機能とデザイン、Cinema Line LUTとログモード、優れた造りの品質、4K120p(クロップはされる)、価格が安価。
  • 悪い点:EVF非搭載、3インチモニタは小さく感じる、IBISがあまり効果的ではない。

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発表されたばかりのFX30ですが、レビュアーの印象は非常に良かったようで、「FX3が心配になる」という極めて高い評価となっています。また、スチル機としても「α6000シリーズを吹き飛ばす」という高評価で、スチルと動画兼用の人にも申し分ないカメラになりそうです。

IBISはスチルでは効果的なようですが、動画での効果が弱いのは少々残念なところです。FX30は業務用機としては非常に安価なので、これまでコンシューマー機を使ってきた動画メインのユーザーの一部も取り込む人気機種になりそうですね。