富士フイルム開発陣のインタビューが掲載

Imaging Resourceに、富士フイルム開発陣のインタビュー記事が掲載されています。

Fujifilm Q&A, July 2022

  • (カメラ市場全体の状況と富士フイルムの立ち位置は?)
    カメラの販売台数は減少しているが価格は上昇しているので、全体の金額は上昇している。これは富士フイルムも同じで、昨年は二桁の成長が見られたが、今年も同様だ。

  • (X-H2SのAIベースのAFは積層型以外のセンサーを搭載したカメラに適用できるか?)
    AIベースのAFは新型の画像処理エンジンの処理速度に依存しているので、現行のモデルでは使用できない。

  • (鳥認識AFはカエルやトンボ、蝶などもよく認識すると聞いた)
    これは嬉しいハプニングで、偶然だ。

  • (モードダイヤルの採用について)
    それぞれのカメラごとに(適切な)操作のスタイルがあるというのがその答えだ。そのため、すべての機種で専用ダイヤルからモードダイヤルに移行するわけではないので、心配はいらない。

  • (X-H2Sのセンサーで積層技術がどのように使われているのか?)
    従来比4倍の読み出し速度を実現しており、新型画像処理エンジンとの組み合わせで120フレーム/秒のAF演算、120コマ/秒のEVFのリフレッシュ、40コマ/秒の連写、4K120p動画、低ローリングシャッター歪みを実現した。

  • (積層型センサー上に論理回路や処理回路はあるのか?それともADコンバーターとバッファのみ?)
    我々のセンサーにはバッファはなくADコンバーター(4倍多い)と転送回路を積層によって最大化している。

  • (積層型センサーの2番目の層に何の機能を載せるのかは選択ができる?)
    その通りだ。(インタビューアー注)これは興味深いニュースで、積層型センサーは回路が統合されていて、カメラメーカーがシステム全体をコントロールできなくなるため、革新や競争ができなくなることを懸念していた。実際は、顧客がセンサーの2層目に好みのチップを積層することができる。富士フイルムは2層目をADコンバーターと転送回路に使用しているが、これが論理回路やメモリになる可能性もある。

  • (F-Log2の動画にローリングシャッター歪みが多いのはなぜ?)
    F-Log2はより広いダイナミックレンジを実現するために14bitを必要とするので、12bitのデータよりもADコンバーターの処理に時間がかかるためだ。

  • (リモート撮影アプリは、ほとんど機能しないなどの多くの批判があるが更新・修正はいつ?)
    ユーザーからの苦情を認識しており、積極的にアップデートに取り組んでいるが、いつリリースするかは約束できない。

  • (X-H2Sの冷却ファンについて)
    冷却ファンは誰もが必要とするわけではなく、ほとんどの人は不要なので、本体を大きくしないため、非常に長時間の撮影をする本当にファンが必要な人のためにだけに、ファンをオプションで設定することにした。気温40度の環境では、4K60pでファンなしで20分、ファンありで50分撮影できる。

  • (富士フイルムにはXH、X-Pro、XT、XEなどの多くのシリーズがあるが、すべてのシリーズを続けるのか?)
    各製品シリーズには独自の特徴があると考えているので、それが我々にとって理にかなっている限り、そのシリーズを継続していく。

  • (GFX50Rスタイルの1億画素センサーのボディはあるのか?)
    GFX50Rを発表した時には初の小型中判カメラだったので、そのことに価値があった。GFX100Sでボディが小さくなった今、これ以上コンパクトなカメラは必要なくなったのではないかと思う。もちろん常に市場を見ているが、現時点ではGFX100Sが小さいので、以前ほど小型モデルの需要はないと考えている。

  • (ロードマップにある56mmF1.2後継機は何を期待できる?)
    多くは語れないが、現行のレンズをもっと高性能にして欲しいというユーザーからの要望があった。今後はより高い解像力が求められるため、画質が更に良くなることは確かだ。

  • (XF18-120mmF4はズームでピントがずれない真のズームだが、これは機械的にカムで行っているのか電子的に行っているのか?)
    XF18-120mmF4は光学的にはズーミングでピントが変わる設計だが、レンズとカメラが連動して、ユーザーからは真のズームのように機能する。

  • (ロードマップのGFのティルトシフトレンズの焦点距離や明るさなどについて、何か言える情報はあるか?)
    開示できる情報はあまりないが、ティルトシフトレンズはロードマップを見れば、その位置が何を意味しているのか想像できるかもしれない。(レビュアー注)ロードマップ上でGF30mmF3.5と同じ位置にティルトシフトレンズの赤い点があるので、焦点距離が30mmになるのは間違いないだろう。

 

積層型センサーの2層目に何を載せるのかカスタマイズできるというのは初めて知りました。そうなると、同じ型番の積層型センサーを採用しているカメラでも、カメラメーカーや機種によって画質や読み出し速度等のスペックが異なってくる可能性がありますね。

GFXに関してはレンジファインダースタイルのGFX50Rの後継機を期待する声はかなりあったようですが、これは現時点では、あまり期待できそうもありませんね

XF56mmF1.2後継機は、他の富士フイルムのリニューアルされた単焦点レンズ群と同様に高解像力化されるようで、非常にシャープで収差の少ない、クリアな描写のレンズが期待できそうです。