パナソニックは像面位相差AFの採用を前向きに検討している

Imaging Resourceに、パナソニック開発陣のインタビューが掲載されています。

Panasonic Q&A July 2022

  • (最近発表されたパナソニックとライカのL² アライアンスはどのような意味を持つのか?)
    これまではお互いが持っている技術を提供し合う関係だったが、これからは新しいものを一緒に造っていくという形に変わっていく。この協業でお互いの事業や製品の競争力を高めていくことを目指す。

  • (前の質問の続きになるが、シグマはどこにいくのだろうか?)
    今回の契約にシグマは含まれていないが、シグマはLマウントアライアンスの重要なパートナーなので、3社で力を合わせてLマウントの品質向上に取り組んでいく。Lマウントアライアンスは変更されない。パナソニックとライカの間で追加の合意があっただけだ。パナソニックとライカの契約はシナジー効果を生み出すためのもの、シグマとのパートナーシップはLマウント製品そのものを開発するためのものだ。

  • (将来、像面位相差AFに移行する可能性は?)
    今後の製品に向けて、像面位相差AFを前向きに検討している。像面位相差AFによって総合的にAF品質を向上させることができると考えているので、積極的に研究しているが、まだ決定はしていない。レビュアー注:山根氏は身振り手振りで像面位相差AF採用の可能性を80%と示した。私の解釈ではこれは口先だけの話ではなく、実際に将来のLUMIXで像面位相差AFが搭載される可能性が高いということだ。

  • (車、二輪車、鳥、ペットなどの被写体認識AFについて)
    もちろん取り組んでいるが、認識する被写体をむやみに増やすのではなく、既存の被写体(人や動物など)の認識精度を上げるべきだと思う。それを重視してAFの開発に取り組んでいる。プロがピントを合わせたいと思う典型的な被写体の精度と速度を向上させ、その次に、他の被写体に拡張する作業に取り組む。

  • (新しいレンズについて何か出せる情報はあるか?)
    現在、普及価格の広角ズームを開発中だ。このレンズでS5を中心としてたシステムのラインナップが完成する。もちろん、大口径広角ズームも検討しており、適切な時期に投入する予定だ。

  • (GH6が登場した今、GH5IIの売れ行きは?)
    2機種の中ではGH6がGH5IIよりも多く販売されているが、GH5IIも人気があり、m4/3フォーマットの機動力の良さは手軽に動画を制作・配信したいユーチューバーから支持されている。GH6はプロ向け、GH5IIはクリエイター向けだ。

  • (GH6から6Kフォト機能が削除されのはなぜか?)
    顧客から、6Kフォトは動画から切り出す手間が必要になり結果として使用が制限されるという意見があった。社内で検討を重ねた結果、最終的には全画素の超高速電子シャッターの連写を最終的な目標とすることで合意した。GH6には75fpsの連写が搭載されたので、煩雑になるのを避けるために6Kフォトは削除することにした。

  • (GH6には非常に高度なADCが搭載されているが、ビット深度は14bitか16bitか?)
    カメラのモードによって異なるが16bit対応だ。これはフルサイズと同等レベルのダイナミックレンジをm4/3で実現することを強く意識して開発された技術だ。

  • (ダイナミックレンジブーストの仕組みは?)
    センサーには「高彩度が得られる低ISO回路」と「低ノイズ特性の高ISO回路」の2系統があり、これはGH5やS1HのデュアルネイティブISOと似ているが、GH6では更に進化し、1回の露光で得られた2つの出力を画素ごとに最適に合成して出力できる。これにより低ノイズで広いダイナミックレンジが得られる。

  • (4K120pでダイナミックレンジブーストが使えないのは?)
    センサーをフルスキャンしながらこのフレームレートで、2つの出力画像を合成することはGH6ではできなかった。

  • (手ブレ補正性能の大幅な改善はどのようにして実現された?)
    1つは「ブレ検出精度の向上」で、超高精度ジャイロセンサーと新開発のアルゴリズムの採用で大幅な性能アップを実現した。また、磁石や位置センサーの構成や演算アルゴリズムの見直しで手ブレ補正ユニットの動きの精度も向上させた。

  • (S5のローリングシャッター歪みは動画よりもスチルで目立つのはなぜ?)
    カメラのモードによってセンサー駆動方式が異なるためで、スチルは画質重視、動画は高速性重視の駆動方式を使っている。スチルでは1コマの画質が非常に重要なので、1コマの画質を上げるための駆動方式にこだわっている。

 

以前のインタビューでパナソニックは「あらゆる方式のAFを検討している」と述べていましたが、ここでは「像面位相差AFの採用を前向きに検討」とより具体的になっていますね。パナソニックの山根氏は身振りで80%の可能性を示したということなので、像面位相差AFの採用はかなり現実味を帯びてきたという印象です。

また、次のLマウントレンズが、低価格の広角ズームであることも明らかになりましたね。これで、低価格のレンズで、広角・標準・望遠ズームが揃うので、LUMIX Sシステムがより手軽に使えるシステムになりそうです。