キヤノン「RF14-35mm F4 L IS USM」は新しいカテゴリを開拓したレンズ

DigitalCameraWorldに、キヤノンの小三元の広角ズーム「RF14-35mm F4 L IS USM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 14-35mm f/4L IS USM review

  • このレンズは大三元ズーム(F2.8通しのズーム)の廉価版ではなく、1mmの違いが大きな違いをもたらす可能性があり、別の撮影体験ができるレンズだ。
  • かつてのハイエンドレンズは金属が多用され、実に堅牢な感触だったが、キヤノンのRFレンズ(ニコンのSシリーズのZレンズも同様)は軽量化に重点を置いており、それはそれで魅力的だが、鏡筒はプラスチック製になり、かつてのハイエンドレンズの戦車のような信頼感は失われている。これはRF14-35mm F4Lも同様だが、軽量化が顕著だという明確な利点もある。このレンズは羽のような軽さだ。焦点距離や手ブレ補正などを考えると、ここまで小型軽量化したのは実にすごいことだ。
  • EOS R / R5とのバランスは完璧だ。

  • 実写テスト:光学系はほぼ全ての絞り値でシャープで、F4とF8で画質の違いはほとんど見られないが、F16以上では解像力が少し低下する。コントラストは高いが、ハイエンドレンズに期待されるような忠実な描写で発色も自然だ。四隅は中央と比べるとかなり甘いが、ピクセル等倍で見なければ分からないだろう。このレンズは最新のEOS Rシリーズの高画素機に十二分に対応するレンズだ。
  • 未補正の状態では周辺光量落ちは激しく、大きなタル型の歪曲が見られるが、自動補正を有効にすると、これらはほとんど解消する。
  • AFは速く静かだ。インナーフォーカスなので前玉は回転しない。最短撮影距離が20cmなのは、この種のレンズとしてはとても素晴らしい。
  • このレンズを高く評価するもう一つの理由が手ブレ補正で、補正効果が高く、1秒を超えるシャッター速度で手持ち撮影が可能だった。1/10秒では拡大してもブレはなく、1.3秒でもほぼシャープだが、画面周辺部には回転ブレが見られる。キヤノンがこのような超広角ズームにISを搭載したのはとても素晴らしいことだ。

  • ラボテスト(解像力):中央の解像力はズーム全域で開放から素晴らしい値だ。超広角レンズなので隅の解像力は必然的に低くなるが、それでも、35mm開放付近で隅が甘くなることを除けば、かなり良好な解像力だ。

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  • ラボテスト(色収差):色収差は広角端では顕著だが深刻なものではない。20mmでは色収差は大幅に改善し、望遠端まで許容範囲内に収まる。
  • ラボテスト(歪曲):自動補正なしでは、14mmではタル型の歪曲が顕著だが、望遠側にズームするとすぐに歪曲は減少し、20mmではそれほど目立たなくなり、28mm以降では完全に解消する。

  • RF14-35mm F4Lによって新しいカテゴリが開拓された。ニコンZ14-30mm f/4 Sという似たスペックのレンズもあるが、手ブレ補正搭載で完全に同じズーム域のレンズは他にはない。このレンズの画質は見事で、携帯性は大いに歓迎されるものだ。そして近接性能は大きな付加機能だ。安価なレンズではないが、品質とサイズ、機能のバランスが取れており非常に価値のあるレンズだ。
  • 良い点:驚くべき手ブレ補正、最短撮影距離が短い、広角端14mmの画角。
  • 悪い点:少しプラスチッキーな感触、(RF15-35mm F2.8よりずっと安価だが)まだ高価。

 

RF14-35mm F4Lは自動補正前提のレンズですが、望遠端の隅が少し甘いのを除けば十分以上の解像力で、光学性能と大きさ重さのバランスの取れたレンズという印象です。

超広角レンズの画角は1~2mm違うと大違いなので、14mmスタートのレンズだと確かに撮れるものが変わってきますね。手ブレ補正はIBISで十分カバーできる焦点距離ですが、動画や夜景の手持ち撮影をしたい方にはレンズ内補正との協調補正が威力を発揮しそうです。