「OM SYSTEM OM-5」は全天候型カメラとして魅力的だがmicro USB搭載機を支持するのは抵抗がある

PCmagに、OMDSのミドルレンジの新型機「OM-5」のレビューが掲載されています。

OM System OM-5 Review

  • OM-5はE-M5 Mark III のボディデザインを受け継いでおり、ブランド名と機種名のロゴを除けば外観は同じで、外装は大部分がプラスチック製だ。
  • 防塵防滴はIP53でほこりや砂、水しぶきにも対応できるので、アウトドアの写真家に適している。しかし、ボディは他のセミプロやハイアマ向けのカメラほど頑丈ではない。プラスチック製のボディは、三脚ネジ穴に取り付けるストラップなどを使用する場合は、(E-M5 IIIでは破損の報告があるので)問題になる可能性がある。
  • 12-45mm F4 PRO とのキットは1599.99ドルで、レンズ単体で700ドルなので300ドルも節約できる。このキットレンズはOM SYSTEMで最高の製品の一つだ。
  • 背面の方向パッドは小さめで、ニットの手袋をしている際にOKを押してメニューを開くことができず、周囲の方向キーを同時に押してしまった。
  • OM-5は、この価格帯のカメラとしては操作系が古いように感じる。被写体認識AFが無いので、フォーカスポイントを手動で選択する必要があるが、ジョイスティックは用意されていない。ジョイスティックは以前はハイエンドカメラの機能だったが、最近ではEOS R10などのミッドロークラスにも搭載され始めている。
  • メニューシステムもOM-1に導入された新バージョンではなく、E-M5 IIIと同じ少々古いもので、これは少々残念だが、長年オリンパスを使用しているユーザーにとっては馴染み深いメニューだ。

  • EVFはE-M5 IIIから継承されたもので、0.68倍 260万ドットのスペックは数年前まで最先端だったが、今では1000ドル以上の価格帯のカメラのEVFは性能が向上している。しかし、OM-5のEVFは悪いものではなく、OVFシミュレーションモードはEOS R3ほど印象的ではないものの、いい仕事をしている。
  • 背面のモニタもE-M5 IIIからの流用だが、適切な解像度で視野角が広く優れたモニタだ。タッチパネルは上手く機能するが、唯一の不満はメニューがタッチパネルに完全には対応していないことだ。
  • 古いMicro USB端子の採用は、USB-Cを標準化しようとしている最近のEUの動きに反している。Micro USBは電力供給ではUSB-Cほど強くないため、OM-5はカメラの電源を入れた状態でバッテリーの充電ができない。当然ながらUSBケーブルの端子は対称ではなく正しい方向を確認する必要がある。
  • Micro HDMI端子も壊れやすいので、機材を手荒に扱う可能性のあるクリエイターにとってこれはもう一つの懸念事項だ。マイク入力端子はあるが、ヘッドホン端子は搭載されていない。

  • AFはE-M5 III から引き継がれたもので、OM-1の被写体認識には対応していない。AFは高速だが、野鳥の撮影では目ではなく尾羽根にピントがあっていることがあった。このような小型の被写体では被写体認識が威力を発揮する。
  • 連写はメカシャッター10コマ/秒、電子シャッターはピント固定で30コマ/秒と速く、バッファーも10コマ/秒でRAWで150枚近くと適切なサイズだ。
  • 画質はE-M5 III と同等で、OM-5は新型の画像処理エンジンを搭載しているがJPEGの品質に違いは見られない。しかし、OM-5には手持ちハイレゾショットやライブNDなどの、いくつかのコンピュテーションナルフォト機能が追加されている。
  • ラボテストではISO200-800の低感度域では優れた性能を発揮し、ISO1600からはコントラストと細部のディテールが失われるが、ISO3200までは非常に良好な画質だ。ISO3200以上ではRAWからLight Roomで現像した方が良い結果が得られる。
  • 動画に関しては控えめのスペックだが、手ブレ補正が効果的で多くのケースでジンバルなしで撮影できる。しかし、動画は8bit H.264なので、X-T4やEOS R7などの10bit機と比べると、後処理の余地が非常に制限される。また、ヘッドホン端子がないことと4K60pがないことがウィークポイントだ。

  • OM-5は悪天候でも屋外に持ち出せる三脚なしで使えるカメラで、手持ちハイレゾショットやライブNDなどの機能が強化されているが、いくつかの時代遅れとなっている機能を改善する努力を怠っている。EVFはZ50のような安価な製品にも及ばなない。また、micro USBを採用した機種を支持するのには抵抗を感じる。メニューがOM-1と異なるのも残念だ。
  • OM-5は競合製品の中間に位置する価格設定で、ライバルのEOS R10は安価な選択肢でIBISや耐候性はないがAFシステムと操作性ではOM-5を大きく超えている。X-S10より好みのカメラで、IBISを搭載し全体的に優れた性能を1000ドルで提供している。EOS R7は1500ドルと少し高価だが、AFはOM-5よりも遥かに優れており、画素数が多くIBISや10bitの動画も搭載している。まだどこのシステムにもこだわりがなければ、EOS R7はお勧めだ。
  • 既にマイクロフォーサーズシステムを使用している場合は、OM-5はコンパクトな全天候カメラとして魅力的だ。しかし、性能に大きな差のないE-M5 III は現在大幅な割引価格で販売されており、コストパフォーマンスを重視する人には良い選択肢だ。OM SYTEMを使い続けたいのなら、OM-1が全体的に遥かに優れたカメラで、価格の点では上にクラスになるが、それだけ払う価値があると思う。
  • 良い点:軽量で持ち運びが楽、5軸手ブレ補正、IP53の防塵防滴、十分なバッファ、手持ちハイレゾとライブND、環境に優しいパッケージング。
  • 悪い点:ジョイスティックがあればよかった、EVFが改善されていればよかった、AFシステムが競合機ほど高性能ではない、C-AFで6コマ/秒は動体には弱い、4K30pが8bitカラーに制限される、ヘッドホン端子がない、時代遅れのMicro USB端子。

 

OM-5は強力な防塵防滴性能や小型軽量なパッケージングは評価されていますが、ライバルに較べてスペックや性能で負けている部分も多く、レビュアーの評価も微妙なものとなっているという印象です。

AFに関しては、画像処理エンジンの関係で仕方ないのかもしれませんが、被写体認識が無いのはやはり少々残念ですね。また、批判の声が多いmicro USB端子ですが、ここでも厳しい評価となっていて、明らかなマイナスポイントになっているので、できれば少しコストがかかってもUSB-C端子に換装しておいた方がよかったような気がします。