Imaging Resourceに、富士フイルム開発陣のインタビュー記事が掲載されています。
・Fujifilm X-Summit Fall 2022 Q&A
- (X-H2はベース感度がISO125になり、S/N比が劇的に改善していることについて)
画素ピッチは以前よりも狭くなっているが、アンプ回路などのレイアウトを変更し、フォトダイオードの幅を広くする構造を採用したことで、画素により多くの電子を保持できるようになった。これによりISO125が実現できた。このハードウェアの変更により、小さい画素のセンサーにもかかわらず、従来と同程度のレベルのダイナミックレンジを維持している。 - (1/180000秒の驚異的な速度の電子シャッターについて)
新型センサーでは、電子シャッターの露光時間の精度が大幅に向上しており、非常に高速なシャッター速度が可能になった。これまでは超高速域で1/3段単位のシャッター速度の制御が難しかったが、新センサーの精密な制御で1/180000秒を実現できた。 - (ピクセルシフトの画像はカメラで合成できないのか?)
画像のつなぎ合わせはPCのアプリが必要で、カメラ上ではできない。 - (X-H2のX-Processor5はX-H2Sと同じチップ?)
同じものだ。 - (X-H2は非積層型センサーでどのようにブラックアウトフリーを実現したのか?)
X-H2はラインスキップ読み出しなので120fpsでライブビュー表示できる。X-H2S全画素読み出しで120fpsのライブビュー表示が可能だ。 - (X-H2に8K60pが ない理由は?)
センサーの読み出し速度の限界により、フレームレートが8K30pに制限されている。 - (20コマ/秒の連写ではクロップされる?)
1.29倍にクロップされ、2400万画素の画像になる。 - (クロックありの4KやフルHDの動画では手ブレ補正が強力になるのか?)
電子手ブレ補正を使用する際にX-T2は10%トリミングしてセンサーを使用している。クロップありの動画モードではより強い手ブレ補正が実現できる可能性はあるが、現在は行っていない。 - レビュワーの補足:これは今回の質疑応答ではないが、X-H2発表時のイベントを見ていない人のために言っておくと、富士フイルムは数年前から4000万画素センサーの採用を計画していたことを明らかにしており、2021年に発売されたレンズは全て4000万画素センサーが要求する高い解像力に対応するように設計されているということだ。
- (旧型のXF56mmF1.2の最短撮影距離が70cmで新型は50cmに短縮されたのはなぜか)
旧型のXF56mmF1.2で物理的に最短撮影距離を短くするのは可能だったが、そうすると必要な解像力が得られなかった。 - (新型のXF56mmF1.2 II でボケが改善された理由は?)
新しい光学系がボケ味に影響を与えたかもしれないが、新型の光学系の主な目標は収差を低減し、解像力を高めることだった。ボケの改善を狙った設計部分は11枚羽根の絞りだ。 - (XF56mmF1.2 II の絞りはフォーカスレンズと一緒に動くのか?)
フォーカスレンズ群は絞りと一体となって動く。このフォーカスレンズ群は近距離での画質改善に大きく貢献している。 - (XF56mmF1.2 II はDCモーターを採用しているがAF速度は?)
AF速度は旧型と同等だ、フォーカシングレンズ群はかなり重くなっているが、DCモーターによるトルクアップやアルゴリズムの改善で旧型と同等の性能を実現している。 - (今後防塵防滴のレンズは増えるのか?)
当社の最新のレンズは全て耐候性がある。第一世代のレンズはそうではなかったが、ある時点で耐候性をレンズの標準機能にすることが決定されたので、最新のレンズは全て耐候性があり、そして将来のレンズも同様だ。 - (GF20-35mmF4を驚くほど軽量コンパクトにできた理由は?)
GF35-70mmと同じ小型光学系の設計手法を採用しており、レンズを細く軽くすることができた。更なる軽量化のためにレンズにマグネシウム、アルミ、真鍮、プラスチックの4つの異なる素材を使用し、エンジニアが最適な素材を選択できるようにした。 - (ロードマップに無かった110mmのティルト・シフトレンズの発表にはとても驚いた)
市場調査や現場での使用状況の調査の結果、より長い焦点距離のティルト・シフトレンズも必要であることがわかった。建築写真では30mmが適しているが、広告写真ではファッションやその他のスタジオ撮影のためにより長いレンズが必要だ。
X-H2の4000万画素センサーは、大幅な高画素化にもかかわらずS/N比やダイナミックレンジは優秀で、APS-Cのセンサーがここに来て大きく進化したという印象です。8K60pに非対応なことや、20コマ/秒の連写がクロップになるには非積層の高画素センサーなので仕方のないことで、画素数を考えれば動画や連写のスペックも頑張っていると言ってよさそうです。
イーグレットヘロン
富士フイルム公式YouTubeチャンネル内の開発者動画にて言及されてたのはそういうことだったのですね!
従来と同程度というのは、地味にすごいです。
従来というのはX-H2sの2616万画素のX-Trans CMOS 5 HSと同程度のダイナミックレンジということでいいのかな?
これだったら、Raw現像をlightroomでするなら、従来と同じダイナミックレンジでできるので安心できます。
(ISO125をフルに現像したいならなら、X Raw Studioで行うことになりますね)