富士フイルム「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」はズーム全域で際立った性能

PCmagに、富士フィルムの超望遠ズーム「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」のレビューが掲載されています。

Fujifilm Fujinon XF 150-600mm F5.6-8 R LM OIS WR Review

  • 望遠ズームに小ささは期待していないが、このレンズはわずか3.5ポンドと軽量なので、同じくらいのサイズのフルサイズ用のズームよりも扱いやすい。
  • このレンズは、一般的な超望遠ズームと異なりインナーズームなので、ズーミングでレンズの全長は変わらない。XF100-400mmは望遠端で伸びるので、望遠端の長さではXF150-600mmとXF100-400mmはそれほど変わらない。
  • ズームリングの動きは、繰り出し式のズームレンズに比べると軽い。
  • 三脚座はアルカスイス対応で、全体を取り外すことはできないが、足は取り外せる。この三脚座は回転時の90度おきのクリックを欠いている。

  • AFはほとんどのケースで速いが、薄暗い場所では迷うことがある。このため樹木が生い茂った場所で時折写真を撮り逃がすことがあった。理想的な条件ではAFは非常に速く、至近から遠方まで一瞬でピントが合う。
  • 手ブレ補正はX-H2Sとの組み合わせで、600mm・1/30秒で良好な結果が得られたが、1/15秒だと、公証値の5段分の効果と一致する結果だった(ブレてしまったという意味)。
  • 動画は三脚が絶対必要というわけではなく、IBIS搭載機で600mmで手持ちで試したところ、三脚ほど安定はしないが、それほど大きく劣るわけではない。
  • 最大撮影倍率は1:4.2ととても優れていて、小さな被写体にも十分に対応できる。
  • フォーカスブリージングは少し見られるが、気になるほどではない。

  • ラボテスト:解像力テストでは150mm F5.6で3500本、150mm F8で3350本で、600mmでもこの値はあまり変わらない。このレンズはズーム全域で2600万画素のX-H2Sでは際立った解像力を示しており、画面の隅までシャープだ。
  • テストでは色収差は見られず、倍率色収差も軸上色収差も効果的に補正されている。
  • 歪曲は未補正のRAWではわずかな糸巻き型だが、補正後の画像と並べて比較して気付く可能性がある程度のものだ。
  • フレアはうまく抑えられているが、太陽にレンズを向けると、いくつかのゴーストが見られる。しかし、これは超望遠レンズでは(太陽が画面内に入るケースが少ないので)問題にならないだろう。強い逆光時の鳥の撮影では、逆光耐性は非常に満足いくものだった。
  • 暗いレンズだが焦点距離が長いので、背景は十分にボカすことができる。玉ボケは概ね円形で輪郭もソフトで、ボケがうるさくなる兆候は見られない。

  • このレンズは2600万画素機のX-H2Sでは150~600mmのズーム全域で際立った性能で、正式なラボテストは行っていないが4000万画素のX-H2での第一印象もポジティブなものだった。
  • あえて不満点を挙げるならF値が暗いことで、富士フイルムには少し重くなったり、若干開放時に若干甘くなっても、もう少し明るくしてほしかった。手ブレ補正は暗所では役に立つが、動きの速い被写体(動体ブレ)には対処できない。より明るくなれば、暗所でAFが迷って苦労する頻度も減るかもしれない。
  • XF150-600mmは防塵防滴構造、インナーズーム、最高の画質でXシステムを使用している野生動物写真家に歓迎されるだろう。予算が限られている場合はタムロン150-500mmも選択肢になるが、XF150-600mmはインナーズームと軽量な設計で、よりプレミアムな選択肢だ。暗いという不満があっても、エディターズチョイス賞を贈る。
  • 良い点:鮮明な光学系、運搬が容易、インナーズーム。
  • 悪い点:暗い場所でAFが遅くなる。

 

このレンズは換算900mm対応のズームとしては小型軽量で、光学性能も非常に優れているようなので、とにかく長い焦点距離が必要だという方にはとても有用なレンズになりそうです。レンズの暗さはどのレビューでもウィークポイントとして指摘されていますが、その分、小型軽量で取り回しがよくなっているので、大きく明るい方がいいかどうかはユーザーの使い方によりますね。