ニコン「Z 40mm f/2」は描写の不完全さを求める写真家にアピールするキャラクターレンズ

PCMagに、ニコンの準広角単焦点レンズ「Z 40mm f/2」のレビューが掲載されています。

Nikon Nikkor Z 40mm F2 Review

  • 鏡筒とマウントはポリカーボネート製で重量はわずか6オンスに抑えられており、サイズも2.8x1.8インチとスリムだ。
  • 40mmの焦点距離は広角と標準の中間の画角を楽しむことができ、この焦点距離は昔から個人的に気に入ってる。DX機では換算60mmになり、ポートレート用としてうまく機能する。
  • 操作部はコントロールリングのみで、フォーカスリングやファンクションリングとして使用することができる。このコントロールリングは非常に敏感なので、意図せずに設定が変わってしまう可能が高い。残念ながらZ9以外の機種は、カメラ側でコントロールリングの感度を変えることはできない。
  • フォーカスリングはノンリニアで、これはスチルでは好まれる傾向があるが、動画にはあまり望ましいものではない
  • AFは非常に静かで、フォーカスブリージングは見られず、この点ではvlogに向いている。
  • AFは合焦まで約1/3秒で、遅い方だ。AFの信頼性は高くなく、開放でピントを合わせるのに苦労することがあった。たとえばペット(猫)の撮影で、いつもは信頼性の高いZ7IIの動物の瞳検出使用時に、ピントが少しずれている写真がかなりの数見られた。
  • 最大撮影場率は1:5.9で、これはスナップやポートレート、風景には問題ないが、ネイチャーのファンにとっては少々残念だ。

  • ラボテスト:開放では中央はZ7IIの4500万画素センサーで良好の範囲内(3000ライン)だが、周辺部に向かうと甘くなる。F2.8では非常に良好な結果が得られ、F5.6からF11までは素晴らしい解像力(4500ライン)になる。F16では回折のために画質が低下する。
  • 光芒はどの絞りでも光線がシャープではなく芳しくない。絞り込むと醜いフレア・ゴーストが現れるが、開放では若干コントラストは下がるがゴーストやフレアは最小限に抑えられている。
  • 歪曲は少し複雑な形のタル型だが、JPEGでは適切に補正される。周辺光量落ちは開放では強く、隅はJPEGでもまだいくらか暗くなる。
  • 倍率色収差は自動補正で十分に抑えられており、明るい空を背景にした電線の周囲でも色ズレは見られない。しかし軸上色収差は別で、どの写真でも目立つわけではないが、現れると後処理での除去は難しい。
  • 背景のボケは概ね良好だ。玉ボケは画面の周辺部でもほぼ円形で、輪郭も柔らかい。

  • Z 40mm f/2の光学系に不完全なレンズだが、これは価格とターゲットを考えるとこれはある程度は理解できる。十分に補正された光学系が必要な人はf/1.8のSラインに目を向ければいい。40mm f/2は我々がキャラクターレンズと呼んでいるレンズで、不完全さを追求する写真家にアピールするレンズだ。f/2の柔らかい描写と強い周辺光量落ちは、写真に何かを付け加える。
  • 癖のある部分はさておき、40mm f/2は満足の行く写真を撮ることはできる。ただし、AFの性能には少々問題があり、高性能なカメラとの組み合わせでも、反応がやや遅いため、予想以上にミスショットが多くなる。ペットや家族の写真を撮りたい場合は、動いている被写体を撮り逃がす可能性があることを知っておいて欲しい。このような用途ではZ 35mm f/1.8 SかZ 50mm f/1.8 Sが高いだけの価値はある。

  • このレンズは開放では背景がボケた素敵な写真が得られ、絞り込めばシャープな画像が得られる。このレンズは価格を安く抑えるためにいくつかの妥協が見られるが、独自の世界観の写真を撮りたい人には十分な魅力があるだろう。
  • 良い点:明るく鮮明な光学系、便利な焦点距離、背景をボカすころができる。
  • 悪い点:一貫性のないAF、背景の色収差、コントロールリングがあまり役に立たない。

 

レビューではキャラクターレンズと述べられていて相当癖玉のような印象を受けますが、サンプルを見ると、開放付近では柔らかめでボケ味もよく、雰囲気のある描写をするレンズだと感じます。最近のレンズは開放からカリカリのレンズが多いので、このレンズのような描写のレンズを持っていると、写真の幅が広がりそうですね。

ただ、AFに関しては少し遅くピントを外しがちということなので、速度に関しては難しいかもしれませんが、合焦精度は可能ならファームアップで改善して欲しいところです。