ソニー「ZV-1F」は省略されている機能が多く専用のカメラを使うメリットが薄い

DPreviewに、ソニーの換算20mmのレンズを搭載した新しいVlog用のコンパクトカメラ「ZV-1F」のレビューが掲載されています。

Sony ZV-1F review

  • ZV-1Fの価格は499ドルで、これはZV-1の発売時の価格よりも300ドル安い。レンズはZV-1の24-70mmではなく、20mm相当の広角単焦点だ。大幅な低価格化にもかかわらず、センサーは全幅読み出しで、最大4K30pで撮影できる。
  • 広角レンズと全幅読み出しのセンサーの組み合わせで、1.23倍にトリミングされる電子手ブレ補正有効時でも25mm相当の画角がある。
  • レンズには40.5mmのフィルター枠があり、NDフィルターを取り付けることができる。
  • 超解像により、固定焦点のレンズにもかかわらず2倍のズームができる。ただし、4Kモードではズームは1.5倍に制限される。
  • 興味深いことに、ZV-1FのAFには像面位相差は採用されていない。
  • 超広角単焦点のコンパクトカメラに興味をそそられるスチルカメラマンもいると思うが、ZV-1FはRAWで撮影できずJPEGまたは動画のみの撮影になることを知っておいて欲しい。フラッシュは内蔵されておらず、フラッシュを取り付けるためのホットシューもない。

  • ZV-1FはZV-1の低価格版で、NDフィルターやRAW現像の機能が省略され、AF性能も低下しており、スマートフォンと比較して専用カメラを使うメリットが薄い。Vlog撮影時の動画品質はスマートフォンより優れているが、4K60pや高速なセンサー読み出し、光学手ブレ補正など、大部分のスマートフォンが搭載している機能をZV-1F使用時には失うことになる。
  • ZV-1Fがあなたにとって意味のあるカメラかどうかは、バリアングモニタと商品レビューモードをどれだけ活用できるかに強く依存しており、これらの機能だけでも多くの人にとっては、安い価格に見合うだけの価値があると思う。しかし、ブイロガーや映像制作者にとってはZV-1やZV-E10、スマートフォンの方が圧倒的に多くのメリットがあるだろう。
  • スチル用にどうだろうか? ZV-1Fはスチルカメラとして興味深い提案だ。位相差がなくてもAFはかなり速く、コンパクトカメラとしては大きなセンサーと比較的明るいレンズの組み合わせは興味深いものだ。ただし、電子ダイヤルが一つしかないので、スマートフォン以上の操作性が得られるわけではなく、レンズが単焦点なのでズームレバーもあまり役に立たない。500ドルの超広角カメラは魅力的に思えるかもしれないが、20mm相当のリコーGRが手に入るわけではないことに注意して欲しい。

  • 好きな点
    - 非常にコンパクト
    - 最新のメニューによる直感的なインターフェース
    - 商品レビューモードが良好に機能する
    - 優れた内蔵マイク
    - シャープな超広角単焦点レンズ
    - ND用のフィルター枠が用意されている

  • 好みではない点:
    - センサーの読み出しが遅くローリングシャッター歪みが発生する
    - コントラストAFなので録画時にフラッター(AFの前後の動き)が発生することがある
    - スチルのRAWモードが無い
    - 手動設定を多用する場合の面倒な操作性
    - ヘッドホン端子が無い
    - 手ブレ補正が搭載されていない

 

ZV-1Fは超広角単焦点を採用した興味深いコンパクトカメラですが、低価格化のために削られている機能もかなり多いという印象です。NDフィルターや像面位相差AF、マルチインターフェースシューが省略されているのは少々残念で、またスチル用としてはRAWが無いのが残念なところですね。

とは言え価格設定が安価(円安の影響で日本ではあまり安くありませんが)なので、自撮りをよくする人には魅力的な機種になるかもしれません。