キヤノンの「18-35mm F1.8 DS」「21-50mm F2.8 DS」「50-100mm F1.8 DS」「120-300mm F2.8 DS」の特許出願

キヤノンが「18-35mm F1.8 DS」などのいくつかのDSレンズの実施例を含む、ズーム全域でアポダイゼーション効果の得られ、明るさの変化の少ない光学系の技術に関する特許を出願しています。

IP Force

  • 出願人:キヤノン株式会社
    公開番号:P2022175307
    出願番号:P 2021081599
    公開日:2022-11-25
    発明の名称: 変倍光学系および光学機器
  • 【課題】ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得るとともに変倍に伴うTナンバーの変化が小さい変倍光学系を提供する。
  • 従来、適切なボケ像を得るため、光軸からの距離が大きくなるにつれて透過率が低下するアポダイゼーションフィルタなどの透過率分布が変化するフィルタを備えた光学系が知られている。
  • しかしながら、特許文献1に開示されている光学系は単焦点光学系であるため、変倍光学系の各ズームステートで十分なアポダイゼーション効果を得る方法としては不十分である。また、変倍光学系に特有の要請として、特に映像撮影において、変倍に伴う明るさすなわちTナンバーの変化が小さいことが求められる。
  • そこで本発明は、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得るとともに変倍に伴うTナンバーの変化が小さい変倍光学系および光学機器を提供することを目的とする。

  • 実施例1(18-35mm F1.8 DS)
    ズーム比 1.82
    焦点距離 18.60 26.02 33.78
    Fナンバー 1.80 1.83 1.86
    半画角 37.69 28.91 23.05
    像高 14.37 14.37 14.37
    レンズ全長 168.50 168.50 168.50
    バックフォーカス 38.56 39.30 39.91

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  • 実施例3(35-70mm F1.6-1.8 DS)
    ズーム比 1.84
    焦点距離 37.00 47.93 68.00
    Fナンバー 1.65 1.69 1.86
    半画角 25.94 20.58 14.83
    像高 18.00 18.00 18.00
    レンズ全長 326.49 325.22 332.00
    バックフォーカス 77.12 79.75 83.49

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  • 実施例4(21-50mm F2.8 DS)
    ズーム比 2.50
    焦点距離 21.01 33.21 52.51
    Fナンバー 2.86 2.86 2.86
    半画角 36.42 25.02 16.45
    像高 15.50 15.50 15.50
    レンズ全長 328.50 328.51 328.53
    バックフォーカス 63.09 63.10 63.13

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  • 実施例5(50-100mm F1.8 DS)
    ズーム比 1.88
    焦点距離 51.50 70.00 97.00
    Fナンバー 1.87 1.87 1.87
    半画角 15.59 11.60 8.43
    像高 14.37 14.37 14.37
    レンズ全長 204.13 204.16 204.12
    バックフォーカス 48.80 48.82 48.79

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  • 実施例7(120-300mm F2.8 DS)
    ズーム比 2.35
    焦点距離 123.60 189.93 290.82
    Fナンバー 2.89 2.89 2.89
    半画角 9.93 6.50 4.25
    像高 21.64 21.64 21.64
    レンズ全長 433.07 433.08 433.08
    バックフォーカス 54.98 54.99 55.00

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キヤノンのDSレンズやソニーのSTFレンズなどのアボダイゼーション効果のあるレンズは、いずれも単焦点レンズですが、この特許出願のレンズはズームレンズで、もし製品化されれば他にはないレンズになりそうです。

像高は実施例ごとにバラバラで、実施例1、4、5はソニー製センサーのAPS-Cよりも少し大きいサイズなのでSuper35用でしょうか(実施例3はAPS-H用?)。実施例7の120-300mm F2.8はフルサイズ用ですね。いずれのレンズも全長がかなり長く、T値についても言及されているので、シネマレンズの可能性が高いような気がします。